51 / 101
ファウルダース侯爵家結婚編
婚約者への不安
しおりを挟む
なんとか天降り人を取り巻く事件の収拾がついた。
最初はただの野党の強盗。最近目新しく事業拡大をしていたオージェ伯爵家の秘密を探るための屋敷襲撃だったらしい。その中に隣国オルレットで有名な香の大家から勘当された人間がいた。
何か横の繋がりがあるのではと詳細に取り調べがされたが、結局は天降りに繋がる情報を手に入れたジャックとかいう男の自尊心のためにユカにちょっかいをかけていたことが分かった。ジャックはユカが天降り人だと確信したら、その知識を使って香の大家を見返してやろうと言う計画を練ったらしい。
野党はもちろん、仲間となったジャックの案に乗った。元々金目のものを狙って襲撃したオージェ伯爵邸だ。散々虐殺までして足のつきにくい宝飾品の類いを奪取したが、それ以上の金の話が出るのなら一か八かでやってみる価値はある。
静かに怒りを募らせたアンリの手によって、ジャックから芋づる式に野党の根城を見つけ、捕縛。あわや全員死刑になるところを、怒りながらも冷静なアンリの進言で、無期懲役を言い渡された。
アンリも不安だった。
ジャックの言葉が。
『俺ならあのメイドさんを元の世界に返してやれる』
そんなもの、世迷い言だと思いたい。
でもユカが本当にそれを望んだとき、彼女のためにも可能性を残しておきたかった。
天降り人のことなら香の大家に直接聞くべきではあるが、彼らはルドランスと均衡状態にあるオルレットの名家であり、一大勢力だ。下手を打つことはできないため、ジャックから聞き出せるだけの知識を聞き出さなくてはならない。
リオネルも、伯爵も、その事を理解してくれているのでアンリの進言は聞き入れられた。どうせなら逃げ出せないように閉じ込め、最近人手の足りないユカの工房の人員として、ユカに直接会うことのないところで馬車馬のように働いてもらえというのは、オージェ伯爵夫人のお言葉だ。
さっそくその手配が整えられ、隔離工房がユカの目には決して入らないような場所に建てられた。ユカにはそれとなく工房増設の話は告げられたが、詳細は徹底的に伏せることになった。
ジャック達は収容され次第、ユカとオージェ伯爵の利益のために搾取される。
ようやく肩の凝る大捕物から解放されて、久々の非番を得たアンリは、朝も早くからマルスラン先生の診療所に顔を出した。
「こんにちわ」
「あれ、アンリ。どうした?」
茶色の頭がこちらを向く。
診療所の待合室の掃除をしていたらしいイアンが、不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。
「またユカさんのお見舞い? でも残念、今ユカさんは……」
「伯爵のところだろ。知ってるよ」
「だよね」
アンリが肩をすくめてイアンの言葉に被せれば、イアンは首を傾げる。
イアンとは以前、シュロルムの大豪雨災害でマルスラン診療所が騎士団のサポートをした際に知り合い、年が近いこともあって交友を深めた。気のおけない間柄になって暫く経つので、互いに考えていることもある程度分かるようにはなってきたけれど、イアンは心底、アンリが今ここにいる理由が分からないらしい。
「あのさ、イアン。ちょっと相談があるんだけど、今いいかい?」
「珍しいなぁ、アンリが俺に?」
イアンはアンリの相談に耳を貸してくれるのか、待合室の椅子の一つに座る。アンリもその隣に座った。
暫く落ち着かなさげにアンリは視線をあちこちにやっていたけれど、いい加減話せと言わんばかりにイアンに小突かれたのでおもむろに口を開いた。
「あのさ、僕、ユカと結婚する」
「はぁ?」
イアンから胡乱な声が上がる。
「へ、え、いつの間に?」
「この間の、大捕物の直後に決まった」
「俺らにそんな事言ってなかったよね?」
「うん、まぁ、そうだね」
神妙な顔で頷くアンリに、イアンは何と言っていいものか困りあぐねた顔をする。
「とりあえず、おめでとう?」
「ありがとう」
男二人、顔を見合わせて頷きあう。
それからイアンは呆れたように自分の膝に頬杖をついた。
「というか、大捕物の直後にプロポーズとか、アンリ結構策士? 吊り橋効果でも狙った?」
「それがさ、僕からのプロポーズとは言い切れないというか……」
お茶を濁すような言い方にイアンは眉を潜める。
「プロポーズはユカさんからってこと?」
「いや、きっかけは僕の言葉だし、そう言うことは今まで伝えてきたし。それにユカが返してくれたんだけど……ちょっと不安になってさ。返事をしてくれたのはいいけど、あの捕物の直後だったから……」
イアンは何となくアンリの言いたいことが分かった。
うんうん、と頷いて、ズバッとアンリの不安をたたっ切る。
「要するにのろけですね。ご馳走さまです」
「いや、のろけじゃないんだけど?」
「のろけ以外の何物でもないだろそれ。いくらユカさんが精神的に不安定だからって、結婚なんて人生の一大事、嫌だったら断るでしょ。俺たちより年上なんだから」
アンリはイアンに正論を説かれてぐっと詰まる。まぁ、確かにイアンからしてみればのろけに違いない。
だけど、話はここからが本題だ。
「まぁ、そうなんだけどさ……今の段階でユカは僕を受け入れてくれているのは嬉しい。素直に、嬉しい」
「開き直りやがって」
イアンがやさぐれた表情をするが、アンリは無視して話を進める。
「今の段階ではユカは僕を受け入れてくれてるわけだけど、今後は分からないわけで……」
「今後ってさぁ……アンリ、顔いいし、収入あるし、貴族じゃんか。今までそういう女の子達に狙われてきたのに自信がないの?」
「だからだよ。付き合っても長く続いた試しがない」
アンリは騎士になってから何回か女の子と付き合ったことがある。だけれど、ことごとく皆が皆「思っていたのと違う」と言って別れていくのだ。
大体の理由は、女心を分かっていないだとか、貴族の癖に庶民じみているとか。
アンリは毎度毎度苦い思いをしながら別れているわけで、ユカももしかしたらそうなる可能性があるのではと怖じ気づいているのだ。
イアンからしてみれば杞憂にも程があると言いたいが、珍しくアンリが慎重になっているのでたまには優しく声をかけてやる気にもなる。
「そういうのは気にしなくていいんじゃない? そういう打算でユカさんがアンリを選ぶことは無いと思うけど」
「ほんとかい?」
「そもそも、シュロルムの女の子とユカさんを同列に扱っちゃ駄目でしょ。シュロルムの女の子って貴族騎士との玉の輿狙ってる肉食獣なんだから」
まさしくイアンの言葉が真理を得ているのだが、アンリはそこでふと違和感を持った。
何か、ユカに言い忘れているような……。
ふと黙ったしまったアンリに、イアンが怪訝そうに呼び掛ける。
「どうかした?」
「いや……何かユカに言い忘れているような気がして」
「アンリって見た目に反して雑だからね。肝心なこと忘れてそうではある」
うんうん、と頷きながら同意してくるイアンに、アンリはムッとしても言い返せない。正しくその通りだからだ。
それにたいてい何かやらかしても自分が泡を食う羽目になるだけなので、第三者が被害を受けることはない……おそらく。
「案外、今年の帰省の時に家族にユカさんのこと紹介してなかったりとかしてそう」
「いや、大丈夫。それはちゃんと伝えたし」
「なら大丈夫じゃない? 婚約の書類作るのはこれからになるんだよね。そのために渋々オージェ伯爵家に養子に入るのを許したんだし。オージェ伯爵なら戸籍なんて作ってくれてるだろうし」
イアンの言うとおりだ。ユカが平民、天降り人故に戸籍もない状態では貴族であるアンリとの結婚はできない。
ここでまた何か一つ引っ掛かったけれど、やっぱりその違和感が何かが分からなくて首を捻る。なんだろうか、この違和感。
眉間にシワを寄せて考えていると、イアンが呆れたように溜め息をついて立ち上がった。
「話はそれだけ? それならそろそろユカさんのところに行ってあげたら? 最近は忙しくてお見舞い行けてなかったんじゃない?」
「まぁ、そうなんだけどさ。ユカのところには午後から行く予定。さすがにオージェ伯爵邸にお伺いなしで訪ねられなかったからね」
「雑なくせしてそういうところしっかりしてるのを見ると、アンリって貴族のお坊っちゃんなんだよなぁ」
「なんだい、僻み?」
「んなわけあるか。俺は平民で良かったよ。恋愛結婚するにしても貴族みたいにしがらみないからね」
イアンの茶化すような言葉に、アンリは渋面になる。めんどくさいが、ファウルダース家は恋愛結婚に寛容なのでちゃんと手続きさえ踏めば問題はない。
そういえば、結婚した後の事もユカと相談しなければならない。住む場所はもちろん、両親への紹介や、社交界をどうするかも話し合わなければ。
好きな女の子と結婚できることに少なからず浮き足たっていたアンリだが、この直後、オージェ伯爵邸で待ち構えていたユカによって、ほんっとうに大事なことを伝え忘れていたことが発覚するわけで。
イアンから「そういうところが雑なんだよ」と指差して笑われるようになるまで時間はかからない。
最初はただの野党の強盗。最近目新しく事業拡大をしていたオージェ伯爵家の秘密を探るための屋敷襲撃だったらしい。その中に隣国オルレットで有名な香の大家から勘当された人間がいた。
何か横の繋がりがあるのではと詳細に取り調べがされたが、結局は天降りに繋がる情報を手に入れたジャックとかいう男の自尊心のためにユカにちょっかいをかけていたことが分かった。ジャックはユカが天降り人だと確信したら、その知識を使って香の大家を見返してやろうと言う計画を練ったらしい。
野党はもちろん、仲間となったジャックの案に乗った。元々金目のものを狙って襲撃したオージェ伯爵邸だ。散々虐殺までして足のつきにくい宝飾品の類いを奪取したが、それ以上の金の話が出るのなら一か八かでやってみる価値はある。
静かに怒りを募らせたアンリの手によって、ジャックから芋づる式に野党の根城を見つけ、捕縛。あわや全員死刑になるところを、怒りながらも冷静なアンリの進言で、無期懲役を言い渡された。
アンリも不安だった。
ジャックの言葉が。
『俺ならあのメイドさんを元の世界に返してやれる』
そんなもの、世迷い言だと思いたい。
でもユカが本当にそれを望んだとき、彼女のためにも可能性を残しておきたかった。
天降り人のことなら香の大家に直接聞くべきではあるが、彼らはルドランスと均衡状態にあるオルレットの名家であり、一大勢力だ。下手を打つことはできないため、ジャックから聞き出せるだけの知識を聞き出さなくてはならない。
リオネルも、伯爵も、その事を理解してくれているのでアンリの進言は聞き入れられた。どうせなら逃げ出せないように閉じ込め、最近人手の足りないユカの工房の人員として、ユカに直接会うことのないところで馬車馬のように働いてもらえというのは、オージェ伯爵夫人のお言葉だ。
さっそくその手配が整えられ、隔離工房がユカの目には決して入らないような場所に建てられた。ユカにはそれとなく工房増設の話は告げられたが、詳細は徹底的に伏せることになった。
ジャック達は収容され次第、ユカとオージェ伯爵の利益のために搾取される。
ようやく肩の凝る大捕物から解放されて、久々の非番を得たアンリは、朝も早くからマルスラン先生の診療所に顔を出した。
「こんにちわ」
「あれ、アンリ。どうした?」
茶色の頭がこちらを向く。
診療所の待合室の掃除をしていたらしいイアンが、不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。
「またユカさんのお見舞い? でも残念、今ユカさんは……」
「伯爵のところだろ。知ってるよ」
「だよね」
アンリが肩をすくめてイアンの言葉に被せれば、イアンは首を傾げる。
イアンとは以前、シュロルムの大豪雨災害でマルスラン診療所が騎士団のサポートをした際に知り合い、年が近いこともあって交友を深めた。気のおけない間柄になって暫く経つので、互いに考えていることもある程度分かるようにはなってきたけれど、イアンは心底、アンリが今ここにいる理由が分からないらしい。
「あのさ、イアン。ちょっと相談があるんだけど、今いいかい?」
「珍しいなぁ、アンリが俺に?」
イアンはアンリの相談に耳を貸してくれるのか、待合室の椅子の一つに座る。アンリもその隣に座った。
暫く落ち着かなさげにアンリは視線をあちこちにやっていたけれど、いい加減話せと言わんばかりにイアンに小突かれたのでおもむろに口を開いた。
「あのさ、僕、ユカと結婚する」
「はぁ?」
イアンから胡乱な声が上がる。
「へ、え、いつの間に?」
「この間の、大捕物の直後に決まった」
「俺らにそんな事言ってなかったよね?」
「うん、まぁ、そうだね」
神妙な顔で頷くアンリに、イアンは何と言っていいものか困りあぐねた顔をする。
「とりあえず、おめでとう?」
「ありがとう」
男二人、顔を見合わせて頷きあう。
それからイアンは呆れたように自分の膝に頬杖をついた。
「というか、大捕物の直後にプロポーズとか、アンリ結構策士? 吊り橋効果でも狙った?」
「それがさ、僕からのプロポーズとは言い切れないというか……」
お茶を濁すような言い方にイアンは眉を潜める。
「プロポーズはユカさんからってこと?」
「いや、きっかけは僕の言葉だし、そう言うことは今まで伝えてきたし。それにユカが返してくれたんだけど……ちょっと不安になってさ。返事をしてくれたのはいいけど、あの捕物の直後だったから……」
イアンは何となくアンリの言いたいことが分かった。
うんうん、と頷いて、ズバッとアンリの不安をたたっ切る。
「要するにのろけですね。ご馳走さまです」
「いや、のろけじゃないんだけど?」
「のろけ以外の何物でもないだろそれ。いくらユカさんが精神的に不安定だからって、結婚なんて人生の一大事、嫌だったら断るでしょ。俺たちより年上なんだから」
アンリはイアンに正論を説かれてぐっと詰まる。まぁ、確かにイアンからしてみればのろけに違いない。
だけど、話はここからが本題だ。
「まぁ、そうなんだけどさ……今の段階でユカは僕を受け入れてくれているのは嬉しい。素直に、嬉しい」
「開き直りやがって」
イアンがやさぐれた表情をするが、アンリは無視して話を進める。
「今の段階ではユカは僕を受け入れてくれてるわけだけど、今後は分からないわけで……」
「今後ってさぁ……アンリ、顔いいし、収入あるし、貴族じゃんか。今までそういう女の子達に狙われてきたのに自信がないの?」
「だからだよ。付き合っても長く続いた試しがない」
アンリは騎士になってから何回か女の子と付き合ったことがある。だけれど、ことごとく皆が皆「思っていたのと違う」と言って別れていくのだ。
大体の理由は、女心を分かっていないだとか、貴族の癖に庶民じみているとか。
アンリは毎度毎度苦い思いをしながら別れているわけで、ユカももしかしたらそうなる可能性があるのではと怖じ気づいているのだ。
イアンからしてみれば杞憂にも程があると言いたいが、珍しくアンリが慎重になっているのでたまには優しく声をかけてやる気にもなる。
「そういうのは気にしなくていいんじゃない? そういう打算でユカさんがアンリを選ぶことは無いと思うけど」
「ほんとかい?」
「そもそも、シュロルムの女の子とユカさんを同列に扱っちゃ駄目でしょ。シュロルムの女の子って貴族騎士との玉の輿狙ってる肉食獣なんだから」
まさしくイアンの言葉が真理を得ているのだが、アンリはそこでふと違和感を持った。
何か、ユカに言い忘れているような……。
ふと黙ったしまったアンリに、イアンが怪訝そうに呼び掛ける。
「どうかした?」
「いや……何かユカに言い忘れているような気がして」
「アンリって見た目に反して雑だからね。肝心なこと忘れてそうではある」
うんうん、と頷きながら同意してくるイアンに、アンリはムッとしても言い返せない。正しくその通りだからだ。
それにたいてい何かやらかしても自分が泡を食う羽目になるだけなので、第三者が被害を受けることはない……おそらく。
「案外、今年の帰省の時に家族にユカさんのこと紹介してなかったりとかしてそう」
「いや、大丈夫。それはちゃんと伝えたし」
「なら大丈夫じゃない? 婚約の書類作るのはこれからになるんだよね。そのために渋々オージェ伯爵家に養子に入るのを許したんだし。オージェ伯爵なら戸籍なんて作ってくれてるだろうし」
イアンの言うとおりだ。ユカが平民、天降り人故に戸籍もない状態では貴族であるアンリとの結婚はできない。
ここでまた何か一つ引っ掛かったけれど、やっぱりその違和感が何かが分からなくて首を捻る。なんだろうか、この違和感。
眉間にシワを寄せて考えていると、イアンが呆れたように溜め息をついて立ち上がった。
「話はそれだけ? それならそろそろユカさんのところに行ってあげたら? 最近は忙しくてお見舞い行けてなかったんじゃない?」
「まぁ、そうなんだけどさ。ユカのところには午後から行く予定。さすがにオージェ伯爵邸にお伺いなしで訪ねられなかったからね」
「雑なくせしてそういうところしっかりしてるのを見ると、アンリって貴族のお坊っちゃんなんだよなぁ」
「なんだい、僻み?」
「んなわけあるか。俺は平民で良かったよ。恋愛結婚するにしても貴族みたいにしがらみないからね」
イアンの茶化すような言葉に、アンリは渋面になる。めんどくさいが、ファウルダース家は恋愛結婚に寛容なのでちゃんと手続きさえ踏めば問題はない。
そういえば、結婚した後の事もユカと相談しなければならない。住む場所はもちろん、両親への紹介や、社交界をどうするかも話し合わなければ。
好きな女の子と結婚できることに少なからず浮き足たっていたアンリだが、この直後、オージェ伯爵邸で待ち構えていたユカによって、ほんっとうに大事なことを伝え忘れていたことが発覚するわけで。
イアンから「そういうところが雑なんだよ」と指差して笑われるようになるまで時間はかからない。
0
お気に入りに追加
426
あなたにおすすめの小説
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
【完結】【R18】男色疑惑のある公爵様の契約妻となりましたが、気がついたら愛されているんですけれど!?
夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
「俺と結婚してくれたら、衣食住完全補償。なんだったら、キミの実家に支援させてもらうよ」
「え、じゃあ結婚します!」
メラーズ王国に住まう子爵令嬢マーガレットは悩んでいた。
というのも、元々借金まみれだった家の財政状況がさらに悪化し、ついには没落か夜逃げかという二択を迫られていたのだ。
そんな中、父に「頼むからいい男を捕まえてこい!」と送り出された舞踏会にて、マーガレットは王国の二大公爵家の一つオルブルヒ家の当主クローヴィスと出逢う。
彼はマーガレットの話を聞くと、何を思ったのか「俺と契約結婚しない?」と言ってくる。
しかし、マーガレットはためらう。何故ならば……彼には男色家だといううわさがあったのだ。つまり、形だけの結婚になるのは目に見えている。
そう思ったものの、彼が提示してきた条件にマーガレットは飛びついた。
そして、マーガレットはクローヴィスの(契約)妻となった。
男色家疑惑のある自由気ままな公爵様×貧乏性で現金な子爵令嬢。
二人がなんやかんやありながらも両想いになる勘違い話。
◆hotランキング 10位ありがとうございます……!
――
◆掲載先→アルファポリス、ムーンライトノベルズ、エブリスタ
【完結】【R18】この国で一番美しい母が、地味で平凡な私の処女をこの国で最も美しい男に奪わせようとしているらしい
魯恒凛
恋愛
富と権力を併せ持つ、国一番の美人であるマダムジョスティーヌからサロンへの招待状を受け取ったテオン。過ぎたる美貌のせいで出世を阻まれてきた彼の後ろ盾を申し出たマダムの条件は『九十九日以内に娘の処女を奪うこと』という不可解なもの。
純潔が重要視されないこの国では珍しい処女のクロエ。策略を巡らせ心と体を絆そうとするテオンだったが、純朴な彼女に徐々に惹かれてしまい……
自分に自信がない自称不細工な女の子が稀代のモテ男に溺愛されるお話です。
※R18は予告なしに入ります。
※ムーライトノベルズですでに完結済みです。
俺の妖精すぎるおっとり妻から離縁を求められ、戦場でも止まらなかった心臓が止まるかと思った。何を言われても別れたくはないんだが?
イセヤ レキ
恋愛
「離縁致しましょう」
私の幸せな世界は、妻の言い放ったたった一言で、凍りついたのを感じた──。
最愛の妻から離縁を突きつけられ、最終的に無事に回避することが出来た、英雄の独白。
全6話、完結済。
リクエストにお応えした作品です。
単体でも読めると思いますが、
①【私の愛しい娘が、自分は悪役令嬢だと言っております。私の呪詛を恋敵に使って断罪されるらしいのですが、同じ失敗を犯すつもりはございませんよ?】
母主人公
※ノベルアンソロジー掲載の為、アルファポリス様からは引き下げております。
②【私は、お母様の能力を使って人の恋路を邪魔する悪役令嬢のようです。けれども断罪回避を目指すので、ヒーローに近付くつもりは微塵もございませんよ?】
娘主人公
を先にお読み頂くと世界観に理解が深まるかと思います。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜
まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください!
題名の☆マークがえっちシーンありです。
王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。
しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。
肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。
彼はやっと理解した。
我慢した先に何もないことを。
ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。
小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる