無人島ほのぼのサバイバル ~最強の高校生、S級美少女達と無人島に遭難したので本気出す~

絢乃

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039 島の探検、思わぬ発見

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 思ったよりも早く作業が終わったので、島を探検することにした。

「こうして全員で行動するのって、風呂を除くと久々だよな」

 森を歩いていてふと思ったことだ。
 島では二手に分かれて行動することが多かった。
 女性陣も同感だったようで、口々に「たしかに」と頷く。

「でもって、こうして四人乗りするのは初めてだよねー!」

 沙耶が豪快に笑い飛ばす。

「ブヒー!」

 ブタ君も嬉しそうだ。

「流石はブタ君、力持ちだぜ」

 俺たちはブタ君に乗っている。
 前から陽葵、沙耶、凛、俺の順だ。
 これは背の低い順である。

「やっぱりこの島って獣が多いんだな」

 俺の呟きに対し、目の前の凛が振り返った。

「どうしてそう思うの?」

「地面を見てみろよ、けもの道だらけだ」

 そこら中にけもの道が散見される。
 人間の作った林道と言われても信じてしまいそうだ。

「思えばあたしらって島のこと全然知らないよなー!」

 沙耶は陽葵にギュッと抱きつきながら言う。

「沙耶ぁ、揉まないでよぉ」

 陽葵の声が聞こえる。
 沙耶は陽葵のどこかを揉んでいるみたいだ。
 一体どこを揉んでいるのだろう。見てみたい。

「ここってワニの場所だっけ?」

 ブタ君が川に到着した時、沙耶が尋ねてきた。

「この辺だな」

「たしかこの近くに沼があるんだっけ?」

「俺の勘だけどな」

「よーし、行ってみよー! ブタ君、ゴーゴー! 川を突っ切れ!」

「ブヒィ!」

 ブタ君がずかずかと川へ侵入する。
 川魚たちが慌てふためく中、気にすることなく対岸へ。

「おいおい、危ないぞ。巨大ワニがあいつだけのはずがない。それに大型のヘビだって棲息しているんだ」

「その時はブタ君と刹那が守ってくれるっしょ!」

「呑気なもんだなぁ」

 そんなこんなで進むことしばらく。
 俺の睨んだ通り、沼地が見えてきた。

 沼地はそれなりの広さで、獰猛な生物が色々と棲息している。
 ワニやヘビをはじめ、可愛い見た目に反して狂暴なカメなども。
 沼の中など、目で見えない部分にはさらにたくさんいるだろう。
 それらの全てが隙を窺って待ち構えている。

「刹那、ビンゴ!」

「危険なことまで正解だからさっさと場所を変えるぞ」

「ブヒィ!」

 スッと方向転換して沼地から離脱する。
 だが、ここで問題が発生した。

「ブタ君、ちょっと待て」

「ブヒ?」

 ブタ君が足を止めた。
 女性陣が何事かと振り返る。
 それと同時に、俺はブタ君から飛び降りた。

「シャアアアアアアアアアアア!」

 動きを止めた俺たちに敵が襲い掛かってくる。
 巨大なヘビだ。

「こいつが俺たちを尾行していた」

 おそらく隙を突いてブタ君に噛み付くつもりだったのだろう。
 種類は分からないが毒ヘビと考えて間違いない。

「危険は排除しないとな」

 俺は素早く対処する。
 ヘビの噛み付き攻撃を回避し、カウンターを放つ。
 渾身のチョップがヘビの脳天に炸裂した。

「シャァ……」

 ヘビが怯んだ。
 それを好機と捉えて次の攻撃を仕掛ける。

「せ、刹那!」

「刹那君! それって!」

「まさか……!」

 美少女たちが驚く中、俺は勝ち誇ったように言う。

「悪さをするヘビなんざこうだ!」

 巨大なヘビをちょうちょ結びにしてやった。
 ヘビは必死にもがくが、結び目がきつくなるだけだ。

「いつもならお前を食ってやるところだが……」

 今日のご馳走はナマズと決まっている。

「特別に見逃してやろう」

 俺はブタ君に騎乗すると、移動を再開させた。

 ◇

 沙耶と凛に頼まれて木の上ジャンプを繰り出した時のことだ。

「うお! すげーのを発見したぞ!」

 島の一部に信じられないものを見つけた。

「トウモロコシ畑よりもすごいの?」と凛。

「それ以上だな」

 断言する俺。

「まじかよ! なになに!?」

 沙耶が食いつく。

「ご立派なクルーザーだ! イカダより遥かにいいぞ!」

「うっそーん!?」

「嘘だよ」

「「「えっ」」」

「クルーザーなんかあるわけないだろ」

「だから分かりにくいんだってば! 刹那のネタは!」

 俺は笑ってごまかし、それから前方を指す。

「このまま進めば分かるさ」

 ブタ君には騎乗せずに歩きだす俺。
 女性陣を乗せたブタ君が後ろから続く。

「ほら、見えてきたぜ」

 しばらくすると木々がなくなり、草原が見えてくる。
 森の向こうに小範囲の草原があるのはこの島の特徴だ。
 そして、その草原は場所によって種類が異なる。
 ワタ畑だったり、トウモロコシ畑だったり。
 今回は――。

「ウシだー! ニワトリもいるー!」

 沙耶がブタ君から飛び降りる。
 陽葵もそれに続いた。

 そう、この草原にはウシとニワトリがいるのだ。
 しかもただのウシやニワトリではない。

「どう見てもホルスタインとアローカナだ」

「ウシさーん!」

「ニワトリー!」

 陽葵と沙耶は俺の言葉を無視して突っ込んでいく。
 突如として現れた人間に、ウシとニワトリは大慌て。

「ホルスタインってウシの種類だよね?」

 凛がゆっくりとブタ君から降りる。
 それを確認してから、ブタ君は陽葵たちを追いかけた。

「そうだよ。あのウシは典型的なホルスタイン――乳牛だ」

 ホルスタインには二つの特徴がある。
 白と黒の入り交じった体とご立派な大きさの乳房だ。
 ウシと言われて最もイメージされる種類と言えるだろう。

「野生のホルスタインなんているものなんだな」

「いないのが普通なの?」

「人の手によって品種改良されて生み出されたものだからな。俺の知識が正しければの話だけど」

「なるほど」

 俺は適当なウシに忍び寄り、軽く乳を搾ってみた。
 もしコイツが本当にホルスタインならとんでもないことになる。
 そう思ったのだが――。

 ブシャアアアア! ドバァアアアアアア!

「おお……! マジでホルスタインだ。というか、想像以上にやべぇ」

 ――実際、とんでもないことになった。
 とてつもない勢いで生乳がぶちまけられたのだ。
 俺が手を離したあとも数秒間は出続けていた。

「今のって牛乳だよね?」

 凛が近づいてくる。

「正確には生乳だな」

「どう違うの?」

「市販の牛乳ってのは、生乳を殺菌などの加工処理を施したものなんだ」

「じゃあ、搾りたてを飲んだらお腹が痛くなっちゃうのかな」

「そういうことだ」

 凛は「なるほどね」と言いつつ、視線をニワトリに移す。

「あれはアローカナって種なの? ウシと違って馴染みのない見た目だけど」

「チリのニワトリだからな、アローカナは」

「そうなんだ」

 アローカナと思しきニワトリは、ウシと同じく草原でくつろいでいる。
 シルエットは一般的なニワトリと似ているが、顔付きはまるで違っていた。
 目がギョロッとしており、見慣れていないからか不気味に感じる。

「アローカナの特徴は見た目よりも卵にある」

「卵?」

「一目で分かるぜ」

 俺は草原を見渡し、どこかに卵がないか探す。

「あったあった」

 卵は草原の一部分に集まっていた。
 枯れ草の敷かれた小さな窪みの上だ。

「なにこの卵……!」

 凛はアローカナの卵を見て愕然とする。

「毒々しい色をしているだろ? これが驚くことに美味いんだ」

 アローカナの卵は殻が水色なのだ。
 白身や黄身は普通なのに、殻の色だけが毒々しい。

「まさかウシとニワトリまでいたとはなぁ、しかもこれほど近く」

 この草原とラフトまでの距離は、徒歩で1時間もかからない。
 その気になれば簡単に牛乳と鶏卵を堪能することができていた。

「もっと早く気づいておけば島での生活がより快適だったのにな」

 腕時計を確認する。
 そろそろ探検を終わる時間帯だ。

「陽葵、沙耶、帰るぞ」

 ウシと戯れている2人に声を掛ける。

「お待たー!」

 沙耶はブタ君に乗って戻ってきた。
 彼女の後ろに陽葵も乗っている。

「これはさっきの仕返し! えいっ!」

「ちょ! やめろし! あぅ」

 陽葵に胸を揉まれて恥ずかしそうにする沙耶。

「実に素晴らしい!」

「「「えっ」」」

「いや、なんでもない。それより今日の主役を仕入れにいくぞ」

 俺と凛もブタ君に乗る。

「いよいよかー!」

「おうよ」

 俺はブタ君の体をポンポンと叩いて進ませた。
 そして、最後の晩餐に相応しい食材の名を口にする。

「ナマズの時間だ!」
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