天空の蒼鷲 ーされど地に伏す竜 ー

すだちかをる

文字の大きさ
上 下
3 / 25
異界の森

二人の美少女-Ⅲ-

しおりを挟む
 
 恐る恐る目を開けると、少女と俺の間に一振りの黒槍が突き刺さっていた。
 よく見ると少女の大剣がその槍に阻まれ、俺の喉元から紙一重で止まっている。
 俺は悲鳴を上げた。
 腰を抜かし、そのままに踵を返すと、地を這いながらその場から逃げ出す。
 頭上から再度声が聞こえた。

「そこの者、お待ちなさい!」

 直後。
 真横に一閃が走ると、目前に今度は朱槍が逃道を塞ぐように突き刺さっていた。

「お待ちなさい、と言っているが分からないのですか?」

 声の主へと振り返る。
 見上げると天空に別の少女が立っていた。
 ・・・いや、正確には浮いていると言った方が正しい。
 大剣の少女と似たような格好だが、逆光で顔はよく見えない。
 けれど戦士というより、騎士のような雰囲気だ。
 大剣の少女の重装それではなく、軽装鎧ライトアーマーからそう伺える。
 天空の少女が指を鳴らした。
 すると二本の槍が意思をもつかの如く突き刺さった地面から音を立てて離れ、
 少女の両腕にそれぞれ収まった。
 それからゆっくりと俺の目前まで降りてくると、軽やかに地に足を着ける。
 ようやく顔が見えた。

「あなた、何処の国の者ですか? 所属は? 何故、異界の森にいるのですか?」

 髪は蒼く胸ほどまであり、左右でそれぞれ一つに括っている。
 大きな髪飾カチューシャを付けていて、鼻はやや高い。
 目は大剣の少女に比べてやや小さく、灰色の瞳が冷たい印象を与えるが、
 総じて美少女と言っても間違いない。
 二槍にそうの少女が猶も問う。「私の言っている事が聞こえ―――」

「ナルシャ姉、めんどうだ。もう斬り捨てちまおうぜ」

 そこへ煩わし気な声が被さった。
 大剣の少女が背中に得物を下げ、こちらに歩み寄って来る。
 そして二槍の少女の横に立ち、値踏みするように俺をじろじろ見ると、
 ある一点で視線が止まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

処理中です...