19 / 50
第1章 異世界で始める特許登録
第19話 神にも匹敵する力
しおりを挟む俺はどのステータスを上げるべきか悩んでいた。
「物理防御のステータスツリーを解放してみたけど、こっちを上げるのはやっぱり違う気がするな」
やはりゲームで強いのは極振り、つまりどれかひとつのステータスにだけポイントを割り振るやり方だ。
俺の場合、スキル【特許権】に極振りした。100個も新たな魔法を創ったので、とりあえず現時点ではカンストしたものとみなしでも良いだろう。
だから次にあげるべきものを考えている。
まず大事なのはこの世界で死なないこと。俺的にはそれが一番重要。となると死なないように防御力を上げるか、スピードを上げて回避型にするか。
方法はいくつかあるけど、出来ればそのステータスも極振りにしておきたい。色々とバランスが良く上げておいた方が、しぶとく生き残る器用貧乏タイプになれる。でもその場合、攻撃力が弱くなってしまう。
可能なら死なないようなステータスをあげることで、それが攻撃力にもつながるようになっているのが最高だ。例えばスピードを極限まで上げることで、敵の攻撃は全て回避して、こちらは敵が1回攻撃してくるまでに100回攻撃して敵を倒す──など。
俺は戦闘職が魔法使いだから、上げるのであれば魔法系のステータスが良い。
魔法攻撃力にするか、発動速度か。魔力回復速度なんてのもありだな。どれだけ魔力を使っても一瞬で回復するとかになれば強いかもしれない。
「どうしよっかなー」
とても悩ましいが、こうしてステータスポイントの割り振りを考えているのも俺にとってはすごく楽しい時間。
当然俺は魔法攻撃力と魔法防御力のステータスツリーも解放している。
様々なステータスが表記された樹形図を眺めながら、あれやこれやと考えを巡らせていると、アイリスが話しかけてきた。
『とても楽しそうですね、祐真様。もしよろしければ、私に色々とアドバイスさせていただけませんか?』
特許化するための魔法詠唱を考える時も、俺が正しい質問をすれば彼女はヒントをくれた。答えそのものを教えてはくれないが、俺をサポートするための存在として役割を果たしたいんだろうな。
「是非お願いします! ステータスのどれかひとつだけを上げて、攻撃も防御もできるようにするには、どうすれば良いですか?」
『はい。では僭越ながら私、祐真様専用ガイドラインであるアイリスが、ステータスの極振りで強くなるためのヒントをお伝えします。ズバリ、“魔法発動に絶対必要なモノを上げるべき” です!!』
「魔法発動で絶対に必要なモノ……。それって、魔力かな?」
ステータスツリーには魔力量を増やす項目もある。
魔法攻撃力のベースに近いところにあるステータス項目だ。
「魔力回復速度じゃなくて、魔力量を増やすべきってことか」
『いくら回復速度が早くても、魔力量が足りなければ祐真様が権利化された各属性の最上級魔法を使うことができません』
「あっ! 確かにそうだね」
『またこの世界の魔力というのは、全て使い切ってから1日で全回復するというのがデフォルトなのです』
それは田中とダッサンが検証してたな。
魔力を使い切ったらどうなるのかって言うのは、魔法使いにとって絶対に把握すべき情報だ。とりあえずこの世界では魔力を使い切ると、マラソンを走った後のような倦怠感に襲われるということは把握していた。
『ここで重要となるのが、魔力は1日経過すれば絶対に全回復しているということ』
「つまり、魔力量が増えれば時間ごとの魔力回復量も増えるってことだね」
『その通りです。極論ですが、魔力量が膨大であれば、上位魔法を撃ち続けることだって可能になるでしょう』
「それは凄いけど……。防御力はどうしよう? 圧倒的攻撃力で敵に近づかれる前に倒す前提なら、もし接近されたらヤバくなるよね」
『魔力をあげることで防御力が向上する仕組みを創れば良いではありませんか』
アイリスは、さも当然のように言ってくる。
「仕組みを創るって、そんな神様みたいなことできないよ」
『いえ。祐真様ならそれが可能です。貴方には神にも匹敵する力が。この世界の常識やルールを改変してしまうことが可能な力が備わっています』
常識やルールを変える……。
なんだそれ?
そんな力、俺には。
俺にあるのはアイリスと、それから──
「もしかして、スキル【特許権】がそうなの?」
『祐真様は【特許権】を用いて、この世界に存在しなかった100の魔法を生み出しました。程度の大小はあるものの、世界のルールを書き換えているのです』
そうなんだ、意識してなかった。
「そんなことして女神様に怒られないかな?」
『スキル【特許権】も【ガイドライン】も。この世界にあるスキルは全て、女神様より上位の存在である大神様が創られたもの。大神様が創られたスキルを正規の方法で活用して得られた成果について、女神様が咎めることはないでしょう』
「てことはつまり……、創っちゃっても良いんだ。俺のステータスに最適化した、俺のためだけの魔法を」
『御明察です、祐真様』
俺は魔力量にステータスを極振りすればいい。そしてその魔力量に応じて防御力が上昇する魔法を創ってしまえば良いってこと。
そんなの最強すぎる!
最高じゃないか!!
よし! さっそくステータスポイントを魔力に割り振ろう!!
ステータスボードに表示されたNEXTの文字を押す。とりあえず2枚目に表示されるSPの現在の数値を確認しておこうと思ったんだ。
まだ1日しか経ってないから、そんなに貯まってないだろうけど……。
「ん?」
ちょっと数字がおかしくて、二度見する。
[ステータス2]
装備
・武器の装備なし
・高校の制服(効果なし)
ステータスポイント
残り:7,525.0
「な、ななせん、ごひゃくにじゅうご?」
何度見直しても、俺のステータスポイントは7千を超えていた。
10
お気に入りに追加
1,201
あなたにおすすめの小説
魔法王国軍の日常 〜上級冒険者に追放された少女は、レベル0から本気で生き抜いてやると決意したようです〜
たにどおり
ファンタジー
多くの人がギルドに入り、日々様々なクエストを受けて冒険に出かけている世界。平凡な冒険者ティナも、いつか一流になってそんな生活を送るのだと夢見ていた。
だが――――
「12歳で、しかもレベルの低いお前にダンジョンへ挑む資格などあるわけないだろ」
「囮役ご苦労様、ブランドに釣られたガキには良い勉強になったんじゃない?」
その夢は幼い年齢と低すぎるレベルを理由に裏切られ、目前で断たれてしまう。とうとう死すらも考えたティナは、たまたま通りかかった王国軍の女性騎士から入隊を勧められた。
そこから1年、訓練を乗り越え自分の古巣が闇ギルドであったことを知ったティナは、かつてのパーティーメンバーすら超える力をもって闇ギルドや魔王軍、異世界転移者相手に非日常な王国軍ライフを送っていく。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる
けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ
俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる
だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った
最強パーティーのリーダーは一般人の僕
薄明
ファンタジー
ダンジョン配信者。
それは、世界に突如現れたダンジョンの中にいる凶悪なモンスターと戦う様子や攻略する様子などを生配信する探索者達のことだ。
死と隣り合わせで、危険が危ないダンジョンだが、モンスターを倒すことで手に入る品々は、難しいダンジョンに潜れば潜るほど珍しいものが手に入る。
そんな配信者に憧れを持った、三神《みかみ》詩音《しおん》は、幼なじみと共に、世界に名を轟かせることが夢だった。
だが、自分だけは戦闘能力において足でまとい……いや、そもそも探索者に向いていなかった。
はっきりと自分と幼なじみ達との実力差が現れていた。
「僕は向いてないみたいだから、ダンジョン配信は辞めて、個人で好きに演奏配信とかするよ。僕の代わりに頑張って……」
そうみんなに告げるが、みんなは笑った。
「シオンが弱いからって、なんで仲間はずれにしないといけないんだ?」
「そうですよ!私たちがシオンさんの分まで頑張ればいいだけじゃないですか!」
「シオンがいないと僕達も寂しいよ」
「しっかりしなさいシオン。みんなの夢なんだから、諦めるなんて言わないで」
「みんな………ありがとう!!」
泣きながら何度も感謝の言葉を伝える。
「よしっ、じゃあお前リーダーな」
「はっ?」
感動からつかの間、パーティーのリーダーになった詩音。
あれよあれよという間に、強すぎる幼なじみ達の手により、高校生にして世界トップクラスの探索者パーティーと呼ばれるようになったのだった。
初めまして。薄明です。
読み専でしたが、書くことに挑戦してみようと思いました。
よろしくお願いします🙏
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
前世が官僚の俺は貴族の四男に転生する〜内政は飽きたので自由に生きたいと思います〜
ピョンきち
ファンタジー
★☆★ファンタジー小説大賞参加中!★☆★
投票よろしくお願いします!
主人公、一条輝政は国際犯罪テロ組織『ピョンピョンズ』により爆破されたホテルにいた。
一酸化炭素中毒により死亡してしまった輝政。まぶたを開けるとそこには神を名乗る者がいて、
「あなたはこの世界を発展するのに必要なの。だからわたしが生き返らせるわ。」
そうして神と色々話した後、気がつくと
ベビーベッドの上だった!?
官僚が異世界転生!?今開幕!
小説書き初心者なのでご容赦ください
読者の皆様のご指摘を受けながら日々勉強していっております。作者の成長を日々見て下さい。よろしくお願いいたします。
処女作なので最初の方は登場人物のセリフの最後に句点があります。ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる