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極めて重要な話から始まる物語
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「文部科学小学校?どこにあるの?」
「いや、文部科学省、略して文科省だ。しかも今は、職場の話をしていたはずなんだが?」
「そっか。私は東町小学校だよ」
「…………」
そう言えば、交際してる頃、俺の職場を教えた際に妻は全く反応しなかったな。
【文部科学省 私学部 私学助成課 幸田大吉】
まあ、よくわからんだろうが、主に私立高等学校を運営する法人に対してガバナンス……統治や管理を行い、データの分析収集を連携して行うと言うのが、私学助成課の主な仕事だ。大学を卒業してからずっと勤務している。
しかし、名刺を新調してから、最初に見せたのが勅使なんとかとは、なんだかな。
太宰探偵が「幸田様なら大丈夫だと思いますが――――」と言ったのは、俺の職場が根拠だろう。だが、実際は俺の権限で一個人の教師を退職させる事は出来ない。
だが、省内の別の部署に話を通す事は出来る。それだけだがな。
「あなたは、過去の妻を含めて、最近自主退職されるまで複数の生徒に手を出して来た。そして今も非常勤として教壇に立っている…………自分は丸腰で来た訳ではありません。しっかりと裏を取って、あなたに接触しに来たんです。私の妻だけだったとすれば、100歩譲って、あなたは『お互い愛しあってた』と言う苦しい言い訳を発言するかも知れませんが、5人も6人もと言う、継続的な複数ともなれば、話は違って来ますが?なんなら、鈴木花子さん、田中優子さん、富田林瀬里奈さん、今からお呼びしても構いませんが?どうします?」
「…………」
俺も偉そうによく言えたもんだな。だが、逆ギレ傾向にシフトしていた、勅使なんとかの意気を消沈させる事は出来た。
だが、もういいだろう。
更に追い詰めて、逆怨みされてもかなわんからな。
「ここまでにしましょう。私の言いたい事はそれだけです」
気付くと、喫茶店のオーナーも隣に座っていた。勅使なんとかは友人の息子らしい。無論、これも打ち合わせだ。
知っているのは、俺だけじゃない。
それを間接的にわからせた事。現段階で、これ以上は止めておく。
その後か?
結論から言おう。
無論、川柳俳句教室は無くなった。
今は、週一回、近所の高齢者達のたまり場的な、暗黙周知の雑談会の催しが開催されている。妻も楽しみに参加して、色々昔の話を聞いているらしい。
高齢者同士の方の拡散力は、若者のSNSにも負けていない。勅使なんとかは、この街を後にした様だ。まあ、当然居づらくなるな。それにしても、喫茶店オーナーもおしゃべりだな。
そして、あの勅使なんとかとの接触の日も、妻は益々のアホの子っぷりを発揮していた。
「ただいま。ゲームタイムは有意義に過ごしたか?後ほど、極めて重要な、ミュウちゃんの生活リズムに変化をもたらす報告をしよう」
「なんかね、レアアイテム『ダッコちゃん人形』って言うのゲットした」
「…………なるほど。予期せぬプレゼントだな」
「うん!でも次のクエストがクリア出来ないの……」
「ほう。ちなみにそのクエストの名前はなんだ?」
「なんだっけ?あ、『ナタデココを探せ』だって」
「……ゴホン。ちなみにレアアイテムをゲットしたクエストはなんだ?」
「おしゃれ魔女ラブ&ベリーはどこ行った?だよ」
「…………なんのゲームをやってるんだ?」
こんなやり取りがあったが、夕食後、妻は正式に謝罪と今後について話していた。
「大ちゃん。本当にごめんなさい。もうお酒飲まないし、隠し事しない」
「まあ、今回の事を糧にしていき、ミュウちゃんが成長してくれれば、俺はもう何も言わんよ」
「うん!よくわからないけど、わかった――――あ、そうだ!あと一つ隠してる事あるの」
「まあ何があっても驚かんぞ」
「中学時代0点とった…………」
「なるほど。まあ、マイナスにならなかっただけマシだろう。気にする事はない」
「うん。わかった。気にしない様にするね」
「いや、少しは気にしてもいいぞ?」
「わかった。少しだけ、気にするようにしながら、気にしない様にする」
「…………」
コイツと一緒にいたら、一生飽きないだろうな。
ああ、そうだった。
守ってあげたいとも思ったが、本当に結婚したいと思ったのは、その想いがきっかけだった。
それはあながち間違いじゃなかったと思う。
そして、寿司屋での極めて重要な話から始まった、俺達の浮気問題は終わりを告げた。
だが、妻との生活は終わらない。
極めて重要な話をしよう。
「大ちゃん。戦時中のおやつってスイートポテトばっかだったんだって」
「そうか。確かに食料が不足していたから、仕方ない事だな。だが、ミュウちゃんの言葉には微妙な語弊がある。スイートポテトとは、英語ではサツマイモだが、日本だと、お菓子の様な物を指す総称の事だ」
「そうなんだね。でも、そんな昔からケーキ屋さんって、あったんだね。すごいね」
「…………」
妻はまだ20才。
これから成長するはずだ。
●あとがき
ご拝読ありがとうございました!
暴露話で申し訳ありませんが、私が別れた妻はとても多弁な方でした。眠るまで話しをしていました。そして感情を、ありのままに隠さず、表に出す方でした。
私には持っていない物を沢山持っており、その当時はわかりませんでしたが、今は正直、自分にはもったいない位の方だったと思います。
でも、どこかお互い似ていました。
ミュウちゃんと大ちゃんも、どこか似ている個性的な人間同士と言うのは、私の思い出がモデルであり、憧れでもあります。
若い頃は色々とあります。
いつも思うのは、今だったらきっとうまくやっていけたかな?と言う想いです。
でも、そんな事をいつまでも思っていても仕方がないんです。
この事が、私の作品にコメディが多い理由でもあります。よくわからないと思いますがお許し下さい!
この作品はシリーズの二作目です。
最後の三作品目は、太宰探偵を主人公にした、太宰探偵視点での話になります。
気が向いたら投稿しますので、その際また、お会い出来たらと思います。
ありがとうございました!
「いや、文部科学省、略して文科省だ。しかも今は、職場の話をしていたはずなんだが?」
「そっか。私は東町小学校だよ」
「…………」
そう言えば、交際してる頃、俺の職場を教えた際に妻は全く反応しなかったな。
【文部科学省 私学部 私学助成課 幸田大吉】
まあ、よくわからんだろうが、主に私立高等学校を運営する法人に対してガバナンス……統治や管理を行い、データの分析収集を連携して行うと言うのが、私学助成課の主な仕事だ。大学を卒業してからずっと勤務している。
しかし、名刺を新調してから、最初に見せたのが勅使なんとかとは、なんだかな。
太宰探偵が「幸田様なら大丈夫だと思いますが――――」と言ったのは、俺の職場が根拠だろう。だが、実際は俺の権限で一個人の教師を退職させる事は出来ない。
だが、省内の別の部署に話を通す事は出来る。それだけだがな。
「あなたは、過去の妻を含めて、最近自主退職されるまで複数の生徒に手を出して来た。そして今も非常勤として教壇に立っている…………自分は丸腰で来た訳ではありません。しっかりと裏を取って、あなたに接触しに来たんです。私の妻だけだったとすれば、100歩譲って、あなたは『お互い愛しあってた』と言う苦しい言い訳を発言するかも知れませんが、5人も6人もと言う、継続的な複数ともなれば、話は違って来ますが?なんなら、鈴木花子さん、田中優子さん、富田林瀬里奈さん、今からお呼びしても構いませんが?どうします?」
「…………」
俺も偉そうによく言えたもんだな。だが、逆ギレ傾向にシフトしていた、勅使なんとかの意気を消沈させる事は出来た。
だが、もういいだろう。
更に追い詰めて、逆怨みされてもかなわんからな。
「ここまでにしましょう。私の言いたい事はそれだけです」
気付くと、喫茶店のオーナーも隣に座っていた。勅使なんとかは友人の息子らしい。無論、これも打ち合わせだ。
知っているのは、俺だけじゃない。
それを間接的にわからせた事。現段階で、これ以上は止めておく。
その後か?
結論から言おう。
無論、川柳俳句教室は無くなった。
今は、週一回、近所の高齢者達のたまり場的な、暗黙周知の雑談会の催しが開催されている。妻も楽しみに参加して、色々昔の話を聞いているらしい。
高齢者同士の方の拡散力は、若者のSNSにも負けていない。勅使なんとかは、この街を後にした様だ。まあ、当然居づらくなるな。それにしても、喫茶店オーナーもおしゃべりだな。
そして、あの勅使なんとかとの接触の日も、妻は益々のアホの子っぷりを発揮していた。
「ただいま。ゲームタイムは有意義に過ごしたか?後ほど、極めて重要な、ミュウちゃんの生活リズムに変化をもたらす報告をしよう」
「なんかね、レアアイテム『ダッコちゃん人形』って言うのゲットした」
「…………なるほど。予期せぬプレゼントだな」
「うん!でも次のクエストがクリア出来ないの……」
「ほう。ちなみにそのクエストの名前はなんだ?」
「なんだっけ?あ、『ナタデココを探せ』だって」
「……ゴホン。ちなみにレアアイテムをゲットしたクエストはなんだ?」
「おしゃれ魔女ラブ&ベリーはどこ行った?だよ」
「…………なんのゲームをやってるんだ?」
こんなやり取りがあったが、夕食後、妻は正式に謝罪と今後について話していた。
「大ちゃん。本当にごめんなさい。もうお酒飲まないし、隠し事しない」
「まあ、今回の事を糧にしていき、ミュウちゃんが成長してくれれば、俺はもう何も言わんよ」
「うん!よくわからないけど、わかった――――あ、そうだ!あと一つ隠してる事あるの」
「まあ何があっても驚かんぞ」
「中学時代0点とった…………」
「なるほど。まあ、マイナスにならなかっただけマシだろう。気にする事はない」
「うん。わかった。気にしない様にするね」
「いや、少しは気にしてもいいぞ?」
「わかった。少しだけ、気にするようにしながら、気にしない様にする」
「…………」
コイツと一緒にいたら、一生飽きないだろうな。
ああ、そうだった。
守ってあげたいとも思ったが、本当に結婚したいと思ったのは、その想いがきっかけだった。
それはあながち間違いじゃなかったと思う。
そして、寿司屋での極めて重要な話から始まった、俺達の浮気問題は終わりを告げた。
だが、妻との生活は終わらない。
極めて重要な話をしよう。
「大ちゃん。戦時中のおやつってスイートポテトばっかだったんだって」
「そうか。確かに食料が不足していたから、仕方ない事だな。だが、ミュウちゃんの言葉には微妙な語弊がある。スイートポテトとは、英語ではサツマイモだが、日本だと、お菓子の様な物を指す総称の事だ」
「そうなんだね。でも、そんな昔からケーキ屋さんって、あったんだね。すごいね」
「…………」
妻はまだ20才。
これから成長するはずだ。
●あとがき
ご拝読ありがとうございました!
暴露話で申し訳ありませんが、私が別れた妻はとても多弁な方でした。眠るまで話しをしていました。そして感情を、ありのままに隠さず、表に出す方でした。
私には持っていない物を沢山持っており、その当時はわかりませんでしたが、今は正直、自分にはもったいない位の方だったと思います。
でも、どこかお互い似ていました。
ミュウちゃんと大ちゃんも、どこか似ている個性的な人間同士と言うのは、私の思い出がモデルであり、憧れでもあります。
若い頃は色々とあります。
いつも思うのは、今だったらきっとうまくやっていけたかな?と言う想いです。
でも、そんな事をいつまでも思っていても仕方がないんです。
この事が、私の作品にコメディが多い理由でもあります。よくわからないと思いますがお許し下さい!
この作品はシリーズの二作目です。
最後の三作品目は、太宰探偵を主人公にした、太宰探偵視点での話になります。
気が向いたら投稿しますので、その際また、お会い出来たらと思います。
ありがとうございました!
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