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018 真相とキノコ鑑定
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「本当に昨夜、俺の寝床にやってきてアレやコレをしたのがコトハなの? シコシコとかパックンとかそういうアレだよ?」
目を点にして尋ねる。
これで犯人が違ったら絶望だ。
「うん、私だよ」
コトハは真顔で頷いた。
「マジで?」
「うん」
本当のようだ。
どう答えていいか分からず沈黙する。
その間にコトハは歩きだし、釣られて俺も隣を歩く。
「えっと……なんで!?」
「ユウマ君、しきりに大きくしていて辛そうだったから……。楽になってもらえたらなって……」
コトハは恥ずかしそうに俯いた。
耳が真っ赤になっている。
「ら、楽にはなったけど……。え、なんで、そんな……」
「バレないようコッソリやったつもりだったんだけど……嫌だったよね?」
コトハが「ごめんなさい」と頭を下げる。
「そんな! 嫌じゃない! 嫌なわけない!」
「ほんと? 怒ってない?」
「怒るわけないじゃないか!」
俺は必死に身振り手振りを交えて話す。
「そりゃびっくりしたよ。でも、気持ちよかったし。そういう経験ないから驚きのほうが強かったけど、とにかく最高だったから!」
なんだそら、と自分で思う。
だが、上手く言えなかった。
「あはは、なんだかユウマ君が何かしでかしちゃったみたい」
「た、たしかに……」
しばらく間を置いてからコトハが言った。
「私も初めての経験だったんだよ」
「えっ」
「自分で言うのは自惚れているみたいで気が引けるけど、私たち四人って飛び抜けて可愛いでしょ?」
「そうだな」
客観的に見て彼女たちの可愛さは異常だ。
経済的都合で化粧をしていないサナエだけでなく、アキノ、ミズキ、コトハも化粧抜きとは思えぬ可愛さをしている。
アイドルだと言われても信じるだろう。
「だからかえって男子が近づきにくいみたいでさ、付き合ったこととかもないんだ」
「で、でも、告白はされるだろ?」
「そりゃね。だけど本気じゃないよ。相手のことを知ろうともしないでただ『好き』『付き合って』って言うだけ。それってテレビに出てくるアイドルやアニメのキャラに向かって言ってるのと変わらないじゃん」
「そうなの……かなぁ?」
俺には分からなかった。
なぜなら生まれてこの方告白などされたことがないからだ。
逆に告白したこともないし、他の奴等と違って恋愛にも飢えていない。
だからとにかく告白する気持ちもされる側の心情も分からない。
ただ、俺ならいかなる理由であれ告白されたら承諾しそうだ。
自分みたいな人間を好きになってくれるなら……と。
冷静に考えたらそれって自信がないだけなんだよな。
「とにかく! そういうことだから! 私は普段からこんなことをしている尻軽じゃないし、アレは気の迷いでした特別なことだから! それで……反省しています!」
コトハは強引にまとめ「ごめんなさい」と改めて頭をペコリ。
「…………」
黙りこくる俺。
返す言葉脳内でまとめていた。
スゥ……。
大きな一呼吸を挟んでから答えた。
「謝る必要はないし、俺はむしろ感謝しているよ。だからその、機会があったら、今度はこっそりなんて言わず堂々と……!」
勇気を出して欲張ってみる。
これは俺にとって賭けだ。
50%くらいの確率でキモがられると思った。
「う、うん、分かった! じゃあ今度は堂々と誘うね。ユウマ君も、そういうの、シたいと思ったり、苦しいと思ったりしたら、その、遠慮しないで言ってね……?」
コトハが上目遣いで俺の顔を覗く。
セリフの後半は恥ずかしさから途切れ途切れになっていた。
それがかえって可愛いのと、前向きな返事をもらえたことで俺は大興奮。
「もちろん! 俺からも言う! その時! その時がきたら! よろしく!」
コトハは安堵の表情で「うん!」と頷いた。
何だか分からないけど綺麗にまとまってしまった。
そのうえ、とんでもなく可愛い子と特殊な関係になりそうだった。
◇
洞窟に戻ったら鍋を持っていざ海へ。
……と思ったのだが。
「さぁ確認してくれぃ!」
サナエが待っていた。
入口に大量のキノコが無造作に敷き詰められている。
自身の技能に自信があるのか一般的ではない種類ばかり揃えていた。
「なにこれ! どれも毒キノコなんじゃないの!?」
目をぎょっとさせるコトハ。
「いやいや、そんなことはないさ! でしょ? ユウマ!」
「たしかにこれは……」
俺は全てのキノコを一つ一つ手に取ってマジマジと確認する。
その結果。
「物の見事に全て毒キノコだ」
「なんですとぉ!」
「というのは嘘で、全部食用だ」
「なんですとぉ!」
今度はコトハが言った。
「コレとかもうモロに毒じゃん! 色からしてヤバイよ!」
コトハが指したのは紫色のキノコだ。
「これはムラサキシメジっていうんだ。色が色なので毒っぽいし、生食は危険とされている。だが、よく火を通せば煮物や汁物に使えるぞ」
「そうなんだ! じゃあコレは!? 裏面の色が毒々しいよ!?」
「それはハツタケだ。キノコの中では甘味が強いほうで、ムラサキシメジと違って食用としても一定の地位を築いている。芭蕉の俳句にも登場するぞ『初茸やまだ日数経ぬ秋の露』ってな」
「「へぇ!」」
コトハだけでなくサナエも感心している。
俺たちのやり取りを盗み聞きしているアキノとミズキもだ。
余談だが、ミズキは竹を編んで竹の籠を作っていた。
たしか糸を織って竹を作ると言っていたはずだが……。
ま、サボっていないので好きにやらせよう。
「そんなわけでここにあるキノコはどれも食用だ。とはいえ、先ほども言ったように生食が無理なものもある。というか、こういう環境じゃ基本的に生食は望ましくない。レア派の君もここではウェルダン派に転身だ」
「おー! ユウマ君は頼りになるなぁ!」
「私は!? これらのキノコは私が地面を這いずり回って集めたんだけど!? 犬みたいに鼻をクンクンさせて!」
「サナエ? サナエは……じゃあ、すごいってことで!」
「よっしゃー!」
なぜかガッツポーズを決めるサナエ。
そんな彼女を見て俺たちは笑った。
「サナエの能力は分かった。その調子で食材の調達を頼む。キノコ以外のな」
「了解!」
「ミズキは予定とは違うみたいだが……」
「いやぁ運搬用に籠が欲しくなってさぁ!」
「そういうことだろうと思ったぜ。好きにしてくれていいよ。自分のペースで頼む」
「はいよーん!」
「アキノは……文句ない! 完璧だ! その調子で!」
アキノは笑顔で頷いた。
「よし、俺たちは海に行って塩を作ってくるぜ!」
「おー!」
鍋を構える俺とコトハ。
「あ、それなら私もついていっていい? 海に行ってみたかったんだよね」
アキノが作業を中断した。
「まぁいいだろう。一緒に行こう。サナエとミズキも来るか? ……って、サナエの奴、もういなくなってら」
先ほどまですぐ傍にいたサナエが消えている。
「私は残っとくよー。一緒に行きたいけど、サナエが戻った時に一人だと可哀想だし!」
「たしかに。優しいな」
「でしょー! ミズキさんは優しさの塊だから!」
俺は「ふっ」と笑った。
「じゃあ洞窟やサナエのことはミズキに任せるとして、俺たちは海に出発だ」
アキノとコトハが「おー!」と拳を突き上げた。
目を点にして尋ねる。
これで犯人が違ったら絶望だ。
「うん、私だよ」
コトハは真顔で頷いた。
「マジで?」
「うん」
本当のようだ。
どう答えていいか分からず沈黙する。
その間にコトハは歩きだし、釣られて俺も隣を歩く。
「えっと……なんで!?」
「ユウマ君、しきりに大きくしていて辛そうだったから……。楽になってもらえたらなって……」
コトハは恥ずかしそうに俯いた。
耳が真っ赤になっている。
「ら、楽にはなったけど……。え、なんで、そんな……」
「バレないようコッソリやったつもりだったんだけど……嫌だったよね?」
コトハが「ごめんなさい」と頭を下げる。
「そんな! 嫌じゃない! 嫌なわけない!」
「ほんと? 怒ってない?」
「怒るわけないじゃないか!」
俺は必死に身振り手振りを交えて話す。
「そりゃびっくりしたよ。でも、気持ちよかったし。そういう経験ないから驚きのほうが強かったけど、とにかく最高だったから!」
なんだそら、と自分で思う。
だが、上手く言えなかった。
「あはは、なんだかユウマ君が何かしでかしちゃったみたい」
「た、たしかに……」
しばらく間を置いてからコトハが言った。
「私も初めての経験だったんだよ」
「えっ」
「自分で言うのは自惚れているみたいで気が引けるけど、私たち四人って飛び抜けて可愛いでしょ?」
「そうだな」
客観的に見て彼女たちの可愛さは異常だ。
経済的都合で化粧をしていないサナエだけでなく、アキノ、ミズキ、コトハも化粧抜きとは思えぬ可愛さをしている。
アイドルだと言われても信じるだろう。
「だからかえって男子が近づきにくいみたいでさ、付き合ったこととかもないんだ」
「で、でも、告白はされるだろ?」
「そりゃね。だけど本気じゃないよ。相手のことを知ろうともしないでただ『好き』『付き合って』って言うだけ。それってテレビに出てくるアイドルやアニメのキャラに向かって言ってるのと変わらないじゃん」
「そうなの……かなぁ?」
俺には分からなかった。
なぜなら生まれてこの方告白などされたことがないからだ。
逆に告白したこともないし、他の奴等と違って恋愛にも飢えていない。
だからとにかく告白する気持ちもされる側の心情も分からない。
ただ、俺ならいかなる理由であれ告白されたら承諾しそうだ。
自分みたいな人間を好きになってくれるなら……と。
冷静に考えたらそれって自信がないだけなんだよな。
「とにかく! そういうことだから! 私は普段からこんなことをしている尻軽じゃないし、アレは気の迷いでした特別なことだから! それで……反省しています!」
コトハは強引にまとめ「ごめんなさい」と改めて頭をペコリ。
「…………」
黙りこくる俺。
返す言葉脳内でまとめていた。
スゥ……。
大きな一呼吸を挟んでから答えた。
「謝る必要はないし、俺はむしろ感謝しているよ。だからその、機会があったら、今度はこっそりなんて言わず堂々と……!」
勇気を出して欲張ってみる。
これは俺にとって賭けだ。
50%くらいの確率でキモがられると思った。
「う、うん、分かった! じゃあ今度は堂々と誘うね。ユウマ君も、そういうの、シたいと思ったり、苦しいと思ったりしたら、その、遠慮しないで言ってね……?」
コトハが上目遣いで俺の顔を覗く。
セリフの後半は恥ずかしさから途切れ途切れになっていた。
それがかえって可愛いのと、前向きな返事をもらえたことで俺は大興奮。
「もちろん! 俺からも言う! その時! その時がきたら! よろしく!」
コトハは安堵の表情で「うん!」と頷いた。
何だか分からないけど綺麗にまとまってしまった。
そのうえ、とんでもなく可愛い子と特殊な関係になりそうだった。
◇
洞窟に戻ったら鍋を持っていざ海へ。
……と思ったのだが。
「さぁ確認してくれぃ!」
サナエが待っていた。
入口に大量のキノコが無造作に敷き詰められている。
自身の技能に自信があるのか一般的ではない種類ばかり揃えていた。
「なにこれ! どれも毒キノコなんじゃないの!?」
目をぎょっとさせるコトハ。
「いやいや、そんなことはないさ! でしょ? ユウマ!」
「たしかにこれは……」
俺は全てのキノコを一つ一つ手に取ってマジマジと確認する。
その結果。
「物の見事に全て毒キノコだ」
「なんですとぉ!」
「というのは嘘で、全部食用だ」
「なんですとぉ!」
今度はコトハが言った。
「コレとかもうモロに毒じゃん! 色からしてヤバイよ!」
コトハが指したのは紫色のキノコだ。
「これはムラサキシメジっていうんだ。色が色なので毒っぽいし、生食は危険とされている。だが、よく火を通せば煮物や汁物に使えるぞ」
「そうなんだ! じゃあコレは!? 裏面の色が毒々しいよ!?」
「それはハツタケだ。キノコの中では甘味が強いほうで、ムラサキシメジと違って食用としても一定の地位を築いている。芭蕉の俳句にも登場するぞ『初茸やまだ日数経ぬ秋の露』ってな」
「「へぇ!」」
コトハだけでなくサナエも感心している。
俺たちのやり取りを盗み聞きしているアキノとミズキもだ。
余談だが、ミズキは竹を編んで竹の籠を作っていた。
たしか糸を織って竹を作ると言っていたはずだが……。
ま、サボっていないので好きにやらせよう。
「そんなわけでここにあるキノコはどれも食用だ。とはいえ、先ほども言ったように生食が無理なものもある。というか、こういう環境じゃ基本的に生食は望ましくない。レア派の君もここではウェルダン派に転身だ」
「おー! ユウマ君は頼りになるなぁ!」
「私は!? これらのキノコは私が地面を這いずり回って集めたんだけど!? 犬みたいに鼻をクンクンさせて!」
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そんな彼女を見て俺たちは笑った。
「サナエの能力は分かった。その調子で食材の調達を頼む。キノコ以外のな」
「了解!」
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「いやぁ運搬用に籠が欲しくなってさぁ!」
「そういうことだろうと思ったぜ。好きにしてくれていいよ。自分のペースで頼む」
「はいよーん!」
「アキノは……文句ない! 完璧だ! その調子で!」
アキノは笑顔で頷いた。
「よし、俺たちは海に行って塩を作ってくるぜ!」
「おー!」
鍋を構える俺とコトハ。
「あ、それなら私もついていっていい? 海に行ってみたかったんだよね」
アキノが作業を中断した。
「まぁいいだろう。一緒に行こう。サナエとミズキも来るか? ……って、サナエの奴、もういなくなってら」
先ほどまですぐ傍にいたサナエが消えている。
「私は残っとくよー。一緒に行きたいけど、サナエが戻った時に一人だと可哀想だし!」
「たしかに。優しいな」
「でしょー! ミズキさんは優しさの塊だから!」
俺は「ふっ」と笑った。
「じゃあ洞窟やサナエのことはミズキに任せるとして、俺たちは海に出発だ」
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