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ヤナン村
恐怖との対峙-Ⅲ-
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灰色の魔法装束と、頭にはとんがり帽。
手にもった大きな杖でSAWの斧を受け止めている見慣れた顔の老婆。
「ばあさん!」
そこには、ヤントゥムのばあさんが立っていた。
ばあさんが斧を杖で押しのけ、何かを呟く。
すると杖の先端が眩く光り出し、次の瞬間、光の玉がSAWに向かって飛び出した。
虚を付かれたSAWは避ける暇もなくそれをまともに食らい、絶叫を上げながら消えてなくなった。
「・・・立てるかい?」
ばあさんがアランに手を差し伸べた。
苦悶の表情を浮かべるも、アランは婆さんの手を取り何とか片足で立ち上がってみせる。
ふらつくアランと周囲を警戒するばあさんの元に、ようやく自分が歩み寄ると、
ばあさんが肩を貸すよう指示を出し、アランの体をこちらに預けた。
「すまねぇな、カッシム」
自分のせいなのに、アランが申し訳なさそうに謝る。
首を振り「お前のせいじゃねぇよ」と応えると横からばあさんの声が飛んできた。
「友情ごっこに浸っている場合じゃないよ!
周囲を見てみな。
さっきのSAWの絶叫で、お仲間さん達が集まってきたようだ」
言われるまま周囲を見回すと、揺らめく炎の中から幾つものSAWが、ぬらりぬらりと現れた。
数にして八匹。
ぎらつく赤眼でこちらを見るや、威嚇するかのように咆える。
アランと自分はお互い腰に下げた直剣を片手で引き抜き、身構えた。
けれど、ばあさんはそんな自分達へ背中越しに冷たく言い放つ。
「あたしが道を作ってやる。その隙にお前達は逃げな、いいね?」
端っから自分達を戦力として考えていないのか。
ばあさんはそう言うと、また何かを呟いた。
今度は、ばあさんの全身が瞬く間に眩い光に包まれていく。
そしてその眩さが弾け、鈍い光膜オーラを纏ったばあさんを見て驚いた。
そこに立っていたのが"ばあさん"ではなく、紛れも無い"美少女"だったからだ。
その美少女から、聞きなれた声が零れる。
「あたしが合図するまで、此処を動くんじゃないよ」
間違いない、ばあさんだ!
聞き返そうとするも、次の瞬間。
美少女となったばあさんは 物凄い速度スピードで奴らの群れに突っ込んでいった。
そこからは、正に圧巻の乱舞だった。
一匹のSAWが突進してきたばあさんに片手斧ハンドアックスを振り下ろした。
しかしそれを半身で交わしたばあさんが、すかさずそいつの脇腹に杖を叩き込む。
衝撃で吹っ飛び、そいつは後方にいた四匹の仲間を巻き込みながらぶっ倒れた。
起き上がった四匹が、怒り狂ったように四方から同時にばあさんへ飛びかかる。
けれど、ばあさんは冷静だった。
杖の下先で地面を叩くとばあさんを中心に光の輪が広がっていき、
光に触れた四体のSAWは叫ぶ間もなく焼け焦げて地に落ちた。
残りは、三匹。
その三匹が焼け焦げた仲間を見て一瞬怯んだのを、ばあさんは見逃さなかった。
最初の一匹を頬、二匹目を杖で下顎を強打し仕留め、
完全に戦意喪失し敗走する最後の一匹には杖から光弾を放ち、爆死させた。
手にもった大きな杖でSAWの斧を受け止めている見慣れた顔の老婆。
「ばあさん!」
そこには、ヤントゥムのばあさんが立っていた。
ばあさんが斧を杖で押しのけ、何かを呟く。
すると杖の先端が眩く光り出し、次の瞬間、光の玉がSAWに向かって飛び出した。
虚を付かれたSAWは避ける暇もなくそれをまともに食らい、絶叫を上げながら消えてなくなった。
「・・・立てるかい?」
ばあさんがアランに手を差し伸べた。
苦悶の表情を浮かべるも、アランは婆さんの手を取り何とか片足で立ち上がってみせる。
ふらつくアランと周囲を警戒するばあさんの元に、ようやく自分が歩み寄ると、
ばあさんが肩を貸すよう指示を出し、アランの体をこちらに預けた。
「すまねぇな、カッシム」
自分のせいなのに、アランが申し訳なさそうに謝る。
首を振り「お前のせいじゃねぇよ」と応えると横からばあさんの声が飛んできた。
「友情ごっこに浸っている場合じゃないよ!
周囲を見てみな。
さっきのSAWの絶叫で、お仲間さん達が集まってきたようだ」
言われるまま周囲を見回すと、揺らめく炎の中から幾つものSAWが、ぬらりぬらりと現れた。
数にして八匹。
ぎらつく赤眼でこちらを見るや、威嚇するかのように咆える。
アランと自分はお互い腰に下げた直剣を片手で引き抜き、身構えた。
けれど、ばあさんはそんな自分達へ背中越しに冷たく言い放つ。
「あたしが道を作ってやる。その隙にお前達は逃げな、いいね?」
端っから自分達を戦力として考えていないのか。
ばあさんはそう言うと、また何かを呟いた。
今度は、ばあさんの全身が瞬く間に眩い光に包まれていく。
そしてその眩さが弾け、鈍い光膜オーラを纏ったばあさんを見て驚いた。
そこに立っていたのが"ばあさん"ではなく、紛れも無い"美少女"だったからだ。
その美少女から、聞きなれた声が零れる。
「あたしが合図するまで、此処を動くんじゃないよ」
間違いない、ばあさんだ!
聞き返そうとするも、次の瞬間。
美少女となったばあさんは 物凄い速度スピードで奴らの群れに突っ込んでいった。
そこからは、正に圧巻の乱舞だった。
一匹のSAWが突進してきたばあさんに片手斧ハンドアックスを振り下ろした。
しかしそれを半身で交わしたばあさんが、すかさずそいつの脇腹に杖を叩き込む。
衝撃で吹っ飛び、そいつは後方にいた四匹の仲間を巻き込みながらぶっ倒れた。
起き上がった四匹が、怒り狂ったように四方から同時にばあさんへ飛びかかる。
けれど、ばあさんは冷静だった。
杖の下先で地面を叩くとばあさんを中心に光の輪が広がっていき、
光に触れた四体のSAWは叫ぶ間もなく焼け焦げて地に落ちた。
残りは、三匹。
その三匹が焼け焦げた仲間を見て一瞬怯んだのを、ばあさんは見逃さなかった。
最初の一匹を頬、二匹目を杖で下顎を強打し仕留め、
完全に戦意喪失し敗走する最後の一匹には杖から光弾を放ち、爆死させた。
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