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第2章 魔法学園

第22話 冥府之鎧は永続魔法でした

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 魔人の姿は無くなっていた。

「なんだったんだ?」

『ま、まさか、そんな……。魔王が…、いや、嘘でしょ』

 俺の脳内で呟くアイリスから、何やら不穏なワードが発せられた気がする。

「アイリス。魔王って、なに?」

 もしかして、魔人の王的な?

『魔人の王です』

 そ、そっか。
 あってたんだ。

「じゃあ俺って、見逃された感じかな」

 そもそもなんで狙われたんだ?

 あっ。もしかしたら俺じゃなく、女神様が用意してくれた古城を狙ってたとか。

 そっちの方がありそうだな。

『魔王はおそらく、祐真様を狙っていました。冥府之鎧を発動した際に疑似消費された膨大な魔力を検知し、この場に勇者がいると勘違いして攻めて来たのです』

「なにそれヤバい」

 初期スポーン地点に魔王が襲来するって、どんなクソ設定ですか!?

「まさかとは思うけど、あの魔王が使ったのって」

『祐真様が特許登録された天地晦冥かと思われます。魔王はこの世界のヒトと異なり、精霊掲示板を見ずとも新たな魔法の発現を知ることができます』

 てことは俺は、俺自身が創った魔法で攻撃されたのか。

 あれ?

 じゃあ、なんで俺はまだ生きてるの?

 天地晦冥はその攻撃範囲内にある全てを闇に飲み込む、謂わば小型ブラックホールのような魔法。その闇から逃れられるモノはない。そんなヤバい設定にしたんだ。

 敵に使用されたら絶対にヤバい魔法を使われたのに、何故か俺は無事だった。

「俺って、天地晦冥の攻撃範囲内にいたよね?」

『それは間違いないでしょう』

「じゃあ、なんで俺は無事なの?」

『それは魔王の魔法攻撃力に魔法の威力を掛け合わせた数値より、祐真様の魔法防御力の方が高かったことが要因かと思われます』

 ふーん、そうなんだ。

 俺の魔法防御が、魔王の魔法攻撃力より高かったんだ。



 ……ん?

 いま、なんて?


「俺の今の魔法防御力って、いくつ?」

『ステータスボードをご確認ください』

 なんで教えてくれないんだよ。

 脳内でボヤキながら、ステータスボードを開く。



[ステータス]
九条くじょう 祐真ゆうま
種族:人族
職業:魔法使い(レベル106)

物理攻撃:25
物理防御:10(+79,110)
魔法攻撃:158,280
魔法防御:30(+79,110)



「……は? な、なにこれ!?」

 魔法攻撃が15万を超えてるし、物理防御と魔法防御は補正値を入れると8万に近い数値だった。しかもこれ、時間経過で3つの数字が全て増加している。

『祐真様が発動させた冥府之鎧の効果です。魔法攻撃に統合されている魔力量が15万を超えましたので、その半分の数値が物理防御力と魔法防御力に加算されます。この値が魔王の攻撃力を上回っていたため、祐真様は無傷だったのです。ちなみに人体からごく近い部分にも防御力が適用されますので、衣服も無事でした』

 防御力が8万あれば、魔王の攻撃が防げるんだ。

 ただ、あの魔王が全力じゃなかった可能性もあるよな。変身とかしてくるタイプかもしれないし、魔王の攻撃を防げたと言っても慢心はできない。

「魔法攻撃が増加し続けているのは?」

 話しているうちに俺の魔法攻撃力は16万を超えていた。

『ステータスポイントを魔力に極振りしても良いと承認いただきましたので、世界中の人々から譲渡されたSPはその瞬間に魔力に割り振っています。SPのまま放置するなど、愚の骨頂ですので』

 なるほど。俺はその1回だけやってもらうつもりで指示したんだけど、アイリス的には永続しちゃうんだな。他人に指示を出すのって、難しい。

 まぁ、そのおかげで助かったみたいだから問題ないけど。

「スキル【特許権】のためのポイントはとっておいてね」

『100SP程度でしたら、数分待てば貯まりますよ』

 既にヤバい状況だった。

「そ、そう言えば冥府之鎧って、どれだけ維持できるのかな?」

 効果が絶大であれば、その代償も大きい。
 効果持続時間はそれほど長くないかも。

 俺はこの魔法詠唱を考える時、永続時間については特に考えていなかった。

『最大魔力量の半分を精霊に献上し続ければ、冥府之鎧の効果は永続します。現在はその効果を永続させている状況にあります』

「そうなんだ、凄いね。てことは俺って、半分魔力を減らして16万の魔力量があるってこと?」

『いえ。そちらは現在の祐真様の最大魔力量です』

 ん? 良く意味が分からないな。

「冥府之鎧が今も発動してるなら、魔力を半分減らされるのでは?」

『ですから、祐真様はこの魔法を特許権利化特典で発動されましたよね』

「そうだけど……。えっ、もしかして」

『特典の効果で、魔力を半分放出し続けている状態になっています。魔力は祐真様からではなく、に肩代わりしていただいている形で』

 おいおいおいおいおい!

 それってありか!? ありなのか!!?
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