怪異図鑑

星空の商人

何処の誰が死んだ、とか
あの人が事件の犯人らしい、とか

あなたも耳にした事がありませんか？
誰が流したかも分からない噂話を

その元を辿ろうとしても、不思議と煙に巻かれる
…そんな時は、とある存在が関係しているのです

人々の耳元で噂話を囁き、音も無く去って行く
誰も姿を知らない、認識出来ない…不思議な存在
動機、目的は全て不明
容姿も性別も年齢も、全て不明

いつしかその人物は、こう呼ばれるようになりました
…星空の商人、と

なんともロマンチックな響きですね
要するに『噂話は星の数程』という意味なのですが
…まあ無粋な話はやめておきましょう

何処へ行っても逃げられない
いつになっても逃げ切れない
そんな存在への対処法は、ただ一つ
…諦める事です

人間として当たり前に持つ好奇心を否定するなど、それこそ神でもない限り不可能なのですから

そして最後に

油断する事勿れ
その商人は何処にでも姿を現します
この物語だけは、世界線を越えあなたに及ぶ事が決まっているのです