隘路

重過失

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振り返る

生の由来

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…そうだ。

俺はこの学校で起こった事が理由で、人に迷惑をかけたくないと思い続けてきたんだ。
人に迷惑をかける事の罪悪感、責任感、事の重みにこの心は打ちのめされたんだ。

だから昔やってた仕事でも一人でいることが多かった。少なくとも、一人でいれば誰かに迷惑をかける事はないと思ったからだ。

そんなだから、楽しみは少ないし、趣味も一人でやるようなものばかり。でもこれでいいんだ。

誰にも迷惑かけなくて済むから…

昔通っていた小学校を見て、久しぶりに昔の記憶を振り返る事ができた。
俺はこのまま、この命が尽きるまで誰にも迷惑をかけずに生きていくのを強く望んでいる。

赤信号の交差点で止まり、そうやって思い出に耽っていると、下校中の小学生が歩いてきた。

今の小学生は昔と違って怖いな…
何を知っていて、何をしてくるかも分からないから…

「おらっ、年金ジジイ!」

急にヘルメットに何かが当たった。
いや、当てられたのか?
当たったものが跳ね返って地面に落ち、俺はそれを見つけると、それは小さな石だった。

「なんだヘルメットなんてつけやがって、それも年金で買ったんだろ!」

…?
俺の目線の先には小学生が二人いる。
この声は、この小学生から出ているということで間違いないだろう…

「よっしゃ!もういっぱ─」
「止めろ!」

また急に声がした。
今度は声変わりしていて、小学生ではないのがわかる。

「うわ、やばいぞ逃げろ逃げろ!」
「…」

俺に石を投げつけてきた小学生が、どこかへ走って逃げた後、その少年は深くため息をついた。

「じいちゃん、大丈夫?」

この声は…悠斗か!
はは…もうボケてしまったのか、実の孫の声を聞いてもすぐに判断出来なくなっているな…

幸次「おう、大丈夫だよ。ありがとな」
悠斗「そっか、なら良かった。じいちゃん頑張ってね。」

思わず悠斗に助けられたな。
悠斗が居なかったら、信号が青になるまで黙って待っていただろうし…
それに、最近は老人に対する当たりが厳しい。
もし俺が、あの小学生に何か注意でもしたら、小学校に通報されて、次の日に不審者として扱われて、新聞にも載る。
そんなことになったら、また家族に迷惑をかけることになるからな…

悠斗「最近の子供は何を考えているんだ?…」

悠斗はそう呟きながら去っていった。
はぁ、しかし、あの年金ジジイという言われようはきつかったな。
確かにそうだけど、それを使ってパチンコに行ってないだけいいだろう…

本当に、悠斗の言う通りだ。最近の若者は何を考えているのかさっぱり分からない…

────────

「じいちゃん、ちょっと出掛けてくるから、お留守番宜しくね」

どうやら、宏樹達はどこかへ出かけるらしい。
俺は毎度のこと留守番だ。
まあ、着いていっても買いたいものはないし、邪魔になるから留守番していたほうがいい。

悠斗はこういう外出には行かない。
何故かは知らないが、まあ、悠斗も俺と同じことを思ってるのかもな。
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