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思い出す
落とし物
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なんでこんな時間に女子高生がこんなとこにいるんだ?
そして、なんで本じゃなくてノートを読んでるんだ?
その持ち方、明らかに予習・復習じゃないだろ。
もう訳が分からない。
早く帰ろう。不気味だ。
「このノート、落としましたよね?」
…なんだ?急に話しかけてきて。
宏樹「ノートを落とした覚えはないですけど。」
「まあまあ、名前の確認くらいしてみたら?」
まあ、一応してみよう。
俺が気づいてないだけで本当に落としてきた可能性だってある。
宏樹「分かった。貸してくれ」
俺はその子からノートを渡してもらった。
さっきまで暗くてよく分からなかったが、このノート、見たことあるぞ。
俺が小説の事を色々書いてるノートと同じやつだ。
もし、これが俺のなら裏面の左下に名前が書いてあるはず。
"渡辺 宏樹"
裏面の左下には、見慣れた汚い字で俺の名前が書いてあった。
中身を流し見てみると、やはり汚い字で小説のアイデアやら構想やらが書いてある。
宏樹「これ…俺のノートだ。」
「ふふっ、見つかって良かった」
宏樹「君はこれをどこで見つけた?」
「えっと、大学の庭にあるベンチに置いてあったよ」
そういえば、帰る前にそこでノートを書いたりしていた。
その時に置き忘れたのか。
…ん?
この子、高校生なのにほぼ日が落ちた時間に大学の庭に行ったのか?
大学に用があって行くとしても、なんでその時間にあの場所へ?
そもそも、なんで俺が宏樹だって知ってるんだ?
宏樹「そうか、ありがとう。でも、なんで俺がこのノートの持ち主だって分かった?」
「そんなの、前から知ってるからに決まってるじゃん」
宏樹「え?でも君、高校生でしょ」
「あー…まあ私は小柄だし、そう思っちゃう人が多いのは知ってるよ、でも私は宏樹君と同じ大学に通ってる大学生だよ」
宏樹「同じ大学に?俺は君を見たことがないのだけど…名前は?」
「香音、汐崎 香音っていうの、思い出した?」
いや、初耳だ。
他の生徒に関心がないからとはいえ、聞いたことがない子が俺を知ってるとは。
宏樹「いや…すまないが知らなかった。」
香音「まあいいよ。それよりも、宏樹君の小説面白いね!」
宏樹「…あぁ、それはどうも」
香音「私夢中になっちゃって、この前なんて読んでたら朝になっちゃってたんだもん。凄いよ、宏樹君の小説」
俺は書いた小説をネットに投稿していた。
ニックネームとか、ネットで使う名前みたいなのは無く、本名で活動してたから香音さんも俺の事を知っているのだろう。
香音「でも、最近ちょっと更新頻度低めで寂しいの。小説じゃないけど、私も創作活動みたいなのはしてるからさ、そういう特有の辛さみたいなのがあるのは知ってるよ。宏樹君、大丈夫?」
宏樹「まぁ…大丈夫かな、多分」
香音「もー多分ってどういうこと?自分の事なのに」
宏樹「分かった分かった、大丈夫だって。というか、もう夜なんだし帰った方が良いよ。女子大生が夜中に一人は危険だ」
香音「誰のせいでこんな夜中にここに座ってたと思ってるの!」
宏樹「…それは…本当にありがとうございました。」
香音「だーかーら、駅まで一緒に行こ?」
宏樹「…えぇ」
香音「私一人じゃ危ないんでしょ?男の人いれば私も安心だし、小説の事も沢山話せるじゃん。一石二鳥だと思わない?」
宏樹「いくら何でも流石に…そもそも、俺達は初対面だぞ?もし俺が悪いことでも企んでたらどうするんだ?」
香音「勿論、宏樹君じゃなかったら一人で帰ってるよ。宏樹君がそんな事考える人じゃないって、私は知ってるし」
俺は思わずため息を吐いてしまった。
俺は女性経験が無いんだぞ?
しかも、関わる事なんてないと思って、女性に対する態度~とか言動~とか、何も調べたりしてない。
別に狙ってる訳じゃないが、俺と関わって不愉快な思いをしてほしくないんだ。
それに、香音さんは男の情緒を不安定にしてくるような事ばっかり言ってる。
重要なのは、これが初対面である事だ。
幼馴染みで昔から仲が良いとか、付き合ってるとか、そういう関係じゃない。今会ったばかりだ。
本当にこの人は大丈夫なんだろうか…
香音「ほら、ボーッとしてないで、早く行こ?電車行っちゃうよ」
宏樹「分かった行くから、腕を引っ張らないでくれ、尚更書けなくなるぞ」
香音「ごめんって、じゃあ行こっか」
そうして俺は駅まで香音さんを送ることになった。
そして、なんで本じゃなくてノートを読んでるんだ?
その持ち方、明らかに予習・復習じゃないだろ。
もう訳が分からない。
早く帰ろう。不気味だ。
「このノート、落としましたよね?」
…なんだ?急に話しかけてきて。
宏樹「ノートを落とした覚えはないですけど。」
「まあまあ、名前の確認くらいしてみたら?」
まあ、一応してみよう。
俺が気づいてないだけで本当に落としてきた可能性だってある。
宏樹「分かった。貸してくれ」
俺はその子からノートを渡してもらった。
さっきまで暗くてよく分からなかったが、このノート、見たことあるぞ。
俺が小説の事を色々書いてるノートと同じやつだ。
もし、これが俺のなら裏面の左下に名前が書いてあるはず。
"渡辺 宏樹"
裏面の左下には、見慣れた汚い字で俺の名前が書いてあった。
中身を流し見てみると、やはり汚い字で小説のアイデアやら構想やらが書いてある。
宏樹「これ…俺のノートだ。」
「ふふっ、見つかって良かった」
宏樹「君はこれをどこで見つけた?」
「えっと、大学の庭にあるベンチに置いてあったよ」
そういえば、帰る前にそこでノートを書いたりしていた。
その時に置き忘れたのか。
…ん?
この子、高校生なのにほぼ日が落ちた時間に大学の庭に行ったのか?
大学に用があって行くとしても、なんでその時間にあの場所へ?
そもそも、なんで俺が宏樹だって知ってるんだ?
宏樹「そうか、ありがとう。でも、なんで俺がこのノートの持ち主だって分かった?」
「そんなの、前から知ってるからに決まってるじゃん」
宏樹「え?でも君、高校生でしょ」
「あー…まあ私は小柄だし、そう思っちゃう人が多いのは知ってるよ、でも私は宏樹君と同じ大学に通ってる大学生だよ」
宏樹「同じ大学に?俺は君を見たことがないのだけど…名前は?」
「香音、汐崎 香音っていうの、思い出した?」
いや、初耳だ。
他の生徒に関心がないからとはいえ、聞いたことがない子が俺を知ってるとは。
宏樹「いや…すまないが知らなかった。」
香音「まあいいよ。それよりも、宏樹君の小説面白いね!」
宏樹「…あぁ、それはどうも」
香音「私夢中になっちゃって、この前なんて読んでたら朝になっちゃってたんだもん。凄いよ、宏樹君の小説」
俺は書いた小説をネットに投稿していた。
ニックネームとか、ネットで使う名前みたいなのは無く、本名で活動してたから香音さんも俺の事を知っているのだろう。
香音「でも、最近ちょっと更新頻度低めで寂しいの。小説じゃないけど、私も創作活動みたいなのはしてるからさ、そういう特有の辛さみたいなのがあるのは知ってるよ。宏樹君、大丈夫?」
宏樹「まぁ…大丈夫かな、多分」
香音「もー多分ってどういうこと?自分の事なのに」
宏樹「分かった分かった、大丈夫だって。というか、もう夜なんだし帰った方が良いよ。女子大生が夜中に一人は危険だ」
香音「誰のせいでこんな夜中にここに座ってたと思ってるの!」
宏樹「…それは…本当にありがとうございました。」
香音「だーかーら、駅まで一緒に行こ?」
宏樹「…えぇ」
香音「私一人じゃ危ないんでしょ?男の人いれば私も安心だし、小説の事も沢山話せるじゃん。一石二鳥だと思わない?」
宏樹「いくら何でも流石に…そもそも、俺達は初対面だぞ?もし俺が悪いことでも企んでたらどうするんだ?」
香音「勿論、宏樹君じゃなかったら一人で帰ってるよ。宏樹君がそんな事考える人じゃないって、私は知ってるし」
俺は思わずため息を吐いてしまった。
俺は女性経験が無いんだぞ?
しかも、関わる事なんてないと思って、女性に対する態度~とか言動~とか、何も調べたりしてない。
別に狙ってる訳じゃないが、俺と関わって不愉快な思いをしてほしくないんだ。
それに、香音さんは男の情緒を不安定にしてくるような事ばっかり言ってる。
重要なのは、これが初対面である事だ。
幼馴染みで昔から仲が良いとか、付き合ってるとか、そういう関係じゃない。今会ったばかりだ。
本当にこの人は大丈夫なんだろうか…
香音「ほら、ボーッとしてないで、早く行こ?電車行っちゃうよ」
宏樹「分かった行くから、腕を引っ張らないでくれ、尚更書けなくなるぞ」
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そうして俺は駅まで香音さんを送ることになった。
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