後宮の棘

香月みまり

文字の大きさ
上 下
134 / 234
第9章 使、命

第350話 迎え

しおりを挟む

華南にしばらく世話を焼かれていると、目を覚ましたとの報をうけて、李蒙が訪ねてきた。




「お加減は大丈夫でしょうか?」

天幕に入るなり、心配そうに翠玉の顔色を見る李蒙に翠玉は苦笑する。
まるで父親のようだ。


「ごめんなさいね李蒙。全部任せてしまって」

肩を竦めて詫びると、彼はそんなのはどうでもいいとでも言うように首を振る。

李蒙から一通りの戦況の報告を受ける。

端的に言えば作戦は成功に終わった。

狙い通り前進した緋堯軍の背後を、鍾乳洞から出てきた兵達が取り囲み、退路を絶った。

思わぬところから出てきた伏兵に、緋堯軍は混乱状態に陥った。
そこに追い討ちのように矢の雨が両側から降り注ぎ、彼らは逃げようと両側から橋に向かってひしめき合った。

そしてそこにも矢が放たれて、、、。

まぁ圧勝だったらしい。


堯雅浪はじめ、多くの兵が捕らえられているという。


「会われますか?」と聞かれたが首を振った。

洞の中で切り捨てた将があれほど翠玉を恨んでいたのなら、堯雅浪も随分だろう。

どんな口汚い言葉をかけられても翠玉はどうって事はないが、お腹の子に聞かせたくは無かった。


昨夜、翠玉が連れてきた兵達は、休息を取って、午後には州府へ戻る事になっていて、そして翠玉も戻るようにと指示がきていると言う。


「殿下から馬車で帰るようにと、州宰専用の馬車が来ていますが」

困惑したように言う李蒙に、翠玉は顔が引きつった。

なぜバレているのだろうか。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

困った時だけ泣き付いてくるのは、やめていただけますか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:495

ある日、ぶりっ子悪役令嬢になりまして。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:3,287

【完結】花街の剣の舞姫

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:46

砂漠の国のハレム~絶対的君主と弱小国の姫~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:99

【完結】 婚約者が魅了にかかりやがりましたので

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:866pt お気に入り:3,422

無字の後宮 ―復讐の美姫は紅蓮の苑に嗤う―

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:319

男女比の狂った世界で愛を振りまく

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:417

わたしはお払い箱なのですね? でしたら好きにさせていただきます

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:19,824pt お気に入り:2,450

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。