収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥

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第15話 女商人の本心

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「そ、それは困る! 俺にはまだやらなきゃいけないことがあるから、フリーダのモノにはなれない。償いが必要なら、他のどんなことでするから!!」

 フリーダの腕を振り払って椅子から立ち上がった。
 彼女から距離をとりながら、頭を下げて謝罪する。

「私のモノになるって言うのを、奴隷とかそーゆーのだと思ってないか?」

「……違うの?」

「私としては。き、君が私の旦那になってくれるのであれば、それで良いんだ」

「旦那? それって、俺たちが結婚するってこと?」

「そう、なるかもね」

 先ほどまで浮かべていた悪戯っ子のような笑みが消えていた。俺から目を逸らして斜め下を向く彼女の頬が赤らんでいる。その姿を、不覚にも可愛いと思ってしまった。

「別に今すぐ結婚してくれと言ってるんじゃない。勇者たちが魔王を倒した後で良い。君は彼らの支援をしたいのだろうからな」

「待ってくれるというのはありがたいけど……。それは実質、永遠に結婚できないってことになるぞ?」

 俺はルークスたちが魔王を倒せるように支援するつもりではいるが、そのために必要なことを考えると道は果てしなく険しいんだ。

「ケイトの能力があればきっと大丈夫。それに勇者をサポートする君を、私が全力でサポートするから」

「俺を、サポート?」

「今の君には仲間がいない。ケイトの性格からして、勇者たちに必要あるなし関係なくアイテムやお金のほとんどを彼らに渡してきたはず。残した所持金はたいしてないだろう。そんな君には今、仲間が必要だ。活動拠点が必要だ。それは君自身も良く分かっているはず」

 フリーダって俺とそんなに付き合いは長くないのに、どうして俺のことをこんなにも理解してるんだ?

「なんで分かるんだって顔をしているな」

「え」

「長年商売を続けていると、ちょっとした仕草や人の表情から読み取れることが増えるんだよ。ケイトとは何時間もかけて商談したことがあるから、君の性格は良く把握している」

 長生きしてる商人って、なんか怖い。

「怖がらないでほしい。これでも君の役に立ちたいと思っているだけなんだ」

「……すごいな」

 まるで読心術だ。

「でもなんで俺の手伝いをしてくれる気になったの? やっぱり、俺の収納魔法を商売で使いたいから?」

「隠さずに言えばそういうことになる。以前から言っていたように、私は君の力が欲しい。君に商売仲間になってもらいたかった。可能であれば、君との子が欲しいと考えていたこともある」

「こ、子ども!? いくら何でもそれは──」

「ケイトは人族で、今後百年も生きないだろう。そうなれば君の特異な収納魔法は失われてしまう。もし私と君の子が収納魔法を引き継ぐことができれば、君の死後も私は我が子と収納魔法を活用した商売を続けられるわけだ」

 なるほど。そう言うことか。
 商人らしい、非常に合理的な考えだ。

 確かに魔法は遺伝することがある。俺の収納魔法は親から引き継いだものではないが、俺の子に魔法が遺伝する可能性は十分に考えられる。

「──っていう合理的な考えがあるって主張しておけば、君が納得しやすいかなと思ったのだが、どうだろう」

「じゃあ、本心は違うのか?」

「さすがに私も商売に利用するために子をつくるような女ではない。まずそこは分かってもらいたい」

「商人らしいなって思ってたけど、違うなら俺はその方が良い」

 魔法を継がせるために子を産んで、もしその子が魔法を引き継いでいなければ誰も幸せにならない。合理的な考えだとは思ったが、賛同はしたくなかった。

「そんな理由付けまでして君を手に入れようとしたのは、ケイトが好きだからだよ」

「……ぇ」

 お、俺を好き?

 いや、隙かな?
 俺が隙だらけだって言いたいのか。

 すれともすき
 俺で畑を耕すつもりかな。

「ケイトの能力を得るために、私はいろんな交渉を持ちかけただろ? 全て突き返されてしまったが……。君と交渉する度に、私は君が欲しがりそうなモノを考え続けた。ケイトのことをずっと考えていたんだ」

 フリーダが近づいてきて、おずおずと俺の服の裾を掴んだ。

「気づいたら君のことが気になって仕方なくなってしまった。ケイトを、好きになっちゃった」

 こ、これが告白ってやつか?
 初めての経験だ。

 もじもじしながら俺の服を掴むフリーダの仕草がめっちゃ可愛い。

「あ、ありがと」

 俺はけっこう頭が回る奴だって自負していたけど……。
 ダメだ。何も考えられない。

 そんな俺に、美女エルフフリーダが追い打ちをかけてくる。


「最後に君と商談した時『仲間になってくれるなら、この身体を好きにして良い』と言ったのを覚えているか? あれは冗談でもなんでもなく、私の本心だった」
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