5 / 7
第1幕:ホーンド街のゴブリン襲撃事件と生け贄伝承
第4話:笑顔の脅迫
しおりを挟む
「てっきり僕もあのゴブリンみたいに喉を食い破られて殺されるかと」
「いや、ならあの場に俺を置いてどっかに行くなよ…。もし、俺が人を襲う怪物だったらあの場にいた人どころか、他の街の人にも被害あっただろうし。というか縄を自力で解けるような化け物だったらそれこそ皆殺しになってたかもよ?」
ハコミは呆れてクライブに返答する。
もし己が凶暴な怪物だったなら、それを安易に持ち込んだクライブのみならずビンベや他の街の人間まで襲われるのは容易に想像できるはずであった。それをまったく想定せず、また後始末や警告すらしないのは想像力がなさ過ぎていた。そのことをハコミはクライブに懇々と説教をする。
「”不用心に持ち帰ったものが厄災をもたらした”なんて話はどこの国にも必ず伝承や民話の1つとしてあるもんだ。例えば”竜宮城から老人になる箱を持ち帰った浦島太郎”や”アフリカのバガンダ族の始祖キントゥが神からの警告に従わなかったばかりに死という概念を引き連れてしまった”とかいう話なんていくらでもあるし」
「えーと…?」
クライブは目をぱちくりさせながらハコミを見つめる。
『うらしま…? アフリカ…? え?』ワケの分からない単語がいくつもあったものの、何回も丁寧に説明されてようやくハコミの言いたいことを理解する。
「要は自分の力量で計れないことや対応出来ないことを安易に持ち運ぶなってこと。分かったか?」
「ああ…はい」
クライブは懇々と説教をされすぎて、自身よりも小さい少女の見た目をハコミについ敬語を使ってしまう。同時にクライブはハコミが人を無差別に襲うような木箱の怪物でないことをここでようやく再認識する。
「それはそうと。頼みがあるんだけど」
「え、頼み、ですか?」
「俺、文字の読み方がまったく分からないんだ。他に頼れそうな相手も居ないし、簡単で良いから読み方と書き方を教えてくれないかい?」
「え、えぇ…?」
「断ったら”君の叔父さんに泣きつく”けどな? さて協力してくれる、よね?」
ハコミは鋭い牙を覗かせながらにっこりと笑いかける。
クライブは名前も知らぬ目の前の少女に気をされて、かつ脅迫されてこの申し出をついつい了承してしまうのだった。
「いや、ならあの場に俺を置いてどっかに行くなよ…。もし、俺が人を襲う怪物だったらあの場にいた人どころか、他の街の人にも被害あっただろうし。というか縄を自力で解けるような化け物だったらそれこそ皆殺しになってたかもよ?」
ハコミは呆れてクライブに返答する。
もし己が凶暴な怪物だったなら、それを安易に持ち込んだクライブのみならずビンベや他の街の人間まで襲われるのは容易に想像できるはずであった。それをまったく想定せず、また後始末や警告すらしないのは想像力がなさ過ぎていた。そのことをハコミはクライブに懇々と説教をする。
「”不用心に持ち帰ったものが厄災をもたらした”なんて話はどこの国にも必ず伝承や民話の1つとしてあるもんだ。例えば”竜宮城から老人になる箱を持ち帰った浦島太郎”や”アフリカのバガンダ族の始祖キントゥが神からの警告に従わなかったばかりに死という概念を引き連れてしまった”とかいう話なんていくらでもあるし」
「えーと…?」
クライブは目をぱちくりさせながらハコミを見つめる。
『うらしま…? アフリカ…? え?』ワケの分からない単語がいくつもあったものの、何回も丁寧に説明されてようやくハコミの言いたいことを理解する。
「要は自分の力量で計れないことや対応出来ないことを安易に持ち運ぶなってこと。分かったか?」
「ああ…はい」
クライブは懇々と説教をされすぎて、自身よりも小さい少女の見た目をハコミについ敬語を使ってしまう。同時にクライブはハコミが人を無差別に襲うような木箱の怪物でないことをここでようやく再認識する。
「それはそうと。頼みがあるんだけど」
「え、頼み、ですか?」
「俺、文字の読み方がまったく分からないんだ。他に頼れそうな相手も居ないし、簡単で良いから読み方と書き方を教えてくれないかい?」
「え、えぇ…?」
「断ったら”君の叔父さんに泣きつく”けどな? さて協力してくれる、よね?」
ハコミは鋭い牙を覗かせながらにっこりと笑いかける。
クライブは名前も知らぬ目の前の少女に気をされて、かつ脅迫されてこの申し出をついつい了承してしまうのだった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
【第一部完結】魔王暗殺から始まった僕の異世界生活は、思ってたよりブラックでした
水母すい
ファンタジー
やりたいことがない空っぽの高校生の僕がトラックに轢かれて転移したのは、なんと魔王城だった。
貴重な役職の《暗殺者》である僕はチートスキルを駆使して、魔王を倒して囚われの姫を救い出すことに。
⋯⋯ただし使えるのは短剣一本。
英雄なのに英雄になれない、そんな報われない僕の異世界生活は魔王討伐から始まる──
・一話の分量にバラつきがありますが気分の問題なのでご容赦を⋯⋯
【第一部完結】
第二部以降も時間とネタができ次第執筆するつもりでいます。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ゆとりある生活を異世界で
コロ
ファンタジー
とある世界の皇国
公爵家の長男坊は
少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた…
それなりに頑張って生きていた俺は48歳
なかなか楽しい人生だと満喫していたら
交通事故でアッサリ逝ってもた…orz
そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が
『楽しませてくれた礼をあげるよ』
とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に…
それもチートまでくれて♪
ありがたやありがたや
チート?強力なのがあります→使うとは言ってない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います
宜しくお付き合い下さい
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~
龍央
ファンタジー
夫婦で一緒に異世界に召喚された宝角 勇弥(ほうすみ ゆうや)と宝角 香梨奈(ほうすみ かりな)は、召喚されている途中、神様と名乗る怪しい声に、身体強化(極限)と全魔法反射という能力を授けられた。
召喚された先では、召喚された勇弥と香梨奈を無視して、魔王討伐の真っ最中。
能力で魔王をぶっ飛ばした勇弥だが、幻魔法により姿を変えている魔王が、全魔法反射の効果で小さな女の子であると見抜いていた香梨奈により、魔王に味方する事になる。
魔王討伐のパーティを退けた後、魔王マリーと魔界の魔物達が暮らす街を見ていた時、寂しそうに親子を見るマリーの姿を勇弥達は見ることになる……。
寂しそうな姿を見るに見かねた香梨奈の思いつきにより、マリーの父親と母親になる事になった勇弥。
魔物達による大運動会も控え、一番の目玉、闘技大会に出場する事になった勇弥は、身体強化(極限)を使って生き延びる事ができるのか!?
理性を持った魔物と、それを従える魔王、そしてその魔王を娘として可愛がる夫婦のほのぼのとしたお話。
1話3000文字以上で投稿致します。
投稿スケジュールに関しては、近況ノートをご覧ください。
R15は念のためです。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
かわいい孫と冒険の旅に出るはずたったのに、どうやらここは乙女ゲーの世界らしいですよ
あさいゆめ
ファンタジー
勇者に選ばれた孫の転生に巻き込まれたばーちゃん。孫がばーちゃんも一緒じゃなきゃ嫌だとごねてくれたおかげで一緒に異世界へ。孫が勇者ならあたしはすっごい魔法使いにして下さいと神様にお願い。だけど生まれ変わったばーちゃんは天使のようなかわいい娘。孫にはなかなか会えない。やっと会えた孫は魔王の呪いで瀕死。どうやらこの状態から助ける事がばーちゃんの役割だったようだ。だけど、どうやらここは本当は乙女ゲーの世界らしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる