聖なる日の物語

 枕元に置かれたスマホの画面が振動音と共に明るくなる。
 ゆっくり体を起こして物音を立てぬ様に慎重に歩き、寝室のドアをそーっと閉める。まだ明るいスマホの画面には、たーちゃんという登録名の下に、もう直ぐ着くよ(ピース)の文字。
 お付き合いしている頃から変わらない夫の登録名に、大丈夫だよ(笑顔)と返信をする。
 台所へと移動して冷蔵庫からサラダボウルを取り出し、ラップを外してからテーブルに置く。コンロの前に立ち、お鍋の蓋をとる。おたまでかき混ぜると淡い香りが鼻をくすぐる。
 小さめのジャガイモを手でつまんで口に入れようとした時に、リビングのドアが開き、大きな荷物を抱えた夫がそーっと帰ってきた。
 小さい「ただいま」という声に、口をもごつかせながら「お帰り」と返す。照れ笑いを浮かべる私に、イタズラを見つけた母親みたいな笑顔が向けられていた。

クリスマスイブからクリスマスにかけての三瀬家が舞台です。
夫婦の会話がメインとなります。
24h.ポイント 0pt
0
小説 192,644 位 / 192,644件 大衆娯楽 5,480 位 / 5,480件

あなたにおすすめの小説

ネットパトロール戦士 エゴサーチャー・ヒロシ

紗倉亞空生
大衆娯楽
自称高学歴天才クリエイター、ヒロシの日常を描く物語。 ※この物語はフィクションです。実在する人物・団体等とは一切関係ありません。 「あれ? これってひょっとしてアイツのことでは?」と、思い当たる人物がもしいたとしても、それはあなたの単なる思い過ごしです。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

優しく、さようなら✨

一宮 沙耶
大衆娯楽
元カノのことを、体が変わっても、ずっと想い続ける話しです。 美しい情景から気持ちの揺れ動き、切ない気持ちを間接的に書いてみました。 本題は3話からなんですが、それまでの話しがあっての3話からなんで、3話までなんとかたどり着いていただけるとと思っています。 共感いただける方が少しでもいれば嬉しいです。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

老婆の魔法

一宮 沙耶
大衆娯楽
老婆と会った翌朝、女性となっていた。男性と女性はどちらが幸せ? 幸せって何? 偏ったシチュエーションですが、そんな永遠なテーマを一緒に考えさせてください。 今回は、タイトルとは違って、少しシリアスな内容ですが、飽きずにお付き合いくださいね。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話