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第8章 絆
第311話 雨音と寝起きの
しおりを挟む早朝、翠玉は雨音で目が覚めた。
窓の外を見れば、どんより曇った空が見える。
今日は、朝の練成は無理だろう。諦めてもう少し寝ようかと思ったところで、自分の格好を見て言葉を失う。
全裸である。
そこでようやく昨晩の甘やかな時間を思い出す。
私そうだ、昨日冬隼と、、、
脳裏に蘇るのは昨晩の甘美な刺激と熱。
まさか、あんなに
訳もわからなくなるほど気持ち良くて
そして甘やかなものだと思わなかった。
以前経験したものとは随分違って……
そこにあったのは、互いを求める欲と、愛情と喜びだった。
ふと、腹や昨晩彼を受け入れた秘部に神経を向ける。
痛みはない。
顔が熱を持つのを感じて脇を見てみれば
同じ掛布の中に同じく全裸の冬隼がいて、うわあなんて理想的な筋肉、なんて一瞬見惚れてしまって慌てて首を振る。
着替え、服を着なければ
あたふたしながら、辺りを見渡して昨晩冬隼に剥がれた服を探す。
起き上がろうとして、そこで初めて互いにしっかりと指を絡めあって繋いでいることに気がついた。
これでは身動きが取れない。
どうしようと考えを巡らせていると、「んっ」と眠っていた冬隼が身動ぎする。
アワアワしながら、彼を見ると、切れ長の瞳が気怠げに開かれる。
まだ眠たそうなぼんやりとした瞳に捕らえられ、起こしてしまったかと、申し訳ない気分で苦笑する。
「ごめん、起こした」
「ん、いや、いつも通りの時間だろう?」
かすれた声でそう言った彼は身体をこちらに向けて横になると、繋いだ手の甲に唇を寄せた。
「身体は大丈夫か?」
まだ少し、かすれている低い声が妙に腰に響いた。
今まで冬隼の寝起きは何度も見てきているハズなのに、今日は何でこんなにドキドキしてしまうのだろうか。
「大丈夫。何ともないわ」
そう答えると、彼は「そうか」と言って少し何かを考えるように視線を動かした。
どうしたのだろうかと首を傾げると、急に握ったままだった手を強く引かれ
気がついたら彼に組み敷かれていた。
「えっと、これは……」
戸惑って見上げると、寝起きの顔は何処へやら……冬隼は不適に笑っていて。
「雨だろう。どうせ朝の練成は中止だ」
「それは、そうだけど……」
「時間もある、身体も動かしたい。それに」
熱っぽい視線が翠玉を上から下までゆっくり眺める。
「朝からそんな姿を見せられて我慢できるか」
そこでようやく思い出す。そうだ!全裸だったのだ、自分も、そして彼も。
冬隼の大きな手が腰骨から、スルスルと脇腹を撫でて、鳩尾を通り、胸の膨らみを包み込む。
見上げた冬隼の瞳は、寝起きのくせに欲を含んだ光を放っていて、これはもう逃げられないと悟る。
そうして、ずりずると快楽に引き込まれて、甘い甘い言葉とは裏腹に散々汗をかかされて、これなら練成していた方が疲れないのではないかと気づいた時にはもう手遅れだった。
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