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025 絶望の宿泊施設
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誰も管理していない都市部の宿泊施設がどうなるか。
答えは――惨状だ。
使用済みの避妊具や飲み食いした後のゴミが散乱している。
さらには無数のゴキブリが我が物顔で駆けずり回っていた。
「いぃいいいいやぁあああああああ!」
「ゴキブリ無理! 無理無理無理ィ!」
杏奈と梨花は同時に悲鳴を上げた。
「あまり期待できないが他の部屋も確認しておこう」
全ての客室を見て回る。
結果は惨憺たる有様だった。
なんと最初の部屋がマシな部類に入ったのだ。
酷いところでは布団の上に人の糞がぶちまけられていた。
「ここまで酷いとは……」
唖然とする杏奈。
梨花は衝撃のあまり言葉を失っていた。
(それにしても避妊具の数が尋常じゃないな)
どの客室にも数え切れないほどの避妊具が捨ててあった。
ラブホの代わりとして利用されてきたのだろう。
(有志の管理する施設では念を押すように性行為が禁じられていたけど、アレはこうなることを防ぐ目的があったんだな)
そんなことを思っていると、梨花が服を引っ張ってきた。
「とりあえず出ない? こんなところで寝たくないよ」
「同感だ」
俺たちは旅館を後にした。
◇
その後、奇跡を信じて数軒の宿泊施設を回った。
結果は悪い意味で予想通り。
ホテルや旅館の部屋はどこも似たり寄ったりだった。
いつの間にやら時刻は3時前。
仕方ないので、フカフカの布団を諦めることにした。
「ここで休もう」
やってきたのはアウトドア用品の販売店。
ショッピングモールの中に入っている有名ブランドの店だ。
そこにあるテントを使って休むことにした。
元々は家具屋のベッドで寝る予定だった。
しかし、家具屋も宿泊施設同様に酷い有様だったのだ。
「もうダメ! 動けない!」
「私もぉー!」
杏奈と梨花は、それぞれ別のテントに入った。
俺も一人用のテントを利用する。
「「「おやすみー!」」」
真っ暗なアウトドア用品店の中で眠りに就いた。
◇
4時が過ぎるとゲートから魔物がやってくる。
そいつらが蟹江町まで辿り着くのは5時半かそこらだろう。
辺りを埋め尽くすくらい蠢くにはさらに時間がかかる。
ということで、6時過ぎまで寝よう、と事前に決めておいた。
「やべぇ……」
目が覚めた俺は、スマホを確認して顔を引きつらせた。
現在時刻が10時を過ぎていたのだ。
なんてこった起床予定時刻を4時間も超過しているではないか。
「それにしてもどうして起こしてくれなかったんだ……?」
ブツクサ言いながらテントから出ると――。
「もう食べられないよぉ……ふにゃぁ」
「涼真くぅん、魔物ぉ、倒したぁ……うへへぇ」
女性陣のテントから寝言が聞こえてくる。
二人も眠りこけていたのだ。
「おい、起きろ! もう10時だぞ!」
俺は二人を叩き起こした。
テントを開け、足の裏や脇腹をくすぐる。
「おは……ぎゃああああああああ!? 10時ぃ!?」
スマホを確認してギョッとする杏奈。
「もうちょっと寝させてぇ……」
梨花は起きる気配がない。
「やばいよ梨花! もう10時だって! ほら起きて起きて!」
杏奈は梨花に跨がって往復ビンタを食らわせている。
そこまですると、さすがの梨花も目が覚めた。
「10時!? なんで起こしてくれなかったのよぉ!」
で、俺たちと同じように驚いている。
「つーか、よく無事で済んだよな俺たち」
「「たしかに」」
魔物には人間を探知する能力がないのだろう。
仮にあったとしても、ピンポイントで特定できるほどではない。
だからテントで眠っている俺たちに気づかなかったのだ。
「とはいえ、間違いなく外は魔物だらけだ。もしかしたらモール内にも大量の魔物がいるかもしれない」
「どうしたらいいの?」と杏奈。
「とりあえず今の内に朝メシを済ませて、今日の目的地を決めておこう。ここを出たら、次はいつ腹ごしらえができるか分からない」
俺たちはリュックを開け、ひそひそと食事を始めた。
薄くスライスした潮鰹――西伊豆の伝統料理である鰹の塩漬け――を囓る。
塩味が強くて喉が渇くので、ペットボトルの水をグビグビと飲む。
他にも伊豆から持ってきた野菜の酢漬けなどをペロリ。
「米がほしいぜ」
女性陣が「分かる分かる!」と口を揃えた。
「開けちゃう? 甲府で買ったパックのご飯、開けちゃう?」
杏奈がレトルト米を取り出した。
できれば電子レンジで温めたいが――。
「開けちゃうかぁ!」
――レンチンできる環境ではないのでそのまま食べる。
「うめぇ!」
「地元に戻った感じがする!」
「ねー!」
しばらく朝食を満喫する。
胃袋が落ち着いたらスマホを見ながら作戦会議だ。
「時間が押しているし、テントで寝たせいで疲労も残っている。ということで、今回は想定よりも手前……美濃松山駅の周辺をゴールにしたい」
「それはいいけど、美濃松山駅ってどこ!?」
梨花が「私も思った!」と笑う。
「岐阜県の〈南濃町松山〉って場所だ。二人にも分かるように言うと、ここから自転車で2時間程度の距離にある」
「近ッ! そんなにちょっとしか進まなくていいの!? 二日で滋賀まで行く予定なんだよね?」
「もちろんよくないし、たぶん滋賀まで二日ではなく三日を要することになる。でも、これがベストだと思うんだ」
杏奈が何か言う前に、俺は続けて話した。
「というのも、美濃松山駅周辺は自衛隊の駐屯地になっている」
「おー! じゃあ安全なんだ!?」
「そうだ。ネットによるとプレハブ小屋を借りられるみたいで、近くに大浴場や大食堂が備わっているらしい」
「いいじゃん!」
「加えて、美濃松山以降で泊まれそうな場所が全然ないんだ。ここを逃せば移動時間が4時間くらい延びる。野宿でもいいなら話は別だが」
「そりゃきつい!」
梨花が「野宿は嫌ぁ!」と両手を上げた。
「だろ? だから今日は岐阜県の南濃町松山にある美濃松山駅を目指そう」
「「了解!」」
本日の予定が決まった。
フードコートのウォーターサーバーで水を補給したら出発だ。
俺たちはモールの出入口前までやってきた。
「分かってはいたがとんでもねぇ数だな」
「ねー」
外には魔物がうじゃうじゃ。
見えている範囲で1000体は下らない数だ。
実際にはその10倍、いや、それ以上の数がいるだろう。
「どれだけ数がいても【雷霆】があれば……って、おい! ローニンまでいるじゃねぇか!」
落雷をモノともしない天敵だ。
こいつがザコの中に混ざっているのは厄介だ。
「まずは駐輪場まで行ってチャリを回収せねばならんが……いやはや、これは厳しい戦いが予想されるな」
「私が【火の鳥】でローニンを蹴散らして、その後で涼真君が【雷霆】で他の敵を倒すってのはどうかな?」
梨花が提案する。
「それも悪くないが、いかんせん数が多すぎる」
理由は不明だが、敵はモールに入る気がないようだ。
それをいいことに、俺は武器を新調することにした。
状況を打破するのに最適な武器を用意しよう。
「できればもう少し貯めてからにしたかったが、死んでしまっては意味がないからな」
ということで、まずは異世界リスナーに相談だ。
〈Yotube〉を開いて配信を開始した。
『ちょっと時間が空いたから心配……って、絶体絶命じゃねーか!』
配信が始まった瞬間にやってきたルーベンスが、開口一番に良いリアクションを見せてくれた。
『すっげー数!』
『地球って魔物の密度がやべーよなぁ』
『たぶん土地の面積が小さいのだろうな、こっちより』
『ローニンいるじゃん! 主の大好きな【雷霆】が効かないぞw』
一気に視聴者が増え、コメント欄も盛り上がりを見せている。
「状況は言うまでもなく分かったと思う。そこで相談だが、武器を新調してこの難局を乗り切りたいからアドバイスをくれ」
『所持金は?』
『予算』
『予算次第』
『手持ちなんぼ?』
俺は〈Amozon〉の画面を見ながら言った。
「31万3722ptだな。でも、可能な限り安く済ませたい」
『ならFランクの2OP武器でいいんじゃないか?』
『スフィア込みで12万だし俺もそれがいいと思う』
『枠2Fにしよう』
満場一致でOP枠2つのFランク武器に決まった。
武器代が10万にOP代が2万の計12万pt。
「よかったら2OPにする理由を教えてくれないか? 俺はてっきり1OPで良さそうなものを教えてもらえると思ったんだがな」
枠が増えると武器の価格が跳ね上がる。
Fランク武器の場合、枠なしが1000、1枠が1万、2枠が10万だ。
MAXの3枠になると30万もする。Fランクなのに。
『1枠だとどうしても限界がある』
『敵の種類が豊富だから1OPで皆殺しは難しい』
『ローニン以外にも特定の攻撃を無効化するザコがいるからな』
俺は「なるほどなぁ」と納得する。
そんな時、ルーベンスが興味深いことを言いだした。
『主はOP枠が2になる意味を理解していなさそうだな』
『というと?』
『例えば【雷霆】と【天剣】の組み合わせだったら、範囲内の全ての敵に雷が落ちて、さらに対象の敵1体に剣が落ちると思っているんじゃないか?』
「違うのか?」
『1OPの武器を別々に使う場合は違わないが、2OPになると少し違う』
「どういうことだ?」
『一つの武器に複数のオプションをセットした場合、オプションの効果が合体するんだ。【雷霆】と【天剣】の組み合わせなら、全ての敵に雷と剣が落ちるようになる』
「単体攻撃に特化している【天剣】まで全体攻撃になるだと!?」
『セットするオプションが複数になると、効果は足し算ではなく掛け算方式で強化されるのさ。これが2OP・3OPの強さだよ』
ルーベンスの解説に、俺は強い衝撃を受けた。
答えは――惨状だ。
使用済みの避妊具や飲み食いした後のゴミが散乱している。
さらには無数のゴキブリが我が物顔で駆けずり回っていた。
「いぃいいいいやぁあああああああ!」
「ゴキブリ無理! 無理無理無理ィ!」
杏奈と梨花は同時に悲鳴を上げた。
「あまり期待できないが他の部屋も確認しておこう」
全ての客室を見て回る。
結果は惨憺たる有様だった。
なんと最初の部屋がマシな部類に入ったのだ。
酷いところでは布団の上に人の糞がぶちまけられていた。
「ここまで酷いとは……」
唖然とする杏奈。
梨花は衝撃のあまり言葉を失っていた。
(それにしても避妊具の数が尋常じゃないな)
どの客室にも数え切れないほどの避妊具が捨ててあった。
ラブホの代わりとして利用されてきたのだろう。
(有志の管理する施設では念を押すように性行為が禁じられていたけど、アレはこうなることを防ぐ目的があったんだな)
そんなことを思っていると、梨花が服を引っ張ってきた。
「とりあえず出ない? こんなところで寝たくないよ」
「同感だ」
俺たちは旅館を後にした。
◇
その後、奇跡を信じて数軒の宿泊施設を回った。
結果は悪い意味で予想通り。
ホテルや旅館の部屋はどこも似たり寄ったりだった。
いつの間にやら時刻は3時前。
仕方ないので、フカフカの布団を諦めることにした。
「ここで休もう」
やってきたのはアウトドア用品の販売店。
ショッピングモールの中に入っている有名ブランドの店だ。
そこにあるテントを使って休むことにした。
元々は家具屋のベッドで寝る予定だった。
しかし、家具屋も宿泊施設同様に酷い有様だったのだ。
「もうダメ! 動けない!」
「私もぉー!」
杏奈と梨花は、それぞれ別のテントに入った。
俺も一人用のテントを利用する。
「「「おやすみー!」」」
真っ暗なアウトドア用品店の中で眠りに就いた。
◇
4時が過ぎるとゲートから魔物がやってくる。
そいつらが蟹江町まで辿り着くのは5時半かそこらだろう。
辺りを埋め尽くすくらい蠢くにはさらに時間がかかる。
ということで、6時過ぎまで寝よう、と事前に決めておいた。
「やべぇ……」
目が覚めた俺は、スマホを確認して顔を引きつらせた。
現在時刻が10時を過ぎていたのだ。
なんてこった起床予定時刻を4時間も超過しているではないか。
「それにしてもどうして起こしてくれなかったんだ……?」
ブツクサ言いながらテントから出ると――。
「もう食べられないよぉ……ふにゃぁ」
「涼真くぅん、魔物ぉ、倒したぁ……うへへぇ」
女性陣のテントから寝言が聞こえてくる。
二人も眠りこけていたのだ。
「おい、起きろ! もう10時だぞ!」
俺は二人を叩き起こした。
テントを開け、足の裏や脇腹をくすぐる。
「おは……ぎゃああああああああ!? 10時ぃ!?」
スマホを確認してギョッとする杏奈。
「もうちょっと寝させてぇ……」
梨花は起きる気配がない。
「やばいよ梨花! もう10時だって! ほら起きて起きて!」
杏奈は梨花に跨がって往復ビンタを食らわせている。
そこまですると、さすがの梨花も目が覚めた。
「10時!? なんで起こしてくれなかったのよぉ!」
で、俺たちと同じように驚いている。
「つーか、よく無事で済んだよな俺たち」
「「たしかに」」
魔物には人間を探知する能力がないのだろう。
仮にあったとしても、ピンポイントで特定できるほどではない。
だからテントで眠っている俺たちに気づかなかったのだ。
「とはいえ、間違いなく外は魔物だらけだ。もしかしたらモール内にも大量の魔物がいるかもしれない」
「どうしたらいいの?」と杏奈。
「とりあえず今の内に朝メシを済ませて、今日の目的地を決めておこう。ここを出たら、次はいつ腹ごしらえができるか分からない」
俺たちはリュックを開け、ひそひそと食事を始めた。
薄くスライスした潮鰹――西伊豆の伝統料理である鰹の塩漬け――を囓る。
塩味が強くて喉が渇くので、ペットボトルの水をグビグビと飲む。
他にも伊豆から持ってきた野菜の酢漬けなどをペロリ。
「米がほしいぜ」
女性陣が「分かる分かる!」と口を揃えた。
「開けちゃう? 甲府で買ったパックのご飯、開けちゃう?」
杏奈がレトルト米を取り出した。
できれば電子レンジで温めたいが――。
「開けちゃうかぁ!」
――レンチンできる環境ではないのでそのまま食べる。
「うめぇ!」
「地元に戻った感じがする!」
「ねー!」
しばらく朝食を満喫する。
胃袋が落ち着いたらスマホを見ながら作戦会議だ。
「時間が押しているし、テントで寝たせいで疲労も残っている。ということで、今回は想定よりも手前……美濃松山駅の周辺をゴールにしたい」
「それはいいけど、美濃松山駅ってどこ!?」
梨花が「私も思った!」と笑う。
「岐阜県の〈南濃町松山〉って場所だ。二人にも分かるように言うと、ここから自転車で2時間程度の距離にある」
「近ッ! そんなにちょっとしか進まなくていいの!? 二日で滋賀まで行く予定なんだよね?」
「もちろんよくないし、たぶん滋賀まで二日ではなく三日を要することになる。でも、これがベストだと思うんだ」
杏奈が何か言う前に、俺は続けて話した。
「というのも、美濃松山駅周辺は自衛隊の駐屯地になっている」
「おー! じゃあ安全なんだ!?」
「そうだ。ネットによるとプレハブ小屋を借りられるみたいで、近くに大浴場や大食堂が備わっているらしい」
「いいじゃん!」
「加えて、美濃松山以降で泊まれそうな場所が全然ないんだ。ここを逃せば移動時間が4時間くらい延びる。野宿でもいいなら話は別だが」
「そりゃきつい!」
梨花が「野宿は嫌ぁ!」と両手を上げた。
「だろ? だから今日は岐阜県の南濃町松山にある美濃松山駅を目指そう」
「「了解!」」
本日の予定が決まった。
フードコートのウォーターサーバーで水を補給したら出発だ。
俺たちはモールの出入口前までやってきた。
「分かってはいたがとんでもねぇ数だな」
「ねー」
外には魔物がうじゃうじゃ。
見えている範囲で1000体は下らない数だ。
実際にはその10倍、いや、それ以上の数がいるだろう。
「どれだけ数がいても【雷霆】があれば……って、おい! ローニンまでいるじゃねぇか!」
落雷をモノともしない天敵だ。
こいつがザコの中に混ざっているのは厄介だ。
「まずは駐輪場まで行ってチャリを回収せねばならんが……いやはや、これは厳しい戦いが予想されるな」
「私が【火の鳥】でローニンを蹴散らして、その後で涼真君が【雷霆】で他の敵を倒すってのはどうかな?」
梨花が提案する。
「それも悪くないが、いかんせん数が多すぎる」
理由は不明だが、敵はモールに入る気がないようだ。
それをいいことに、俺は武器を新調することにした。
状況を打破するのに最適な武器を用意しよう。
「できればもう少し貯めてからにしたかったが、死んでしまっては意味がないからな」
ということで、まずは異世界リスナーに相談だ。
〈Yotube〉を開いて配信を開始した。
『ちょっと時間が空いたから心配……って、絶体絶命じゃねーか!』
配信が始まった瞬間にやってきたルーベンスが、開口一番に良いリアクションを見せてくれた。
『すっげー数!』
『地球って魔物の密度がやべーよなぁ』
『たぶん土地の面積が小さいのだろうな、こっちより』
『ローニンいるじゃん! 主の大好きな【雷霆】が効かないぞw』
一気に視聴者が増え、コメント欄も盛り上がりを見せている。
「状況は言うまでもなく分かったと思う。そこで相談だが、武器を新調してこの難局を乗り切りたいからアドバイスをくれ」
『所持金は?』
『予算』
『予算次第』
『手持ちなんぼ?』
俺は〈Amozon〉の画面を見ながら言った。
「31万3722ptだな。でも、可能な限り安く済ませたい」
『ならFランクの2OP武器でいいんじゃないか?』
『スフィア込みで12万だし俺もそれがいいと思う』
『枠2Fにしよう』
満場一致でOP枠2つのFランク武器に決まった。
武器代が10万にOP代が2万の計12万pt。
「よかったら2OPにする理由を教えてくれないか? 俺はてっきり1OPで良さそうなものを教えてもらえると思ったんだがな」
枠が増えると武器の価格が跳ね上がる。
Fランク武器の場合、枠なしが1000、1枠が1万、2枠が10万だ。
MAXの3枠になると30万もする。Fランクなのに。
『1枠だとどうしても限界がある』
『敵の種類が豊富だから1OPで皆殺しは難しい』
『ローニン以外にも特定の攻撃を無効化するザコがいるからな』
俺は「なるほどなぁ」と納得する。
そんな時、ルーベンスが興味深いことを言いだした。
『主はOP枠が2になる意味を理解していなさそうだな』
『というと?』
『例えば【雷霆】と【天剣】の組み合わせだったら、範囲内の全ての敵に雷が落ちて、さらに対象の敵1体に剣が落ちると思っているんじゃないか?』
「違うのか?」
『1OPの武器を別々に使う場合は違わないが、2OPになると少し違う』
「どういうことだ?」
『一つの武器に複数のオプションをセットした場合、オプションの効果が合体するんだ。【雷霆】と【天剣】の組み合わせなら、全ての敵に雷と剣が落ちるようになる』
「単体攻撃に特化している【天剣】まで全体攻撃になるだと!?」
『セットするオプションが複数になると、効果は足し算ではなく掛け算方式で強化されるのさ。これが2OP・3OPの強さだよ』
ルーベンスの解説に、俺は強い衝撃を受けた。
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