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本編 19.04 - 20.03
相違点/432/ノンフィクション
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ㅤこれ、読んでみて。と、学友が僕に手渡したのは、二つ折りにした紙だった。描かれていたのは、〝死〟に関わる4ページの漫画だった。
「死が関わる話、好きなんだよね」
「僕も。でも、なんで漫画?」
「マンガ学部ってところに進もうと思っててさ。8ページのを提出するんだよ」
彼が絵が得意で、漫画も書いていることは、親しい人間は知っている。もちろん、私も。けれど、僕が小説を書いてることを知っているのは、中学時代の友人、ただ一人だけだ。
僕は小説書いてるよ、って。
この間も〝死〟が関わるやつを投稿したんだ、って。
言えなかった。
本心を隠しながら盤上に桂馬を置いた。
同じ場所に、竜王が置かれる。
彼は、本当に好きなことを隠していない。僕は違う。
彼は、それで生きていこうとしている。僕は違う。
彼は、胸を張って好きなことをしている。僕は違う。
彼は……。僕は……。
何が、『僕も』だよ。全く違うじゃないか。
「あ」
気がつけば玉将は、端に追い詰められていた。
ㅤ僕は彼に勝てない。きっと、一生をかけても。
「死が関わる話、好きなんだよね」
「僕も。でも、なんで漫画?」
「マンガ学部ってところに進もうと思っててさ。8ページのを提出するんだよ」
彼が絵が得意で、漫画も書いていることは、親しい人間は知っている。もちろん、私も。けれど、僕が小説を書いてることを知っているのは、中学時代の友人、ただ一人だけだ。
僕は小説書いてるよ、って。
この間も〝死〟が関わるやつを投稿したんだ、って。
言えなかった。
本心を隠しながら盤上に桂馬を置いた。
同じ場所に、竜王が置かれる。
彼は、本当に好きなことを隠していない。僕は違う。
彼は、それで生きていこうとしている。僕は違う。
彼は、胸を張って好きなことをしている。僕は違う。
彼は……。僕は……。
何が、『僕も』だよ。全く違うじゃないか。
「あ」
気がつけば玉将は、端に追い詰められていた。
ㅤ僕は彼に勝てない。きっと、一生をかけても。
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