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第28話 エルフの読心術

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「うん、言うよ。絶対に言う。ケイトが何をしても良い。私の所に帰って来てくれたら、私は君に『お帰り』って言ってあげる」

 少し離れたフリーダが、まっすぐ俺を見ながらそう言ってくれた。

 俺には彼女のように目を見ただけで相手が何を考えているのか読み取るような力はない。それでもフリーダの言葉が嘘ではないというのは何故か確信が持てた。

「ありがと、フリーダ。じゃあ、これからよろしく──ってことでいいのかな?」

「も、もちろん! 不束者ですが、よろしくお願いします」

 再びフリーダにギュッと抱きしめられた。
 彼女の髪からふわっと良い香りがする。

「……ん? なぁ、ケイト」
「どうかした?」

「君は私の元から逃げておきながら、どこかで女と抱き合っていたな?」

「えっ。な、なんで!?」

「エルフの嗅覚をなめるなよ。強い血の匂いがするし、君の服は私が着替えさせた。でも身体に染み付いたこの香りは絶対に女のモノだ」

 女の子と抱きあったって……。
 あっ!

「その顔、思い当たることがあるようだな。弁明したければ今なら聞いてやるぞ」

「た、確かに女の子に抱き着かれた。だけどそれは、こんなに小さな女の子だ」

 自分の胸より少し低いくらいの高さで手を振って、その女の子の身長を示す。ここ最近俺に抱き着いた女性はフリーダと、奴隷だった少女たちくらい。フリーダの前に抱き着いてきたのは猫獣人のミィだ。

「その子は獣人か?」

「そう! そうだよ。俺はフリーダの妹たちを奴隷から解放した後、既に貴族の所に買われていった子たちを助けに行った。その中の子に俺は抱き着かれたんだ」

 なんか俺、めっちゃ必死に言い訳してるな。
 でも仕方ない。

 フリーダさんの冷たい目が怖すぎる。

「浮気も許してやるとは言ったが、私を振った直後に別の女と抱き合うのはさすがに悲しくなるぞ」

 だーかーらー!
 浮気じゃないの!!

 お願いします。信じてください。
 どうすれば信じてくれますか?

「信じてほしいならキスしろ」
「…………」

 もうこれ、確実に俺の思考を読んでるよね?
 フリーダさんって、読心術使えるよね?

「そんなことはどうでもいい。さっさとキスしろ」

「わ、わかった」

「短いのはダメだぞ。ちゃんと、その……わ、私を求めるように長いのを、し、してくれると。あの、嬉しいなぁ、なんて」

 いや、死ぬほどかわいいんですけど。

 とりあえず了解!
 長いキスですね!!

「フリーダ」

 名前を呼びながら左手を彼女の腰に回す。
 右手は彼女の首の後ろへ。

 長いのをご所望らしい。
 俺が満足するまでは逃がさないよ。

 
 フリーダとキスをする。
 最初は唇が軽く触れる程度のを何回か。

 次第に彼女との距離を縮めていく。
 
 唇同士が強く当たる。
 彼女が俺の身体に回した手にも力が入った。

 そろそろいいかな?
 舌をフリーダの口の中に侵入させてみた。

「──んんっ!?」

 驚いたフリーダが強引に俺から離れようとする。

「あ、あんまり激しいのはダメ!」
「別にいいじゃん」

 ここにはベッドもある。
 俺たちはもう、だろ?

 初めてだけど、気持ちよくなってもらえるよう頑張る。
 だから、俺としよう。
 
 フリーダを襲う気満々だった。
 というか勢いで既に押し倒している。


「だ、ダメだってば! 

「……え」

 部屋の入口の方を見ると、手で顔を覆いながらも指の隙間から俺たちのことをしっかり観察しているシスタとステラがいた。
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