43 / 50
第2章 魔法学園
第43話 新魔法の授業(1/4)
しおりを挟む「この世界には火、水、風、土、雷、光、闇っていう“七元素魔力”があります。これを放出できるようになるのが魔法の基本です。まぁ、編入試験をクリアしてるみんななら知ってるよね」
「はーい。知ってます!」
リエルが元気よく返事してくれる。
こういう生徒がいると、先生って助かるんだなって思った。
「どの七元素魔力を放出できるかは種族や個人によって変わります。例えばエルフなら風属性の魔力は放出しやすいけど、火属性のは放出しにくいとかね」
「獣人は火と土が得意だにゃ! あと稀に雷も」
「人族は全体的に適性が出やすいですね。光や闇は少しレアですが」
ミーナとアルメリアも参加してくれた。
「基本的なことだと思うんですが、僕たちが新魔法を使えるようになるのと何か関係があるんですか?」
フリストは良い質問をしてくれる。
「これはただの確認だよ。みんなが自分の得意な属性を把握しているかどうかの。新魔法は全部で32個ある。そのうち攻撃系魔法は8。防御系魔法は12ある。残りの12個は生活や旅、冒険を便利にする魔法だね。魔法は便利だけど、ひとりで全部を使おうと思わない方が良い。自分の適性に合った魔法と、自分が目指す将来像に向かって必要な魔法を選択した方が強くなれるし、失敗が少ない」
クラスメイトたちにも同じようなことを言ったけど、全部アイリスにしてもらったアドバイスだ。
「失敗って、どんな?」
「例えば適性のない魔法を無理に使おうとして、魔力を余計に消費しちゃったり、そもそも発動しないこともある。魔物と戦ってる時に、魔法が不発だったらピンチになるでしょ?」
「た、確かに……」
リエルは風属性魔法でオークを倒せるほどの実力者だけど、風以外の属性魔法はほとんど使ったことがないらしい。もし風属性魔法に耐性のある敵に襲われたらどうするんだって話しですよ。
彼女はたったひとりでこの魔法学園を目指していたけど、無事に来られてラッキーだったと思った方が良い。
「みんな自分の得意属性は分かってるみたいなので、次はどんなことがしたいかを聞いて良いかな? 俺がみんなにおススメの新魔法を選んであげる。それぞれが使いたい新魔法をもう決めてるなら、それも教えてね」
「ユーマ先生。私は火属性魔法を使いたいです!」
いきなり難しいのが来たな。
「さっきも言ったけど、エルフは火属性の魔力を放出しにくい。リエルだってそれは分かってるよね?」
「だからこそです。私はハーフエルフなので、そこまで火属性魔法が苦手ってわけじゃありません。火属性が弱点の魔物が里に来た時、私が戦力になりたいんです」
なるほど。彼女なりに考えてのことなんだ。
「そーゆーことなら分かりました。新魔法には火属性と風属性を同時に使う錬成魔法があります。ただの火属性魔法を使うより、ずっと強力な魔法。リエルにはまず、これを使えるようになってもいます」
「わ、わかりました! 頑張ります!!」
「私は身体強化魔法が良いにゃ」
「ニーナは火属性と風属性だったら、どっちが得意?」
「んー。どちらかと言うと火かにゃ」
「だったら攻撃系の身体強化魔法がおススメだね」
「そうなの? ちなみに風属性だったら、どうなるにゃ?」
「風属性ならスピード上昇系の身体強化魔法になる。土属性に適性があれば、防御系がおススメ」
少し悩んだ様子のニーナ。
「……できれば私、火と風の両方を使えるようになりたいにゃ」
「問題はないけど、身体強化系を2つ入れるなら遠距離攻撃系の魔法は減らした方が良いかな。それでも良い?」
「もともと私は近距離戦闘が得意な魔法拳闘士だから、遠距離系はなしで良いにゃ」
「りょーかい!」
ニーナは身体強化魔法2つね。
だったらそれらと相性の良い体力持続回復魔法も覚えてもらおう。
「僕は支援系の魔法が使いたいです。実は光属性の魔力を放出できます」
「それはレアだね。支援系って言うと、回復よりはバフとかデバフとか?」
「うん、そうです」
「生活魔法か、戦闘向きか。どっちが良い?」
「いくつ覚えられますか?」
「新魔法は最大で5個ぐらいかな」
「では、冒険でも使える生活魔法2。戦闘向きを3でお願いします。もし僕がもっと使えそうだってユーマ先生が判断してくれたら、生活魔法の数を増やす感じで」
「おっけー」
これでフリストも方向性が決定した。
後はアルメリアか。
「私も光属性が使えます。回復系に全振りします」
「ヒーラー志望だね」
パーティーを組むなら、ひとりは入れておきたい重要職。
俺はヒーラーが最強なら、そのパーティーは無敵になれるって思ってる派だ。
まさかレアな光属性魔力の使い手がクラスにふたりもいるとは思わなかった。編入生だから、特色のある生徒を優先して合格させたりしたのかな?
まぁ、今はそれを考えなくてもいいか。
俺はアルメリアの先生として、彼女の願いを叶えてあげよう。
「まずは今ある回復魔法より高効率で回復量も大きい魔法。それから発動者の周囲いる仲間に体力継続回復の効果を付与する魔法を覚えようか」
「できれば、手足の欠損などが治る再生魔法も……」
「えーっと。それには聖女クラスの魔力量がいるんだけど──って、だから君は魔力量の増強がしたいって言ってたの?」
「そうです」
聖女級の魔力まで強化してからの魔法修得か。
めっちゃ大変だぞ。
アルメリアが一番の問題になりそう。
でも、こんな可愛い子が夕飯作ってくれると約束したんだから、俺としては頑張るしかないよな。
「わかった。それじゃ、魔力増強訓練しながら進めていこうか」
「ありがとうございます。ユーマ先生、よろしくお願いしますね」
はーい。
その代わり、美味しいご飯お願いしますね!
10
お気に入りに追加
1,201
あなたにおすすめの小説
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる
シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。
そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。
なんでも見通せるという万物を見通す目だった。
目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。
これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!?
その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。
魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。
※他サイトでも連載しています。
大体21:30分ごろに更新してます。
死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜
猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。
ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。
そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。
それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。
ただし、スキルは選べず運のみが頼り。
しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。
それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・
そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える
ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─
これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる