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第9章 使、命
第350話 迎え
しおりを挟む華南にしばらく世話を焼かれていると、目を覚ましたとの報をうけて、李蒙が訪ねてきた。
「お加減は大丈夫でしょうか?」
天幕に入るなり、心配そうに翠玉の顔色を見る李蒙に翠玉は苦笑する。
まるで父親のようだ。
「ごめんなさいね李蒙。全部任せてしまって」
肩を竦めて詫びると、彼はそんなのはどうでもいいとでも言うように首を振る。
李蒙から一通りの戦況の報告を受ける。
端的に言えば作戦は成功に終わった。
狙い通り前進した緋堯軍の背後を、鍾乳洞から出てきた兵達が取り囲み、退路を絶った。
思わぬところから出てきた伏兵に、緋堯軍は混乱状態に陥った。
そこに追い討ちのように矢の雨が両側から降り注ぎ、彼らは逃げようと両側から橋に向かってひしめき合った。
そしてそこにも矢が放たれて、、、。
まぁ圧勝だったらしい。
堯雅浪はじめ、多くの兵が捕らえられているという。
「会われますか?」と聞かれたが首を振った。
洞の中で切り捨てた将があれほど翠玉を恨んでいたのなら、堯雅浪も随分だろう。
どんな口汚い言葉をかけられても翠玉はどうって事はないが、お腹の子に聞かせたくは無かった。
昨夜、翠玉が連れてきた兵達は、休息を取って、午後には州府へ戻る事になっていて、そして翠玉も戻るようにと指示がきていると言う。
「殿下から馬車で帰るようにと、州宰専用の馬車が来ていますが」
困惑したように言う李蒙に、翠玉は顔が引きつった。
なぜバレているのだろうか。
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