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辻本 陽太
疑問符
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指定した時刻になり、俺はルーイさんと合流した。
現実では初対面だが、温和な雰囲気を纏っている。
ただ、あの事もあったしどこか不気味なものも感じる。
まあこんな事を思っていてもどうしようもない。
俺とルーイさんは早速、店に入って席に座った。
ルーイ「その…。この前は本当にすみませんでした。」
陽太「いやいや、俺は大丈夫ですよ」
ルーイ「それで…。シズさんとお付き合いを始めたんだとか。」
陽太「まぁ、嬉しい事に」
ルーイ「おめでとうございます。これからの二人に幸あれという事で…」
俺とルーイは雑談をしながら注文した料理を食べていく。
実際に会ってもその態度や言動は変わらず、丁寧で温厚だ。
ただ、やっぱりこの人には謎が多い。
顔も声も年齢も性別もこの辺に住んでいる事も分かっている。
一見すると何もかも知ってる様に思えるが、
逆に言えばそれ以外の事が分からないのだ。
生い立ち、性格、私生活、全てが謎に包まれている。
そんな人間と一緒にいて、飯を食べていると思うとちょっとゾッとする。
ただ、そんな事を言い始めればネットで知り合った人全員に言える事だし、静だって元々はそうだった。
ルーイ「そうだ、私だけ陽太さんの本名を知っているっていうのもアレなので、私のも言います。」
陽太「えっ…いいですよそんな、個人情報じゃないですか」
ルーイ「杉崎 累。ニックネームのままです。」
陽太「そ、そうなんですね…」
ルーイ「いいんですよこれくらい。お互いに関わり合いを深める為にはこういう些細な事でも伝えておきたいので。」
陽太「ま、まぁ、そうですね」
急に、一体なんだ…
やっぱり、この人には不気味な何かがある…
ただ、正論かもしれないな。
些細な事でも伝えておけば自然と仲は深まる…
納得出来るような気がする。
うーん…。俺もなんかあったらこの人に相談しようかなぁ…
料理を食べ終わった俺達は、会計に進んだ。
累さんが奢る事になっていたので俺は先に店外に出ていた。
スマホ見てみると時間は夜になっていて、辺りも暗くなっていた。
早く帰ろう。俺は累さんと別れた後、速攻で家に帰った。
最近、静の人気がどんどんと上がっている。
俺としては、ストーカーとかが心配だ。
静の行動も少しずつ活発になっているから、最悪な事を考えると住所特定…とかをされているかもしれない。
そんな輩がいる訳ないと思いたいが、俺はひたすら心配だった。
だが、いくらいつでもLineで会話できるとは言っても住んでる場所が違うからいざという時に俺は出来る事が無い…
そこで俺が一番に思いついたのが、静と一緒に住む事だった。だが…
…正直、こういう事はまだ早いと思うし、お金関係をどうするのかとか、そもそも静と双方の両親が同意してくれるか…
とりあえず、静に何かあってからじゃ遅いと思い、静と俺の親に言ってみた。
静は了承してくれた。俺の母は俺達の心配をして反対していたが、父親が了承してくれた。
静も親に言ってくれたらしいが、親の返答はどちらもNOだった。
まあそうだよな…かわいい娘を危ない可能性のある事はさせたくない。それは充分理解出来る。
ただ、それはこっちも同じだ。かわいい彼女を放置出来るかってんだ。
俺は静の親をなんとか説得する為に静の家に行く事にした。
俺は母親を説得して、静の両親を説得しに行った。
静の家に着き、静が出迎えてくれた。
席に座って、静の両親も対面に座った。
先に連絡をしておいたからお互い、何の為にここにいるのか分かっているはずだ。
俺は、すぐに目的を果たす為に静の両親にこう話しかける。
陽太「じゃあ、早速…」
陽太「静が動画投稿者であるのは知っていますよね。最近、静の人気がどんどん上がってきました。
その影響で静がもしかしたら危険な目に遭うかもしれない…。」
静の両親「…」
陽太「そんな事、もし起こったら一番許せないのはあなた達ですよね。
でも今、静は一人です。最近、深夜に襲う様な事をする犯罪者も増えています。」
陽太「もし、あなた方の目の届かない所で静に何かがあってからじゃもう遅いです。」
静の両親「……」
陽太「なので…どうか俺と静が二人で暮らす事をお許しください。」
俺はそう言うと床に土下座した。
頭を床に付けて、ただひたすらに相手の返答を待った。
静の父親「…分かった。そこまで静の事を気にかけてくれるお前なら、静の事を任せられるな。」
その言葉が聞こえた瞬間、俺はゆっくりと顔を上げた。
陽太「あ、ありがとうございます…!」
静の父親「ただ…今すぐはダメだ。」
陽太「えっ…それはどういう…」
静の父親「俺の知り合いに良いアパートのオーナーがいる。そいつに紹介するから少し待て。」
陽太「わ、わざわざそこまで…本当にありがとうございます…」
こうして静との同居が許された俺は、静の父親の言う通り、待つ事にした。
静は絶対に俺が守る。
───
静のお父さんが言ってくれた様に、俺は待っていた。
しばらくして、アパートのオーナーに俺と静を紹介してくれた。
オーナーは未成年者である俺達でも、快く受け入れてくれた。
支払い能力に関しては、俺も勿論出すが、大半は静の動画収益になる…。
静は大丈夫って言っていたものの申し訳ないな。
オーナーが未成年だからって秘密裏に礼金はいらないって言ってくれたものの、他にも色々払うべきものが多い。
バイトをしていない俺には収入が無い。静の収入だけでダラダラと暮らすのは彼氏としてというか、人としてどうなのだろうか。
だからといって俺に何か出来るわけでもない。
仕方ない。ここは静に任せて、俺は後から恩を返していこう。
今の俺にはそれしか出来ない。
同棲し始めてから一ヶ月経った。
静の収益は俺が思っていたよりも多くて、生活に不自由が生まれるだろうと思っていたがどうやら杞憂だった様だ。
そりゃ勿論、我慢するべきところはあるけど、前と何ら変わりない。同棲する前と同じくらいだ。
というか、不満なんかより良い事の方が多く出来た。
愛している彼女と一緒にいれるし、それだけでもう元は取れてる。
静はPCが買いたいらしい。その事は前から知っていたが、俺も何か手伝いたい。
だから、俺もバイトを始める事にした。
部活の先輩達には申し訳ないし、沢山お世話になったと思っている。
でも俺は彼女の為になりたい。だから部活をやめてバイトをする…。
俺は顧問の先生にそれを伝えた。
彼女の為になりたい、とは言わなかったが先生も何か察したのか、俺が辞める事をOKしてくれた。
先輩には、
「お前には彼女がいるからな、男なんだから尽くしてやらないとダメだぞ?」
と言われた。
勿論、恩は絶対に返すつもりだ。
そして俺は部活を正式に辞め、バイトを始めた。
俺は静とは違うところでバイトをする事にした。
別に静が嫌いとかではなくて、単純に俺にとって一番条件が良いとこにした。
これで俺にも収入が出来た。
この収入で家賃やらを払えば静はもっと貯金出来るだろう。
最近、愛莉に変化が起きた。
俺が傘を返す約束をして、結局愛莉の家にそのまま置いた日の後、一週間学校に来なかった。
その期間、生徒会は副会長が代わりになって会議やらを進めていた。
でもその来なかった一週間が終わると、学校に姿を現した。
若干やつれていて、以前の様に、調子に乗ったりする事が全く無くなった。
むしろ落ち着いたというか、暗くなった気がした。
もしかして累さんが何かしたのか…?と思ったが、たかがそんな事でこんなに急変するだろうか。
でも、あの得体の知れない不気味な雰囲気がする累さんならあるいは…
と、色々疑っていたところに累さんから着信が来た。
最近の静の様子はどうかとか、そういった内容だった。
ただ、累さんは何か言いたげな口調で、あまり話を終わろうとしなかった。
だから俺は何が話したいのか、それを聞いてみる事にした。
陽太「それで、何か言いたげですけど、どうかしたんですか?」
累「いや…そうですね、言います。」
累「実は、私の働いているところに静さんが来たんですよね。」
そう発される累さんの言葉に、俺は耳を疑った。
陽太「それは…本当なんですか?」
累「その人の名前も静で、性格も、纏っている雰囲気、後は声もそっくりですし、おそらく本人だと思います。」
静本人に確認を取りたかったが、生憎のところ今は居ない。
だからLineで一応言ってみた。
陽太「そうですか…。で、後もう一つ聞きたい事があるんですが。」
累「はい、何でしょうか」
陽太「愛莉さんに何かしましたか?」
俺は気になっていた事を率直に聞いた。
あの人柄の変貌ぶり、誰かが介入しないとああはならないと思う。
そして誰かが介入したのなら…それは時系列的にも累さんだろう。
別に犯人探しをしている訳ではないが、俺が気になったので聞いた。
累「あー…彼女ですか。」
累「私が話に行った時、その事を話題に出した途端に泣き始めたんですよ。」
累「どうやら、彼女も自分なりに反省していたみたいで、静が部活をやめた時に申し訳ない事をした、ずっと思っていたらしいんです。」
あの愛莉がそんな事…考えるのか?
いや、生徒会長という信頼で確立された地位にいる愛莉ならそういうとこもあるだろう。
俺が知らないだけで、愛莉は愛莉なりに考えていたのかもしれない…。
累「で、そういう事を訊いてくるって事は、愛莉さんに何かあったんですか?」
陽太「そう、学校で見かける時とか、生徒会の会議の時とかも、ずっと暗いというか…変わったんです」
陽太「だから累さんに訊きました。まさか、そんな事を考えていたなんて…」
そして俺は累さんとの通話を切った。
そうか、愛莉もそういう人間だったんだな。
てっきり調子に乗りまくって、後輩をいじめる悪人だと思っていたが…。
どうやら違ったらしい。
遂に静がPCを買ったらしい。
陽太君が家賃とかを代わりに払ってくれたおかげだって、何回も感謝の言葉を伝えられた。
俺は当然の事をしただけなんだがな…
とにかく静がまた一歩、新しく歩んだという事だ。
この調子でどんどん目的を達成していければ良いんだが…。
現実では初対面だが、温和な雰囲気を纏っている。
ただ、あの事もあったしどこか不気味なものも感じる。
まあこんな事を思っていてもどうしようもない。
俺とルーイさんは早速、店に入って席に座った。
ルーイ「その…。この前は本当にすみませんでした。」
陽太「いやいや、俺は大丈夫ですよ」
ルーイ「それで…。シズさんとお付き合いを始めたんだとか。」
陽太「まぁ、嬉しい事に」
ルーイ「おめでとうございます。これからの二人に幸あれという事で…」
俺とルーイは雑談をしながら注文した料理を食べていく。
実際に会ってもその態度や言動は変わらず、丁寧で温厚だ。
ただ、やっぱりこの人には謎が多い。
顔も声も年齢も性別もこの辺に住んでいる事も分かっている。
一見すると何もかも知ってる様に思えるが、
逆に言えばそれ以外の事が分からないのだ。
生い立ち、性格、私生活、全てが謎に包まれている。
そんな人間と一緒にいて、飯を食べていると思うとちょっとゾッとする。
ただ、そんな事を言い始めればネットで知り合った人全員に言える事だし、静だって元々はそうだった。
ルーイ「そうだ、私だけ陽太さんの本名を知っているっていうのもアレなので、私のも言います。」
陽太「えっ…いいですよそんな、個人情報じゃないですか」
ルーイ「杉崎 累。ニックネームのままです。」
陽太「そ、そうなんですね…」
ルーイ「いいんですよこれくらい。お互いに関わり合いを深める為にはこういう些細な事でも伝えておきたいので。」
陽太「ま、まぁ、そうですね」
急に、一体なんだ…
やっぱり、この人には不気味な何かがある…
ただ、正論かもしれないな。
些細な事でも伝えておけば自然と仲は深まる…
納得出来るような気がする。
うーん…。俺もなんかあったらこの人に相談しようかなぁ…
料理を食べ終わった俺達は、会計に進んだ。
累さんが奢る事になっていたので俺は先に店外に出ていた。
スマホ見てみると時間は夜になっていて、辺りも暗くなっていた。
早く帰ろう。俺は累さんと別れた後、速攻で家に帰った。
最近、静の人気がどんどんと上がっている。
俺としては、ストーカーとかが心配だ。
静の行動も少しずつ活発になっているから、最悪な事を考えると住所特定…とかをされているかもしれない。
そんな輩がいる訳ないと思いたいが、俺はひたすら心配だった。
だが、いくらいつでもLineで会話できるとは言っても住んでる場所が違うからいざという時に俺は出来る事が無い…
そこで俺が一番に思いついたのが、静と一緒に住む事だった。だが…
…正直、こういう事はまだ早いと思うし、お金関係をどうするのかとか、そもそも静と双方の両親が同意してくれるか…
とりあえず、静に何かあってからじゃ遅いと思い、静と俺の親に言ってみた。
静は了承してくれた。俺の母は俺達の心配をして反対していたが、父親が了承してくれた。
静も親に言ってくれたらしいが、親の返答はどちらもNOだった。
まあそうだよな…かわいい娘を危ない可能性のある事はさせたくない。それは充分理解出来る。
ただ、それはこっちも同じだ。かわいい彼女を放置出来るかってんだ。
俺は静の親をなんとか説得する為に静の家に行く事にした。
俺は母親を説得して、静の両親を説得しに行った。
静の家に着き、静が出迎えてくれた。
席に座って、静の両親も対面に座った。
先に連絡をしておいたからお互い、何の為にここにいるのか分かっているはずだ。
俺は、すぐに目的を果たす為に静の両親にこう話しかける。
陽太「じゃあ、早速…」
陽太「静が動画投稿者であるのは知っていますよね。最近、静の人気がどんどん上がってきました。
その影響で静がもしかしたら危険な目に遭うかもしれない…。」
静の両親「…」
陽太「そんな事、もし起こったら一番許せないのはあなた達ですよね。
でも今、静は一人です。最近、深夜に襲う様な事をする犯罪者も増えています。」
陽太「もし、あなた方の目の届かない所で静に何かがあってからじゃもう遅いです。」
静の両親「……」
陽太「なので…どうか俺と静が二人で暮らす事をお許しください。」
俺はそう言うと床に土下座した。
頭を床に付けて、ただひたすらに相手の返答を待った。
静の父親「…分かった。そこまで静の事を気にかけてくれるお前なら、静の事を任せられるな。」
その言葉が聞こえた瞬間、俺はゆっくりと顔を上げた。
陽太「あ、ありがとうございます…!」
静の父親「ただ…今すぐはダメだ。」
陽太「えっ…それはどういう…」
静の父親「俺の知り合いに良いアパートのオーナーがいる。そいつに紹介するから少し待て。」
陽太「わ、わざわざそこまで…本当にありがとうございます…」
こうして静との同居が許された俺は、静の父親の言う通り、待つ事にした。
静は絶対に俺が守る。
───
静のお父さんが言ってくれた様に、俺は待っていた。
しばらくして、アパートのオーナーに俺と静を紹介してくれた。
オーナーは未成年者である俺達でも、快く受け入れてくれた。
支払い能力に関しては、俺も勿論出すが、大半は静の動画収益になる…。
静は大丈夫って言っていたものの申し訳ないな。
オーナーが未成年だからって秘密裏に礼金はいらないって言ってくれたものの、他にも色々払うべきものが多い。
バイトをしていない俺には収入が無い。静の収入だけでダラダラと暮らすのは彼氏としてというか、人としてどうなのだろうか。
だからといって俺に何か出来るわけでもない。
仕方ない。ここは静に任せて、俺は後から恩を返していこう。
今の俺にはそれしか出来ない。
同棲し始めてから一ヶ月経った。
静の収益は俺が思っていたよりも多くて、生活に不自由が生まれるだろうと思っていたがどうやら杞憂だった様だ。
そりゃ勿論、我慢するべきところはあるけど、前と何ら変わりない。同棲する前と同じくらいだ。
というか、不満なんかより良い事の方が多く出来た。
愛している彼女と一緒にいれるし、それだけでもう元は取れてる。
静はPCが買いたいらしい。その事は前から知っていたが、俺も何か手伝いたい。
だから、俺もバイトを始める事にした。
部活の先輩達には申し訳ないし、沢山お世話になったと思っている。
でも俺は彼女の為になりたい。だから部活をやめてバイトをする…。
俺は顧問の先生にそれを伝えた。
彼女の為になりたい、とは言わなかったが先生も何か察したのか、俺が辞める事をOKしてくれた。
先輩には、
「お前には彼女がいるからな、男なんだから尽くしてやらないとダメだぞ?」
と言われた。
勿論、恩は絶対に返すつもりだ。
そして俺は部活を正式に辞め、バイトを始めた。
俺は静とは違うところでバイトをする事にした。
別に静が嫌いとかではなくて、単純に俺にとって一番条件が良いとこにした。
これで俺にも収入が出来た。
この収入で家賃やらを払えば静はもっと貯金出来るだろう。
最近、愛莉に変化が起きた。
俺が傘を返す約束をして、結局愛莉の家にそのまま置いた日の後、一週間学校に来なかった。
その期間、生徒会は副会長が代わりになって会議やらを進めていた。
でもその来なかった一週間が終わると、学校に姿を現した。
若干やつれていて、以前の様に、調子に乗ったりする事が全く無くなった。
むしろ落ち着いたというか、暗くなった気がした。
もしかして累さんが何かしたのか…?と思ったが、たかがそんな事でこんなに急変するだろうか。
でも、あの得体の知れない不気味な雰囲気がする累さんならあるいは…
と、色々疑っていたところに累さんから着信が来た。
最近の静の様子はどうかとか、そういった内容だった。
ただ、累さんは何か言いたげな口調で、あまり話を終わろうとしなかった。
だから俺は何が話したいのか、それを聞いてみる事にした。
陽太「それで、何か言いたげですけど、どうかしたんですか?」
累「いや…そうですね、言います。」
累「実は、私の働いているところに静さんが来たんですよね。」
そう発される累さんの言葉に、俺は耳を疑った。
陽太「それは…本当なんですか?」
累「その人の名前も静で、性格も、纏っている雰囲気、後は声もそっくりですし、おそらく本人だと思います。」
静本人に確認を取りたかったが、生憎のところ今は居ない。
だからLineで一応言ってみた。
陽太「そうですか…。で、後もう一つ聞きたい事があるんですが。」
累「はい、何でしょうか」
陽太「愛莉さんに何かしましたか?」
俺は気になっていた事を率直に聞いた。
あの人柄の変貌ぶり、誰かが介入しないとああはならないと思う。
そして誰かが介入したのなら…それは時系列的にも累さんだろう。
別に犯人探しをしている訳ではないが、俺が気になったので聞いた。
累「あー…彼女ですか。」
累「私が話に行った時、その事を話題に出した途端に泣き始めたんですよ。」
累「どうやら、彼女も自分なりに反省していたみたいで、静が部活をやめた時に申し訳ない事をした、ずっと思っていたらしいんです。」
あの愛莉がそんな事…考えるのか?
いや、生徒会長という信頼で確立された地位にいる愛莉ならそういうとこもあるだろう。
俺が知らないだけで、愛莉は愛莉なりに考えていたのかもしれない…。
累「で、そういう事を訊いてくるって事は、愛莉さんに何かあったんですか?」
陽太「そう、学校で見かける時とか、生徒会の会議の時とかも、ずっと暗いというか…変わったんです」
陽太「だから累さんに訊きました。まさか、そんな事を考えていたなんて…」
そして俺は累さんとの通話を切った。
そうか、愛莉もそういう人間だったんだな。
てっきり調子に乗りまくって、後輩をいじめる悪人だと思っていたが…。
どうやら違ったらしい。
遂に静がPCを買ったらしい。
陽太君が家賃とかを代わりに払ってくれたおかげだって、何回も感謝の言葉を伝えられた。
俺は当然の事をしただけなんだがな…
とにかく静がまた一歩、新しく歩んだという事だ。
この調子でどんどん目的を達成していければ良いんだが…。
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