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第1章 勇者の誕生
第四話
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「ここが、ノスの村か。」
あの後、俺たちは村に着いた。
王都とは違い、自然がいっぱいで、のどかな村だ。小鳥のさえずりが聞こえるぐらい静かである。
とりあえず詳しい話を聞こうと、俺たちが村長の家に向かうと、村長らしきご老人が出迎えてくれた。
「あなたがこの村の村長ですか?」
「いかにも。わしがノスの村の村長じゃ。お主ら冒険者じゃろ。勇者の剣はあの道の先にある。行ってみるといい。」
ノスの村の村長は指を指しながらそう言った。
俺はお礼を言ってから、勇者の剣があるという方向に向かった。
「これが勇者の剣か。」
俺たちがずっと歩いているとそこには台座のような岩に刺さった剣があった。
意外と派手な装飾はされていなかった。柄の部分に少し模様が掘られているぐらいだろうか。
しばらく眺めていると、ラルフが言った。
「眩しくて神々しいね。近づくなって言われているような気がしてくるよ。」
「そうか? 俺には普通の剣に見えるんだが。」
俺がシエルの方を見ると、シエルは言った。
「ええ、私もただの剣に見えますよ。」
「本当に!? 僕がおかしいのか……。」
1人だけが違う見えかたをしているということは……。
「ラルフ、お前剣が抜けるんじゃないのか?」
「いやいや、僕には無理だよ。そもそも僕は剣を使わないし、さっき近づくなって言われているような気がするって言ったでしょ。」
そういえば言っていたな、と俺は思った。
すると、ラルフがこう言い返してきた。
「それに、僕よりもアルバの方が適任だと思うよ。戦うとき剣を使っているじゃないか。」
確かに、俺が戦闘するときは剣を使う。だが、それは勇者の剣を抜けるかどうかとは関係はないだろう。
思ったままを口にした。
「それとこれとは関係がないだろ。」
「まあまあ、細かいことは気にせず、試しに抜いてみなよ。」
雑だなと思ったが、確かにここに来た目的はこの剣が抜けるかどうか試すことだった。
とりあえず剣に近づき、剣の柄を握ってみた。すると、妙な違和感に気がついた。
この剣は初めて触るはずなのに、元から自分の物であったかのようにとても手に馴染むのだ。
まさかと思い、剣を抜こうとすると、すんなりと台座から剣が抜けた。
俺と同じく剣を抜きに来たのであろう冒険者と、たまたまそこを通りかかった村の住人が俺のその姿を見て大騒ぎになった。抜いた張本人である俺も驚きを隠せない。
村長様と王様にお伝えしなければと、村の住人は走っていってしまった。
そんな中、比較的冷静なラルフとシエルの二人が俺に近づいてきた。
「何か、大変なことになったねえ。まさか、アルバが勇者だったとは。」
「ええ、私も驚きです。これからどうしましょうか。」
3人でこれからどうするかを話している内に、村長から話を聞いてきた村の住人に連れられ、俺たちはまた王都に向かうことになったのだった。
王都に着き、そのまま俺たちは王城の前まで連れてこられた。
そこにいた衛兵は俺たちの姿を見ると、すぐに門を開けた。
「ここからは、アルバ様お一人でお進みください。」
そう言われて、俺はすぐに了承の返事をした。そして、シエルとラルフに聞いた。
「シエルとラルフはどうする?」
「私たちはここで待っていますので、お気になさらないでください。」
シエルの言葉にラルフも頷いていた。
シエル1人なら少し不安だが、ラルフがいるなら大丈夫だろう。
そう思い、俺はそのまま門をくぐり城へと入って行った。
俺は城に入り、そのまま王に謁見することになった。
俺は、王には何度かあったことがある。俺はギルドの中では優秀な方らしく、何度か王からの直接の依頼を受けたのだ。
玉座の間に入り俺が頭を垂れると、王から面を上げよと指示があった。
「君が勇者であったことに少し驚いたが、君は優秀な冒険者だ。勇者になるのは当然だと思っているし、私としては君でよかったと思っているよ。私にとって一番信頼できる冒険者は君だからね。」
「お褒めいただき、ありがとうございます。」
「その立場に自惚れず、日々精進するように。」
はい、と俺は元気よく返事をした。王は俺のその元気な返事を聞き、満足したようだった。
そして王は、早速で悪いが、と話を切り出した。
「今度、南西にある第3防衛拠点に加勢してくれないか。最近、魔族達の勢いが増してきているようでな。大丈夫だと思うが、少し嫌な噂が流れているのだ。」
「噂、ですか。」
「そうだ。噂は、2つもあってな。」
王はそう言って、2つの噂を簡潔に話し出した。
「1つ目は、先ほど言った第3拠点の辺りで魔王軍に怪しい動きがあるというものだ。調査団によると、瘴気が濃くなってきているらしい。」
瘴気とは、魔族が出す特有の霧のようなものだ。人間がこの瘴気をたくさん吸い込むと、気分が悪くなるそうだ。だが稀に、瘴気をどれだけ吸い込んでも平気な人もいるらしい。
その瘴気が濃くなってきているということは、魔族や魔物が集まっている証拠ともいえる。
「2つ目は、軍の中に魔王軍からのスパイが紛れ込んでいるという話だ。こちらは真実かどうかはわかっていないが、今度加勢するときに注意していてほしい。」
「わかりました。」
その後、王から激励の言葉をいただき、王の前から立ち去った。
城を出てラルフ達に合流しようと、庭の前を通っていたときだった。
「うわあああーーー。」
近くから悲鳴が聞こえた。急いでその方向に向かうと、そこには1人の子供と1匹のスライムがいた。その子はまだ幼く、シエルより少し年下のようだった。高級できれいな服を着ているから、王家の関係者なのだろう。
「ま、魔物が出た。誰か助けて。」
「そのスライムは魔物じゃないですよ。」
俺がそう言ってスライムを持ち上げて抱えると、その子はポカンと口を開けて驚いていた。
「そ、そうなのか……?」
「ええ、ただのプヨプヨしたスライムです。人を襲うことはあまりありません。」
「スライムにも、善いものと悪いものがいるのか?」
この質問をしてくるということは、この子はあまり魔物について知らないのだろうか。
というか、そもそも王城には悪意をもつ生物を入れないよう結界が張られているはずだから、魔物が入るはずがない。
「はい、いますよ。このスライムは善いスライムです。」
「そうか……。触っても大丈夫だろうか。」
「大丈夫だと思います。」
俺がこの子供の近くにスライムを放すと、子供は興味津々にスライムを撫でていた。スライムも撫でられてとても心地よさそうにしている。
スライムは、人間を見た瞬間に逃げるものが多い。そう考えると、このスライムはかなり人懐っこい。この王城の周辺で暮らしていて、間違って王城内に入ってきてしまったのだろう。
すると、子供はスライムを撫でている手をピタッと止めて言った。
「人間にも、スライムにも、善いものと悪いものがいるなら、魔族にも善いものと悪いものがいるのだろうか。」
魔族や魔物は、みんな悪い奴らだと一般的には言われているし、もし魔族や魔物のことを悪くないと言えば、周りから除け者にされる。この国はそんな場所だ。だが、俺はこの考えは間違っていると思っている。
この子にはどう答えようかと考えていると、子供が言った。
「あまり深く考えず、あなたが本当に考えていることを言って欲しい。」
「……人間やスライムと同じように、魔族にも善いやつと悪いやつがいると、俺は思いますよ。」
「そうか。貴重な意見をありがとう。」
これでよかったのだろうか。
俺がそう考えていると、俺の方を向いて言った。
「そういえば、自己紹介がまだだったね。私の名前は、ホープ。ラント国の第一王子だ。あなたの名前は?」
「俺はアルバと言います。すみません、王子とは気づかず。」
俺が急いで頭を下げると、ホープ王子は、構わないよ、と言った。
それから、王子は思い出したように言った。
「アルバということは、あなたが先ほど剣を抜いたという勇者かい?」
「はい、そうです。」
「そうか、勇者から意見をもらえるとは、私は幸運だね。」
王子はとても嬉しそうに笑っていた。
「そういえば、なぜ第一王子の貴方が、このような場所に1人でいるのですか?」
「少し1人で散歩をしたくて、こっそり部屋から抜け出したんだ。」
「城の方達が心配しているのではないでしょうか。」
俺がそう言ったときだった。
「ホープ王子ーーー!」
と、城の方から大声が聞こえた。
「すまない。じいやが呼んでいるようだから、そろそろ失礼するよ。このスライムはあなたに任せる。」
そう言って、王子はスライムを持ち上げて手渡すと、城の方へ走っていってしまった。
まさか、王子に会うなんて想像もしていなかった。俺にとっても王子との会話は貴重な体験になったと思う。
そろそろ行かないと、ラルフとシエルが待ちくたびれていそうだと思い、俺はスライムを抱えながら城を後にした。
門を出てからスライムを放すと、スライムはどこかへ行ってしまった。おそらく、自分のすみかに行ったのだろう。
そして、俺はシエルとラルフに合流した。少しぐらい町を見ていてもよかったのにと俺は思ったが、ずっと門の前で待っていたらしい。
俺がスライムを放すのを見ていたシエルが俺に聞いた。
「なぜ、スライムを持っていたのですか?」
「中に入り込んでしまったらしくてな。外まで連れてきたんだ。」
「昔からアルバは、スライムだったりいろんな生き物と仲良くするのが好きだよねー。」
「そうなのですね。」
シエルは、スライムを持っていた理由に納得しているようだ。
町にある時計を見ると4時ごろだったので、俺は2人に言った。
「そろそろ日が暮れてくるから、館に帰るか。」
本当に今日はいろいろたくさんのことが起きて、疲れた。早く帰って休みたい。
俺たちは、今日あった出来事をわいわい話しながら、館に帰ったのだった。
あの後、俺たちは村に着いた。
王都とは違い、自然がいっぱいで、のどかな村だ。小鳥のさえずりが聞こえるぐらい静かである。
とりあえず詳しい話を聞こうと、俺たちが村長の家に向かうと、村長らしきご老人が出迎えてくれた。
「あなたがこの村の村長ですか?」
「いかにも。わしがノスの村の村長じゃ。お主ら冒険者じゃろ。勇者の剣はあの道の先にある。行ってみるといい。」
ノスの村の村長は指を指しながらそう言った。
俺はお礼を言ってから、勇者の剣があるという方向に向かった。
「これが勇者の剣か。」
俺たちがずっと歩いているとそこには台座のような岩に刺さった剣があった。
意外と派手な装飾はされていなかった。柄の部分に少し模様が掘られているぐらいだろうか。
しばらく眺めていると、ラルフが言った。
「眩しくて神々しいね。近づくなって言われているような気がしてくるよ。」
「そうか? 俺には普通の剣に見えるんだが。」
俺がシエルの方を見ると、シエルは言った。
「ええ、私もただの剣に見えますよ。」
「本当に!? 僕がおかしいのか……。」
1人だけが違う見えかたをしているということは……。
「ラルフ、お前剣が抜けるんじゃないのか?」
「いやいや、僕には無理だよ。そもそも僕は剣を使わないし、さっき近づくなって言われているような気がするって言ったでしょ。」
そういえば言っていたな、と俺は思った。
すると、ラルフがこう言い返してきた。
「それに、僕よりもアルバの方が適任だと思うよ。戦うとき剣を使っているじゃないか。」
確かに、俺が戦闘するときは剣を使う。だが、それは勇者の剣を抜けるかどうかとは関係はないだろう。
思ったままを口にした。
「それとこれとは関係がないだろ。」
「まあまあ、細かいことは気にせず、試しに抜いてみなよ。」
雑だなと思ったが、確かにここに来た目的はこの剣が抜けるかどうか試すことだった。
とりあえず剣に近づき、剣の柄を握ってみた。すると、妙な違和感に気がついた。
この剣は初めて触るはずなのに、元から自分の物であったかのようにとても手に馴染むのだ。
まさかと思い、剣を抜こうとすると、すんなりと台座から剣が抜けた。
俺と同じく剣を抜きに来たのであろう冒険者と、たまたまそこを通りかかった村の住人が俺のその姿を見て大騒ぎになった。抜いた張本人である俺も驚きを隠せない。
村長様と王様にお伝えしなければと、村の住人は走っていってしまった。
そんな中、比較的冷静なラルフとシエルの二人が俺に近づいてきた。
「何か、大変なことになったねえ。まさか、アルバが勇者だったとは。」
「ええ、私も驚きです。これからどうしましょうか。」
3人でこれからどうするかを話している内に、村長から話を聞いてきた村の住人に連れられ、俺たちはまた王都に向かうことになったのだった。
王都に着き、そのまま俺たちは王城の前まで連れてこられた。
そこにいた衛兵は俺たちの姿を見ると、すぐに門を開けた。
「ここからは、アルバ様お一人でお進みください。」
そう言われて、俺はすぐに了承の返事をした。そして、シエルとラルフに聞いた。
「シエルとラルフはどうする?」
「私たちはここで待っていますので、お気になさらないでください。」
シエルの言葉にラルフも頷いていた。
シエル1人なら少し不安だが、ラルフがいるなら大丈夫だろう。
そう思い、俺はそのまま門をくぐり城へと入って行った。
俺は城に入り、そのまま王に謁見することになった。
俺は、王には何度かあったことがある。俺はギルドの中では優秀な方らしく、何度か王からの直接の依頼を受けたのだ。
玉座の間に入り俺が頭を垂れると、王から面を上げよと指示があった。
「君が勇者であったことに少し驚いたが、君は優秀な冒険者だ。勇者になるのは当然だと思っているし、私としては君でよかったと思っているよ。私にとって一番信頼できる冒険者は君だからね。」
「お褒めいただき、ありがとうございます。」
「その立場に自惚れず、日々精進するように。」
はい、と俺は元気よく返事をした。王は俺のその元気な返事を聞き、満足したようだった。
そして王は、早速で悪いが、と話を切り出した。
「今度、南西にある第3防衛拠点に加勢してくれないか。最近、魔族達の勢いが増してきているようでな。大丈夫だと思うが、少し嫌な噂が流れているのだ。」
「噂、ですか。」
「そうだ。噂は、2つもあってな。」
王はそう言って、2つの噂を簡潔に話し出した。
「1つ目は、先ほど言った第3拠点の辺りで魔王軍に怪しい動きがあるというものだ。調査団によると、瘴気が濃くなってきているらしい。」
瘴気とは、魔族が出す特有の霧のようなものだ。人間がこの瘴気をたくさん吸い込むと、気分が悪くなるそうだ。だが稀に、瘴気をどれだけ吸い込んでも平気な人もいるらしい。
その瘴気が濃くなってきているということは、魔族や魔物が集まっている証拠ともいえる。
「2つ目は、軍の中に魔王軍からのスパイが紛れ込んでいるという話だ。こちらは真実かどうかはわかっていないが、今度加勢するときに注意していてほしい。」
「わかりました。」
その後、王から激励の言葉をいただき、王の前から立ち去った。
城を出てラルフ達に合流しようと、庭の前を通っていたときだった。
「うわあああーーー。」
近くから悲鳴が聞こえた。急いでその方向に向かうと、そこには1人の子供と1匹のスライムがいた。その子はまだ幼く、シエルより少し年下のようだった。高級できれいな服を着ているから、王家の関係者なのだろう。
「ま、魔物が出た。誰か助けて。」
「そのスライムは魔物じゃないですよ。」
俺がそう言ってスライムを持ち上げて抱えると、その子はポカンと口を開けて驚いていた。
「そ、そうなのか……?」
「ええ、ただのプヨプヨしたスライムです。人を襲うことはあまりありません。」
「スライムにも、善いものと悪いものがいるのか?」
この質問をしてくるということは、この子はあまり魔物について知らないのだろうか。
というか、そもそも王城には悪意をもつ生物を入れないよう結界が張られているはずだから、魔物が入るはずがない。
「はい、いますよ。このスライムは善いスライムです。」
「そうか……。触っても大丈夫だろうか。」
「大丈夫だと思います。」
俺がこの子供の近くにスライムを放すと、子供は興味津々にスライムを撫でていた。スライムも撫でられてとても心地よさそうにしている。
スライムは、人間を見た瞬間に逃げるものが多い。そう考えると、このスライムはかなり人懐っこい。この王城の周辺で暮らしていて、間違って王城内に入ってきてしまったのだろう。
すると、子供はスライムを撫でている手をピタッと止めて言った。
「人間にも、スライムにも、善いものと悪いものがいるなら、魔族にも善いものと悪いものがいるのだろうか。」
魔族や魔物は、みんな悪い奴らだと一般的には言われているし、もし魔族や魔物のことを悪くないと言えば、周りから除け者にされる。この国はそんな場所だ。だが、俺はこの考えは間違っていると思っている。
この子にはどう答えようかと考えていると、子供が言った。
「あまり深く考えず、あなたが本当に考えていることを言って欲しい。」
「……人間やスライムと同じように、魔族にも善いやつと悪いやつがいると、俺は思いますよ。」
「そうか。貴重な意見をありがとう。」
これでよかったのだろうか。
俺がそう考えていると、俺の方を向いて言った。
「そういえば、自己紹介がまだだったね。私の名前は、ホープ。ラント国の第一王子だ。あなたの名前は?」
「俺はアルバと言います。すみません、王子とは気づかず。」
俺が急いで頭を下げると、ホープ王子は、構わないよ、と言った。
それから、王子は思い出したように言った。
「アルバということは、あなたが先ほど剣を抜いたという勇者かい?」
「はい、そうです。」
「そうか、勇者から意見をもらえるとは、私は幸運だね。」
王子はとても嬉しそうに笑っていた。
「そういえば、なぜ第一王子の貴方が、このような場所に1人でいるのですか?」
「少し1人で散歩をしたくて、こっそり部屋から抜け出したんだ。」
「城の方達が心配しているのではないでしょうか。」
俺がそう言ったときだった。
「ホープ王子ーーー!」
と、城の方から大声が聞こえた。
「すまない。じいやが呼んでいるようだから、そろそろ失礼するよ。このスライムはあなたに任せる。」
そう言って、王子はスライムを持ち上げて手渡すと、城の方へ走っていってしまった。
まさか、王子に会うなんて想像もしていなかった。俺にとっても王子との会話は貴重な体験になったと思う。
そろそろ行かないと、ラルフとシエルが待ちくたびれていそうだと思い、俺はスライムを抱えながら城を後にした。
門を出てからスライムを放すと、スライムはどこかへ行ってしまった。おそらく、自分のすみかに行ったのだろう。
そして、俺はシエルとラルフに合流した。少しぐらい町を見ていてもよかったのにと俺は思ったが、ずっと門の前で待っていたらしい。
俺がスライムを放すのを見ていたシエルが俺に聞いた。
「なぜ、スライムを持っていたのですか?」
「中に入り込んでしまったらしくてな。外まで連れてきたんだ。」
「昔からアルバは、スライムだったりいろんな生き物と仲良くするのが好きだよねー。」
「そうなのですね。」
シエルは、スライムを持っていた理由に納得しているようだ。
町にある時計を見ると4時ごろだったので、俺は2人に言った。
「そろそろ日が暮れてくるから、館に帰るか。」
本当に今日はいろいろたくさんのことが起きて、疲れた。早く帰って休みたい。
俺たちは、今日あった出来事をわいわい話しながら、館に帰ったのだった。
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