27 / 43
027 純白の草原
しおりを挟む
「あれ?」
仲良く手を繋いで森を歩くこと数分、陽葵が何かに気づいた。
「こっち方面って今までに来たことあったっけ?」
どうやら進路方向に違和感を抱いたようだ。
「よく気づいたな、初めてだぜ」
「じゃあ、なんで刹那君は目的の何かがこっちだって分かるの?」
「前に見たからな」
「えっ? どういうこと?」
陽葵の頭上に疑問符が量産されていく。
俺は繋いでいる手を解き、陽葵の頭を撫でた。
そうして疑問符の数を1つにまとめてから答える。
「この島での生活が始まった日、俺はジャンプして木の上に行ったろ?」
「うん! よく覚えているよ! すごかった!」
「あの時に確認したのさ。このまま進むと草原があるってことをな」
「そうだったんだ!? その草原が目的地?」
「いかにも。念のために改めて確認しておこう」
近くの木に跳び乗る。
そこから何度も跳躍して頂上へ。
さらにもうひと跳びして、木よりも高い位置に。
「よし」
方向が正しいことを確認したら、そのまま地面へ。
完璧な受け身で衝撃を流す。
「あんな高いところから落ちて平気とかおかしいよ、刹那君!」
「受け身を極めれば陽葵だってできるようになるぜ」
「えー、絶対に無理だよ!」
たしかに陽葵には無理かもしれないな、と思った。
とんでもサイズの胸がひっかかって衝撃を流しきれない可能性がある。
「それはさておき、進路方向は正しいと分かったぞ」
「おー! あとどのくらいで着くかな?」
「10分から20分程度だろう」
俺たちは移動を再開する。
当たり前のように手を繋いで。
「こうして手を繋いでいるとカップルみたいだな」
自分の発言に興奮する俺。
妄想が加速していって止まらない。
「刹那君が恋人だったら、毎日が驚きに満ちてそう」
陽葵は頬を赤らめ、繋ぐ手の力を強めた。
「ああ、きっと周囲が羨む幸せな老夫婦になれるぜ、俺たち」
「老夫婦!? カップルじゃなくて夫婦になってる!?」
「じょじょ、冗談だ」
「刹那君の冗談はよく分からないよー!」
陽葵が声を上げて笑う。
どうにか話を紛らわせることに成功した。
「そ、そんなことより、ほら、見えてきたぞ!」
いよいよ草原が近づいてくる。
森に覆われた小規模の草原で、ある植物の群生地となっていた。
「わぁー! すごい! すごいすごい、すごいよ!」
陽葵が「すごい」を連呼している。
俺の想像を遥かに超えるレベルで感動していた。
両手を口に当てて目に涙を浮かべている。
「な? 内緒のほうが感動できただろ?」
「うん! まるで雪が積もってるみたい! すごく綺麗!」
草原に群生しているのはワタだ。
綺麗な純白の木綿を種子に付けている。
「なんだか天国にいるみたい!」
陽葵が両腕を広げてワタ畑を駆け抜ける。
「おいおい、俺たちはまだ生きてるぜ」
と言いつつ、たしかに天国のようだ、とも思う。
楽しそうに走る陽葵の姿が紛れもない天使だからだ。
清楚系の可愛さがこの空間によく合っている。
(なんという可愛さだ……!)
俺は息を呑んで陽葵の顔を見つめる。
だが、その視線は次第に下がっていく。
最終的にはいつもと同じ場所を凝視していた。
今回は特にボインボインしていてたまらない。
「刹那君、刹那君」
「おほぉ、むしゃぶりつきてぇ」
「刹那君ってば!」
「あっ、はい」
陽葵に体を揺すられて正気に戻った。
いつの間にか妄想の世界に浸っていたようだ。
「私はこの白いフワフワの部分を集めたらいいの?」
「お、おう。そのフワフワがコットンだ。限界まで集めるぞ」
「了解!」
陽葵と手分けしてコットンを収穫していく。
だが、彼女は早々に弱音を吐いた。
「1つずつ採っていくのって大変だぁ……」
「現実世界だと専用のトラクターで収穫するからな」
「私たちもどうにか効率良く収穫できないのかな?」
「そう言うと思ったぜ。任せておけ」
俺は両腕を広げ、両手を手刀モードにする。
「ソニックブレード!」
シュッ!
研ぎ澄まされた手刀を振り抜く。
衝撃波が周囲のコットンを浮かせた。
それに合わせて跳躍する。
「せいやー!」
宙に浮いたコットンを漏れなく籠でキャッチ。
全く間に籠の中がコットンで満たされた。
「ほれ、終わったぞ」
コットン盛り盛りの籠を陽葵の前に置く。
「すごい……っていうかもう異常だよ! 刹那君!」
「トラクターに打ち勝つ男なのさ、俺は」
陽葵の背負っている空の籠を受け取る。
そして、その場で再び〈ソニックブレード〉を放つ。
次に集めるのはコットンではない。
「やはりコットンよりは遥かに重みがあるな、種子は」
それはワタの種子だった。
「コットンはまだ分かるけど、それは何に使うの?」
「ラフトへ持ち帰って栽培するのさ。砂辺をワタ畑に変えてやる」
「ほんとに!?」
「嘘だ」
「えっ」
「砂辺にワタ畑を作るわけないだろ」
「だから刹那君の冗談は分かりづらいってばー!」
「ふふふ、照れる」
「褒めてないからね!?」
陽葵が楽しそうに笑っている。
その顔を見ていると、己のコミュ力が高まっているのを感じた。
無自覚ながら我がコミュ力は成長していっているようだ。
「ちなみに正解は綿実油を作るためだ」
「綿実油? あぶら?」
「食用油だ。分かりやすく言い換えると質の高いサラダ油ってところか」
「サラダ油!? すごい! 刹那君、油を作れるの!?」
「ワタの種子があれば楽勝だ。圧搾して不純物を取り除くだけだからな」
「とても簡単そうには聞こえないけど……」
「ま、あとで実演して見せるよ。綿実油をどう使うかは考えていないけど、料理好きの沙耶が何かしらの使い道を考案するだろう、たぶん」
「コットンだったり綿実油だったり、ワタってすごく優秀なんだね」
「生命の維持に直結するものではないけど、生活の質を高めるという点においてはとてつもなく優秀だ」
「凛が何を作るのか今から楽しみだねー!」
「同感だ」
陽葵と手を繋いでラフトに戻った。
仲良く手を繋いで森を歩くこと数分、陽葵が何かに気づいた。
「こっち方面って今までに来たことあったっけ?」
どうやら進路方向に違和感を抱いたようだ。
「よく気づいたな、初めてだぜ」
「じゃあ、なんで刹那君は目的の何かがこっちだって分かるの?」
「前に見たからな」
「えっ? どういうこと?」
陽葵の頭上に疑問符が量産されていく。
俺は繋いでいる手を解き、陽葵の頭を撫でた。
そうして疑問符の数を1つにまとめてから答える。
「この島での生活が始まった日、俺はジャンプして木の上に行ったろ?」
「うん! よく覚えているよ! すごかった!」
「あの時に確認したのさ。このまま進むと草原があるってことをな」
「そうだったんだ!? その草原が目的地?」
「いかにも。念のために改めて確認しておこう」
近くの木に跳び乗る。
そこから何度も跳躍して頂上へ。
さらにもうひと跳びして、木よりも高い位置に。
「よし」
方向が正しいことを確認したら、そのまま地面へ。
完璧な受け身で衝撃を流す。
「あんな高いところから落ちて平気とかおかしいよ、刹那君!」
「受け身を極めれば陽葵だってできるようになるぜ」
「えー、絶対に無理だよ!」
たしかに陽葵には無理かもしれないな、と思った。
とんでもサイズの胸がひっかかって衝撃を流しきれない可能性がある。
「それはさておき、進路方向は正しいと分かったぞ」
「おー! あとどのくらいで着くかな?」
「10分から20分程度だろう」
俺たちは移動を再開する。
当たり前のように手を繋いで。
「こうして手を繋いでいるとカップルみたいだな」
自分の発言に興奮する俺。
妄想が加速していって止まらない。
「刹那君が恋人だったら、毎日が驚きに満ちてそう」
陽葵は頬を赤らめ、繋ぐ手の力を強めた。
「ああ、きっと周囲が羨む幸せな老夫婦になれるぜ、俺たち」
「老夫婦!? カップルじゃなくて夫婦になってる!?」
「じょじょ、冗談だ」
「刹那君の冗談はよく分からないよー!」
陽葵が声を上げて笑う。
どうにか話を紛らわせることに成功した。
「そ、そんなことより、ほら、見えてきたぞ!」
いよいよ草原が近づいてくる。
森に覆われた小規模の草原で、ある植物の群生地となっていた。
「わぁー! すごい! すごいすごい、すごいよ!」
陽葵が「すごい」を連呼している。
俺の想像を遥かに超えるレベルで感動していた。
両手を口に当てて目に涙を浮かべている。
「な? 内緒のほうが感動できただろ?」
「うん! まるで雪が積もってるみたい! すごく綺麗!」
草原に群生しているのはワタだ。
綺麗な純白の木綿を種子に付けている。
「なんだか天国にいるみたい!」
陽葵が両腕を広げてワタ畑を駆け抜ける。
「おいおい、俺たちはまだ生きてるぜ」
と言いつつ、たしかに天国のようだ、とも思う。
楽しそうに走る陽葵の姿が紛れもない天使だからだ。
清楚系の可愛さがこの空間によく合っている。
(なんという可愛さだ……!)
俺は息を呑んで陽葵の顔を見つめる。
だが、その視線は次第に下がっていく。
最終的にはいつもと同じ場所を凝視していた。
今回は特にボインボインしていてたまらない。
「刹那君、刹那君」
「おほぉ、むしゃぶりつきてぇ」
「刹那君ってば!」
「あっ、はい」
陽葵に体を揺すられて正気に戻った。
いつの間にか妄想の世界に浸っていたようだ。
「私はこの白いフワフワの部分を集めたらいいの?」
「お、おう。そのフワフワがコットンだ。限界まで集めるぞ」
「了解!」
陽葵と手分けしてコットンを収穫していく。
だが、彼女は早々に弱音を吐いた。
「1つずつ採っていくのって大変だぁ……」
「現実世界だと専用のトラクターで収穫するからな」
「私たちもどうにか効率良く収穫できないのかな?」
「そう言うと思ったぜ。任せておけ」
俺は両腕を広げ、両手を手刀モードにする。
「ソニックブレード!」
シュッ!
研ぎ澄まされた手刀を振り抜く。
衝撃波が周囲のコットンを浮かせた。
それに合わせて跳躍する。
「せいやー!」
宙に浮いたコットンを漏れなく籠でキャッチ。
全く間に籠の中がコットンで満たされた。
「ほれ、終わったぞ」
コットン盛り盛りの籠を陽葵の前に置く。
「すごい……っていうかもう異常だよ! 刹那君!」
「トラクターに打ち勝つ男なのさ、俺は」
陽葵の背負っている空の籠を受け取る。
そして、その場で再び〈ソニックブレード〉を放つ。
次に集めるのはコットンではない。
「やはりコットンよりは遥かに重みがあるな、種子は」
それはワタの種子だった。
「コットンはまだ分かるけど、それは何に使うの?」
「ラフトへ持ち帰って栽培するのさ。砂辺をワタ畑に変えてやる」
「ほんとに!?」
「嘘だ」
「えっ」
「砂辺にワタ畑を作るわけないだろ」
「だから刹那君の冗談は分かりづらいってばー!」
「ふふふ、照れる」
「褒めてないからね!?」
陽葵が楽しそうに笑っている。
その顔を見ていると、己のコミュ力が高まっているのを感じた。
無自覚ながら我がコミュ力は成長していっているようだ。
「ちなみに正解は綿実油を作るためだ」
「綿実油? あぶら?」
「食用油だ。分かりやすく言い換えると質の高いサラダ油ってところか」
「サラダ油!? すごい! 刹那君、油を作れるの!?」
「ワタの種子があれば楽勝だ。圧搾して不純物を取り除くだけだからな」
「とても簡単そうには聞こえないけど……」
「ま、あとで実演して見せるよ。綿実油をどう使うかは考えていないけど、料理好きの沙耶が何かしらの使い道を考案するだろう、たぶん」
「コットンだったり綿実油だったり、ワタってすごく優秀なんだね」
「生命の維持に直結するものではないけど、生活の質を高めるという点においてはとてつもなく優秀だ」
「凛が何を作るのか今から楽しみだねー!」
「同感だ」
陽葵と手を繋いでラフトに戻った。
0
お気に入りに追加
602
あなたにおすすめの小説
強制無人島生活
デンヒロ
ファンタジー
主人公の名前は高松 真。
修学旅行中に乗っていたクルーズ船が事故に遭い、
救命いかだで脱出するも無人島に漂着してしまう。
更に一緒に流れ着いた者たちに追放された挙げ句に取り残されてしまった。
だが、助けた女の子たちと共に無人島でスローライフな日々を過ごすことに……
果たして彼は無事に日本へ帰ることができるのか?
注意
この作品は作者のモチベーション維持のために少しずつ投稿します。
1話あたり300~1000文字くらいです。
ご了承のほどよろしくお願いします。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる