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第2章 魔法学園
第44話 新魔法の授業(2/4)
しおりを挟む「みんなの目標が分かったので、次は今どんな感じの魔法が使えるかとかを見せてほしい。てことで、魔法訓練場に行きたいんですが」
ファリル先生の方を見る。
「なんだ、もう座学は終わりか? めんどくせーな」
本をパタンと閉じ、立ち上がった先生が教室から出て行こうとする。
この人、本を読んでた割には俺の言葉にすぐ反応してくれたな。しかもめんどくさいって言う割にはすぐ行動してくれるし……。
もしかして、俺に教師をやらせてるのも何か意図があるのか?
『祐真様。私の考察をお伝えしてもよろしいでしょうか?』
アイリスが話しかけてきた。
うん、良いよ。
よろしく。
『彼は祐真様から新魔法の情報を引き出そうとしている可能性があります。担任代行という役目を与えることで、新魔法研究会などでも報告していない情報を生徒になったリエルさんたちに伝えるのではないかと思われているのでしょう』
あー。なるほど。
『祐真様は新魔法研究会でも積極的に発言していますが、相手が同級生ということになれば気が緩み、別の情報もポロっと出してしまうでしょう』
確かにそれはそうだ。
現にリエルたちのためなら、新しい魔法をいくつか登録しても良いかなって考えはじめている。そーゆー新情報を学園側が欲しているってのも理解できる。
『いかがなさいますか? 必要であれば、祐真様が何か隠しておきたい情報を漏らしそうになった時、私が忠告することもできますが』
まぁ、そこまで隠さなきゃいけない情報ってないよね。
どうせ俺らは魔王を倒したら、元の世界に帰らされちゃうんだし。
それほど長い期間こちらの世界にいるつもりはなかった。自分が妄想した魔法を使えるなんて最高だから、できれば長く滞在したい。
でも普通に魔王が出てくるような世界で、のんびり冒険なんてしている余裕はないだろう。早く魔王を倒さないと、それだけこちらの世界の人々が苦しむことになる。
魔王はなるべく早く倒さなきゃいけない。
そうなると当然、俺たちがこの世界にいられる時間はかなり限られる。だからその短い期間で、俺が考案した新魔法に関するヒントはできるだけこの世界に残しておきたいなって考えていた。
「どうした。訓練場に行くんだろ? さっさとついてこい」
「はーい」
教えられることは全部教えちゃう。
それで良いってことにする。
『承知致しました』
「みんな、行くよー!」
俺はリエルたちと一緒にファリル先生の後を追った。
──***──
「この魔法訓練場は小さいが、お前たち編入クラスがいつでも使えるようになっている。大規模魔法を使う際はメイン通りの方にある訓練場を予約してから使うように」
そう言うファリル先生が連れて来てくれたのは、中央塔の奥にある魔法訓練場。
「了解しました」
ここは新魔法研究会に所属する教員たちに連れられて来た場所だった。おそらくここは俺たち編入生用なんかじゃなく、本来は教師専用なんだと思う。
訓練場を覗ける通路に、数名の教員たちが見える。
俺が新魔法を使うと思って見に来たんだろうか。
やっぱりアイリスの予想通り、俺から情報を得ようとしてるんだな。
それって……。
けっこう良いよね。
ありだと思う。
俺がこの世界から消えたら、俺が考案した魔法の多くはこちらの世界で本来の効果を発揮することなく忘れ去られてしまうかもしれない。
そうならないように新魔法に関する魔導書みたいなものを残したいなって思ってはいたけど、書くのがめんどくさすぎる。この世界にパソコンなんてものは無いから、情報を残すなら全て手で書き記すしかないんだ。
流石に無理。
そんなめんどくさい作業を、ほっといても専門家たちが記録から考察、検証とかまで全部やってくれるって言うのだから、俺としてはまるっとお任せしたい。
てなわけで、俺は俺が考えた新魔法のすべてを隠さずリエルたちに教えるつもり。
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