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龍の血
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メイはルゥの肩を抱いて、龍の居る洞窟を訪れた。ルゥは龍の洞窟に着いても、ぐったりとしたまま、意識を取り戻すことは無かった。
「龍先生! ルゥが、ルゥが大変なの!」
龍の居る洞窟に着くと同時に、大きな声で龍に呼びかける。
その声に反応したのか、洞窟の奥から赤き巨体を揺らし、龍がのそりと姿を表す。
「どうしたんだィ?」
「ルゥが、野豚に……」
メイは早口ながらに、龍にこれまで何が起こったのか説明する。
”禁足地”で魔法を使って狩りをしようとしたこと、その獲物が野豚であったこと、狩りに失敗してルゥが怪我をしたこと、その傷口に”滋養草”を塗って応急処置をしたこと。
「アンタたち、本当に馬鹿じゃ無いのかィ?」
龍は呆れ顔とやや怒りを含んだ目をルゥとメイに向けると、大きなため息を吐く。
そしてルゥの頭の傷を見るために、爪先で慎重にルゥの髪をかき分ける。
「傷は滋養草のお陰で、血は止まっているみたいねェ。でも」
龍はルゥの顔色を見る。ルゥの顔色は青ざめ、呼吸もか細い。
このままでいけば、ルゥの身に死が訪れるのは時間の問題であった。
「いかんせん、血を流し過ぎてる……。 メイ、アンタがルゥをアタシのところに連れてきて正解さあねェ。たぶん、ルゥはあと1時間で死んでいただろうねェ」
その言葉を聞いたメイは顔色を青ざめる。
「りゅ、龍先生、ルゥは助かるの!?」
「あァ。”血”があればねェ」
そう言うと龍は呪文をつぶやいて、床に指を指す。龍が呪文を唱えると、床の一部が光り、足下の隠し扉が姿を現す。
その扉を龍はゆっくりと開けると、その隠し部屋から細いロープのようなものを取り出す。
それはロープのように見えたが、よく見ると両端が蛇の頭になっており、片方の端は深い青、もう片方は鮮やかな赤色であった。
「龍先生……そ、それは……?」
「これは遺物、その名も”双頭の蛇縄”さァ。とりあえず、青い方をルゥの腕に噛ませなァ」
メイは龍の言うとおりに青い方をルゥの腕に噛ませると、今度は赤い方を自身の腕へと噛ませようとする。
そかし、その行動は龍によって止められる。
「メイ、何をする気さァ?」
「えっ……血が必要なんじゃ……?」
「誰がメイの血が必要だと言ったさあねェ。赤い方はアタシに噛ませるんだよォ。……メイの血じゃあ、ルゥには合わないだろうからねェ」
その言葉を聞いたメイは、驚きながらも赤い方を龍の指先へと噛ませる。その瞬間、龍は少しだけ顔を苦痛により歪ませる。
そして双頭の蛇縄はポンプの様に収縮し、龍の血をルゥへと送り込み始めた。
「龍先生、ルゥの、ルゥの顔色が良くなっていく!」
いままで、ルゥの顔色は青ざめ、呼吸はか細かった。だが龍の血が入ったことにより、顔色に赤みが戻り、呼吸も落ち着いてくる。
そして、少しするとルゥは何事も無かったかのように目を覚まして、辺りを見渡すのであった。
「龍先生! ルゥが、ルゥが大変なの!」
龍の居る洞窟に着くと同時に、大きな声で龍に呼びかける。
その声に反応したのか、洞窟の奥から赤き巨体を揺らし、龍がのそりと姿を表す。
「どうしたんだィ?」
「ルゥが、野豚に……」
メイは早口ながらに、龍にこれまで何が起こったのか説明する。
”禁足地”で魔法を使って狩りをしようとしたこと、その獲物が野豚であったこと、狩りに失敗してルゥが怪我をしたこと、その傷口に”滋養草”を塗って応急処置をしたこと。
「アンタたち、本当に馬鹿じゃ無いのかィ?」
龍は呆れ顔とやや怒りを含んだ目をルゥとメイに向けると、大きなため息を吐く。
そしてルゥの頭の傷を見るために、爪先で慎重にルゥの髪をかき分ける。
「傷は滋養草のお陰で、血は止まっているみたいねェ。でも」
龍はルゥの顔色を見る。ルゥの顔色は青ざめ、呼吸もか細い。
このままでいけば、ルゥの身に死が訪れるのは時間の問題であった。
「いかんせん、血を流し過ぎてる……。 メイ、アンタがルゥをアタシのところに連れてきて正解さあねェ。たぶん、ルゥはあと1時間で死んでいただろうねェ」
その言葉を聞いたメイは顔色を青ざめる。
「りゅ、龍先生、ルゥは助かるの!?」
「あァ。”血”があればねェ」
そう言うと龍は呪文をつぶやいて、床に指を指す。龍が呪文を唱えると、床の一部が光り、足下の隠し扉が姿を現す。
その扉を龍はゆっくりと開けると、その隠し部屋から細いロープのようなものを取り出す。
それはロープのように見えたが、よく見ると両端が蛇の頭になっており、片方の端は深い青、もう片方は鮮やかな赤色であった。
「龍先生……そ、それは……?」
「これは遺物、その名も”双頭の蛇縄”さァ。とりあえず、青い方をルゥの腕に噛ませなァ」
メイは龍の言うとおりに青い方をルゥの腕に噛ませると、今度は赤い方を自身の腕へと噛ませようとする。
そかし、その行動は龍によって止められる。
「メイ、何をする気さァ?」
「えっ……血が必要なんじゃ……?」
「誰がメイの血が必要だと言ったさあねェ。赤い方はアタシに噛ませるんだよォ。……メイの血じゃあ、ルゥには合わないだろうからねェ」
その言葉を聞いたメイは、驚きながらも赤い方を龍の指先へと噛ませる。その瞬間、龍は少しだけ顔を苦痛により歪ませる。
そして双頭の蛇縄はポンプの様に収縮し、龍の血をルゥへと送り込み始めた。
「龍先生、ルゥの、ルゥの顔色が良くなっていく!」
いままで、ルゥの顔色は青ざめ、呼吸はか細かった。だが龍の血が入ったことにより、顔色に赤みが戻り、呼吸も落ち着いてくる。
そして、少しするとルゥは何事も無かったかのように目を覚まして、辺りを見渡すのであった。
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