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第2章 水の研究者、魔族と戦う
第56話 情報収集
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「勇者だぁ? んなもん、見たことあるわけねーだろ」
ガロンヌさんとシャルロビさんに俺の杖の製作を依頼し、完成まで暇になったのでこの世界に関する情報収集することにした。色々と情報は集まってきたが、どこで聞いても勇者の情報だけは出てこなかった。
「俺もねーな」
「同じく」
「儂もじゃ」
冒険者ギルドに併設された酒場で、冒険者たちに酒を奢って情報を集めているのだが、誰も勇者を見たことも、その噂を聞いたこともないという。
「てかよ、勇者がこの世界にくるってことは、魔族が復活してるってことだぜ?」
「だな。そろそろ魔族が出現する年だってのは言われているが、この辺りで魔族をみた奴らなんていない」
へぇ、そうなんだ。
俺はもう2体も魔族を倒してるけど、出現報告ってそこまで出てないみたい。
犠牲者が出る前に魔族を仕留められているってことだから、そこは喜んでいいのかもしれない。
しかし困った。それなりに貿易が盛んで、冒険者の出入りが多いこの街でこれだけ勇者の情報が出てこないとなると、サハルで情報が得られる見込みは低そうだ。
あの高校生たち。本当にこの世界に勇者として召喚されてきてるのか?
俺がこっちに送り込まれた時間軸とラグがあるって可能性もあるな。もしくは女神によって最初に呼び出されたあの空間でチュートリアルを受けてるとか。
それだったら良い。彼らが危険な思いをしていないのなら、問題ない。
「ところで、お前よ。可愛い猫獣人連れてんな」
「獣人てのは発情期になると大変なんだろ?」
「俺らが相手してやろう」
酒に酔った冒険者たちが絡んできた。
「こっち来ないでニャ!」
やはりミーナを連れてきたのは間違いだったかもしれない。彼女は俺を心配してついてきてくれたんだが、案の定ミーナの方が冒険者たちの標的になった。
「ミーナに触ったら、殺しますよ」
「おいおいおい、粋がんなよ」
「強い言葉えば俺らが怯むと思ってんのか」
「ちょっと金がある程度で調子に乗るな」
俺とミーナがゴールドの冒険者であることは言ってない。言ったところで見た目で舐められることは分かり切っていた。
「警告はしましたからね。そこから一歩でも近づけば攻撃します」
あらかじめこうなることを予測し、このギルドのマスターには話を通してある。
殺しはしない。でも冒険者が絡んできてどうしようもなくなった時は、死なない程度に攻撃しても良いって言ってもらった。
冒険者やってるような奴らって、結局は強い奴にしか従わないから。
「近づいたら、なんだって」
「ほら、来てやったぞ」
「俺らをどうす──ぐぼっ!?」
警告を無視して3人の冒険者が接近してきたので、彼らの頭に水球を落として溺れさせた。水球はあらかじめギルドの天井付近にいくつか設置していたもの。
戦意を喪失させるのが目的なので、10秒ほどで解除してあげる。
「ゲっ、ゲホっ。…て、てめぇ!」
「な、なにしやがった!?」
ふたりはまだ俺への反抗心が消えなかった。もうひとりは溺れた時パニックになり、大量の水を飲んだようで泡を吹いて倒れている。
「俺の水魔法。言ったよね。近づいたら攻撃するって」
「み、水魔法!?」
「あの水量を……」
「ありえねーだろ」
何人かは俺にビビってる様子。
「ギルド内での魔法の使用が認められると思ってんのか!」
「冒険者でもない奴が、ちょ、調子に乗るんじゃねーよ!」
外野から口で文句だけいう奴らもいた。
一番問題なのは、ギルドへの忠誠心がそれなりにあって、俺が魔法使いだと把握したうえで接近戦には弱いはずだと判断してしまった冒険者がいたこと。
「あっ、やば──」
ひとりの男が剣を振りかぶって俺に突進してきた。
でも俺なら水魔法で対処できる。
俺がヤバいと思ったのは、俺の魔法より速く彼女が動いたから。
「異分子は排除す──ぐべらげばっ!!」
俺に斬りかかる寸前、彼は横っ面をミーナに全力で殴られ、酒場の扉を突き破って外まで吹き飛んで行った。
「お、おい。セイヤが」
「ゴールドだぞ、あいつ」
「い、一撃で!?」
「トールに危害を加えるつもりなら、ウチが相手になるニャ。他にも死にたい奴がいれば来ると良いニャ。でも次は、手加減してあげないからそのつもりでニャ」
あ、あれで、手加減してるんですか?
「それで。誰がウチの相手してくれるって言ったかニャ?」
ミーナが酒場内を見渡すと、冒険者たちはみな目を逸らした。
「よーし、誰がボスか分かったみたいニャ。では、アンタらのボスのウチのボスであるトールの指示を聞くニャ」
いつの間にかミーナが冒険者たちのボスってことになってた。しかも何故かそのボスが俺になってる。
「さぁ、トール。こいつらに指示を」
「えっと……。さすがにここまでのことはギルマスさんに許可を貰ってないけど」
「良いから良いから。情報収集の伝手は多い方が助かるニャ」
まぁ、そりゃそうだが。
指示に従ってくれるのか?
とりあえず言うだけいってみる。
「それじゃあ。俺は勇者の情報が欲しいです。あと魔族が出現したって情報も。それらについてなにか分かったら、教えてください」
「「「…………」」」
酒場内は静まり返っている。
ほらね。こんなもんでしょ。
だからダメだって。
「おやぁ。返事が、聞こえないニャ」
俺ですら背筋がゾワっとするほどのプレッシャーがミーナから発せられる。
「「「は、はい!!!」」」
その場にいた全員が一瞬で立ち上がった。
「なに突っ立ってるニャ。さっさと調べに行けニャ!」
「「「はい!!!!」」」
冒険者たちがすごい勢いで酒場から飛び出していった。
全員が出ていったのを見届けたミーナは、金貨の入った袋を持って酒場のカウンターへ向かう。そこには騒ぎを聞いて様子を見に来たギルドのマスターがいた。
「これ、壊しちゃった扉の弁償だニャ」
「ど、どうも。あの……。俺も、情報収集に行った方が良いですか?」
「あんたはここで情報の集約してニャ。たまにウチらが聞きに来るから、その時に報告お願いするニャ」
「承知致しました!」
オリハルコン級の冒険者とかだと、ギルドマスターでも頭が上がらないこともあるという。今のミーナはそのクラスの威圧感を纏っていた。
ガロンヌさんとシャルロビさんに俺の杖の製作を依頼し、完成まで暇になったのでこの世界に関する情報収集することにした。色々と情報は集まってきたが、どこで聞いても勇者の情報だけは出てこなかった。
「俺もねーな」
「同じく」
「儂もじゃ」
冒険者ギルドに併設された酒場で、冒険者たちに酒を奢って情報を集めているのだが、誰も勇者を見たことも、その噂を聞いたこともないという。
「てかよ、勇者がこの世界にくるってことは、魔族が復活してるってことだぜ?」
「だな。そろそろ魔族が出現する年だってのは言われているが、この辺りで魔族をみた奴らなんていない」
へぇ、そうなんだ。
俺はもう2体も魔族を倒してるけど、出現報告ってそこまで出てないみたい。
犠牲者が出る前に魔族を仕留められているってことだから、そこは喜んでいいのかもしれない。
しかし困った。それなりに貿易が盛んで、冒険者の出入りが多いこの街でこれだけ勇者の情報が出てこないとなると、サハルで情報が得られる見込みは低そうだ。
あの高校生たち。本当にこの世界に勇者として召喚されてきてるのか?
俺がこっちに送り込まれた時間軸とラグがあるって可能性もあるな。もしくは女神によって最初に呼び出されたあの空間でチュートリアルを受けてるとか。
それだったら良い。彼らが危険な思いをしていないのなら、問題ない。
「ところで、お前よ。可愛い猫獣人連れてんな」
「獣人てのは発情期になると大変なんだろ?」
「俺らが相手してやろう」
酒に酔った冒険者たちが絡んできた。
「こっち来ないでニャ!」
やはりミーナを連れてきたのは間違いだったかもしれない。彼女は俺を心配してついてきてくれたんだが、案の定ミーナの方が冒険者たちの標的になった。
「ミーナに触ったら、殺しますよ」
「おいおいおい、粋がんなよ」
「強い言葉えば俺らが怯むと思ってんのか」
「ちょっと金がある程度で調子に乗るな」
俺とミーナがゴールドの冒険者であることは言ってない。言ったところで見た目で舐められることは分かり切っていた。
「警告はしましたからね。そこから一歩でも近づけば攻撃します」
あらかじめこうなることを予測し、このギルドのマスターには話を通してある。
殺しはしない。でも冒険者が絡んできてどうしようもなくなった時は、死なない程度に攻撃しても良いって言ってもらった。
冒険者やってるような奴らって、結局は強い奴にしか従わないから。
「近づいたら、なんだって」
「ほら、来てやったぞ」
「俺らをどうす──ぐぼっ!?」
警告を無視して3人の冒険者が接近してきたので、彼らの頭に水球を落として溺れさせた。水球はあらかじめギルドの天井付近にいくつか設置していたもの。
戦意を喪失させるのが目的なので、10秒ほどで解除してあげる。
「ゲっ、ゲホっ。…て、てめぇ!」
「な、なにしやがった!?」
ふたりはまだ俺への反抗心が消えなかった。もうひとりは溺れた時パニックになり、大量の水を飲んだようで泡を吹いて倒れている。
「俺の水魔法。言ったよね。近づいたら攻撃するって」
「み、水魔法!?」
「あの水量を……」
「ありえねーだろ」
何人かは俺にビビってる様子。
「ギルド内での魔法の使用が認められると思ってんのか!」
「冒険者でもない奴が、ちょ、調子に乗るんじゃねーよ!」
外野から口で文句だけいう奴らもいた。
一番問題なのは、ギルドへの忠誠心がそれなりにあって、俺が魔法使いだと把握したうえで接近戦には弱いはずだと判断してしまった冒険者がいたこと。
「あっ、やば──」
ひとりの男が剣を振りかぶって俺に突進してきた。
でも俺なら水魔法で対処できる。
俺がヤバいと思ったのは、俺の魔法より速く彼女が動いたから。
「異分子は排除す──ぐべらげばっ!!」
俺に斬りかかる寸前、彼は横っ面をミーナに全力で殴られ、酒場の扉を突き破って外まで吹き飛んで行った。
「お、おい。セイヤが」
「ゴールドだぞ、あいつ」
「い、一撃で!?」
「トールに危害を加えるつもりなら、ウチが相手になるニャ。他にも死にたい奴がいれば来ると良いニャ。でも次は、手加減してあげないからそのつもりでニャ」
あ、あれで、手加減してるんですか?
「それで。誰がウチの相手してくれるって言ったかニャ?」
ミーナが酒場内を見渡すと、冒険者たちはみな目を逸らした。
「よーし、誰がボスか分かったみたいニャ。では、アンタらのボスのウチのボスであるトールの指示を聞くニャ」
いつの間にかミーナが冒険者たちのボスってことになってた。しかも何故かそのボスが俺になってる。
「さぁ、トール。こいつらに指示を」
「えっと……。さすがにここまでのことはギルマスさんに許可を貰ってないけど」
「良いから良いから。情報収集の伝手は多い方が助かるニャ」
まぁ、そりゃそうだが。
指示に従ってくれるのか?
とりあえず言うだけいってみる。
「それじゃあ。俺は勇者の情報が欲しいです。あと魔族が出現したって情報も。それらについてなにか分かったら、教えてください」
「「「…………」」」
酒場内は静まり返っている。
ほらね。こんなもんでしょ。
だからダメだって。
「おやぁ。返事が、聞こえないニャ」
俺ですら背筋がゾワっとするほどのプレッシャーがミーナから発せられる。
「「「は、はい!!!」」」
その場にいた全員が一瞬で立ち上がった。
「なに突っ立ってるニャ。さっさと調べに行けニャ!」
「「「はい!!!!」」」
冒険者たちがすごい勢いで酒場から飛び出していった。
全員が出ていったのを見届けたミーナは、金貨の入った袋を持って酒場のカウンターへ向かう。そこには騒ぎを聞いて様子を見に来たギルドのマスターがいた。
「これ、壊しちゃった扉の弁償だニャ」
「ど、どうも。あの……。俺も、情報収集に行った方が良いですか?」
「あんたはここで情報の集約してニャ。たまにウチらが聞きに来るから、その時に報告お願いするニャ」
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