明るい浮気問題

pusuga

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進まない尋問

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 浮気をしたかも知れないし、してないかも知れないと言う妻。
 正確に言うと、先日の同窓会の後、朝起きたら知らない人の家のベッドで――――その後、確認したが誰もいなかったから、とりあえず帰って来たとの事。無論、居酒屋で楽しく飲んで騒いだ以降の記憶無し。

 「…………」

 「――――本当にごめんなさい」

 「すまん。突然の――――しかも最高級寿司が並んでいる状況で、期待ハズレのやりきれない気持ちと色々ツッコミたい気持ち、及び混乱している脳内、ちょっと順を追って尋問させてくれ」

 「え?尋問?私、容疑者なの?」

 「事件ファイルナンバー1919、浮気をしたかも知れない新婚妻――――の容疑者だ」

 「うん。わかった。なんかHなビデオみたいな感じで、やだね?あ、大ちゃんは食べながらでいいよ」

 「…………」

 これは夢だ。

 妻が浮気の自白をしていると言う話しだぞ。コミカル過ぎないか?いくら変わった妻だとしても限度があるだろ。俺も中二病を拗らせた過去があるが、妻の反応は現実的じゃない。総合的に考えても、夢と言う結論で間違いないだろう。
 とりあえず、ホッペをつねってみるか?

 「ウッ!?」

 「どうしたの?」

 「サビが……」

 「え?ワサビ?サビ抜きって言ったのに……店員さん呼ぶね」
  
 感覚は現実だ。
 夢じゃない。
  
 て言うか、そもそも妻が朝帰りなんかした記憶ないぞ?
 ――――そうか。俺が二泊三日の出張の時か……。仕方ない。腹を括ろう。

 「では改めて聞くが、いつの話だ?俺が出張の時か?」

 「うん……」

 「同窓会に行くなんて聞いてないぞ?」

 「言ったよ!しかも、出張じゃなかったら迎えに行ったのに……って言ってたじゃんか」

 「問題なのはそこじゃない」

 「どこなの?同窓会に行く事を聞いてないって事じゃないの?」

 「同窓会に行った事が問題だ」

 「え~!それは横暴じゃない?」

 「何が横暴なんだ?」

 「だって、行く事自体が問題なら、駄目って言ってくれれば良かったじゃんか」

 「それは……お前が楽しそうに話すから……」

 「許可してくれたのに、行った事が問題っておかしくない?横暴――――あ!この場合、理不尽って表現のが的確だよね?」

 「なんでもいいんだよ!と、とにかく、お前が朝起きたら、知らない人の家のベッドで朝を迎えた――――これは紛れもなく事実だし、人道に外れた事をしてるじゃないか!」

 「ちょっと待って?まだ、そこまで話しが行ってないよ?一から順を追うなら、同窓会始まってからの様子からじゃない?」

 「…………」

 当事者であり、立場と言う概念を取っぱらった場合、妻の言う事は間違ってないと思ったので、順を追って尋問する事にしよう。

 

 

 

 
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