9 / 59
第9話 対魔王戦の準備
しおりを挟む魔王の姿を認識したので、今できるだけの対策を準備しようと思う。
もちろん俺が魔王を倒す準備じゃない。
勇者ルークスに魔王を倒させる準備だ。
魔王を倒して世界に平和をもたらすのは勇者パーティーの荷物持ちをしていた俺なんかじゃなく、神託を受けた勇者様であるべきなんだ。
ちなみに魔王の前に倒さなきゃいけない敵がたくさんいる。魔王軍四天王は三人残ってるし、なんか四天王より上位の存在もいるらしい。だけどまた同じ夢が見られるとは限らないから、記憶が新しいうちに行動を開始した方が良いと判断した。
「よし。やろう!」
まずは魔王の姿を思い出す。
ゴーストみたいな不定形ではなかった。ちゃんと実体があるタイプの魔族だ。武器は聖剣の代わりとしてルークスに渡したアレで大丈夫だろう。
それから魔王の身体サイズは人族とそんなに変わらなかったな。ただしあの姿が第一形態で、一定以上のダメージを与えたら第二形態になるってことも考えられる。
魔王軍四天王のヴァラクザードがそうだった。
てかお前、魔王の部下でしょ?
中ボス的な存在が第二形態持ちとかマジでやめて。
魔王が巨大化した時のことを考えて、大型の敵にも有効な攻撃方法を検討しておくべきだと思う。主な対象は賢者のレイラかな。彼女の攻撃魔法を強化できるような、強い杖をこっそりプレゼントしよう。
それから魔王の覇気? 瘴気? よくわからんけど、殺気みたいなやつもヤバかった。魔王を直視できないくらいの恐怖を感じてしまう。夢の中では魔王の息子であった俺ですら身動きが取れなくなるんだ。神託を受けたルークスやレイラなら何とかなるかもしれないが、そうじゃない戦士アドルフには恐怖に耐性を得られる装備を用意してあげるべきだ。
魔王はその背に漆黒の翼を有していた。あれが見掛け倒しでなければ、飛行能力もあるということ。賢者レイラであっても飛行魔法は使えないから、対空戦闘が可能になる装備や魔法の習得が必要になるかもしれないな。空を飛ぶ強敵を倒す手段か……。今は何も思いつかない。これは後ほど、ゆっくり考えることにしよう。
魔王が強そうだってのは間違いない。きっとみんなが戦う時に、無傷とはいかないだろう。ということはパーティーの回復役である聖女セリシアの装備も良いモノにしておかなくてはならない。また彼女は蘇生魔法が使えるが、それは対象がひとりだけであり、蘇生させた後にセリシアは疲労で動けなくなる。複数人を同時に蘇生できるようセリシアを補助する装備や、彼女の疲労を軽減させられる魔具を渡してあげたい。
もしくはエリクサーを──
あっ!
そうだ。万能薬エリクサーを手に入れよう。
少人数で旅を続ける過程で回復は何より重要になる。今後ルークスたちは、強敵との連戦になる可能性だってある。魔王軍四天王のヴァラクザードを倒したのだから、残りの四天王たちが報復に来てもおかしくない。
強敵との戦闘で満身創痍になったところに、次の強敵が来たら……。
そんな時、瞬時に身体を万全の状態に戻すことのできるエリクサーがあれば、何とかなるかもしれないんだ。
俺が次にやるべきことが決定した。
万能薬エリクサーを手に入れること。
それをルークスたちに、こっそり渡すことだ。
45
あなたにおすすめの小説
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!
こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」
主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。
しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。
「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」
さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。
そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)
かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる