上 下
7 / 7
第1幕:ホーンド街のゴブリン襲撃事件と生け贄伝承

第6話:ミミック

しおりを挟む
 ---人食い箱”ミミック”。
×日。アグナの”遺跡内”にて遭遇。『お宝だ!』と不用意に近づいた仲間の1人が開いた箱の中に飲み込まれてしまった。近づく生き物は見境なく喰い殺す、生き物か定義できるか分からない怪物。数日間、調査を行ったが近づいて来たゴブリンや猛毒のトカゲといったものを見境なく喰っていた。また”獲物”が近寄るまでは排泄行為はないどころか一切微動だにすることはなかった。何年もアグナ遺跡を調査してきた中で初めて見る生物であったが、先日聞いた伝承から”ミミック”と名付けることにした。
その”伝承”通りであるなら、あの箱は厄災を呼ぶものらしい。さらに調査を行いたいが、食料が底をつきそうであったため、1度打ちきることにする。また、この場所に戻ればこの奇怪な生物と出会えるのだろうか?



×5日 アグナの角にて。えぇと、マロー・マロー著…」



「…ミミッ、ク?」



 説明文と共に描かれた絵にはピタリと口が閉じた箱とぱっくりと大きく口を開いて人間を飲み込む様を描いたものが記載されていた。ハコミはふと、クライブの顔色が変わったことに気が付いて口を開こうとしたそのとき、クライブはびくりと身を震わせる。


「あ…」


「…あっ、僕は叔父さんのところの様子を見てくるね」


 そういうとクライブはハコミから逃げるようにその場を後にする。
ハコミはクライブの様子の変化に驚きながらも、手に持った本を小脇に抱えるとクライブの後を追うように外へと出る。


「…ビンべさんのところは大丈夫か、これ」

 地震の影響で街の至る所が崩壊し、家の屋根が落ち、レンガ造りの道路は凸凹になっていた。
混乱する人込みをかき分けて宿へと戻ると、そこには床に落ちて割れた皿を集めるビンべとソフィーの姿があった。そしてその横でその片づけをするソフィーと、一足先に戻ったクライブの姿があった。

「…っ!」


 クライブはハコミの姿を確認すると、足早に部屋を出ていき自室へと行ってしまう。
その急な変化にハコミは首をかしげながらも、床に散らばった皿の破片などをビンべとソフィーとともに手伝うのであった。





 
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

天才シェフが転生したら異世界でチートスキル持ちの超・天才シェフとして、崇拝されました

狐川 檸檬
ファンタジー
中学生でイタリアへ渡航して料理修行を繰り返し、天才と称された程の腕前を持つ19才、 御桜 莉桜(みざくら りお)、そしてその弟子の萌愛(もえ)。平凡だが楽しい日々を送っていた2人に、大地震の猛威が襲いかかる。地震で死んでしまった莉桜は、生前の親切が元となり、転生することが許された。料理人として異世界に転生したが、異世界でも数々の冒険が待ち受ける。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

孤高の英雄は温もりを求め転生する

モモンガ
ファンタジー
 『温もりが欲しい』  それが死ぬ間際に自然とこぼれ落ちた願いだった…。  そんな願いが通じたのか、彼は転生する。  意識が覚醒すると体中がポカポカと毛布のような物に包まれ…時々顔をザラザラとした物に撫でられる。  周りを確認しようと酷く重い目蓋を上げると、目の前には大きな猫がいた。  俺はどうやら猫に転生したみたいだ…。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます

みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。 女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。 勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

「キヅイセ」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

雨野 美哉(あめの みかな)
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~

星天
ファンタジー
 幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!  創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。  『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく  はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!

処理中です...