25 / 101
オージェ伯爵邸襲撃事件編
ご主人様と天落香5
しおりを挟む
「ユカ、少し部屋に来てくれませんか?」
「嫌です」
にっこりと微笑みながらリネン室の入り口から声をかけてきたロワイエ様に、私は顔をひきつらせて距離を取って拒否した。
数日前、私が媚薬を盛られたということは、媚薬が抜けてはっきりとした頭できちんと説明を受けた。その上で、ロワイエ様が私のために対処をしてくれたのだと言うことも。
それは間違いないんだろうとは思う。あのときの私の体は絶対におかしかった。
だからといって、拒絶したのに私を組伏せて、恍惚として私をなぶったのはロワイエ様に代わりない。それがどれだけ私の恐怖を煽ったか、この人は分かってない。
翌日、私は熱を出して一日寝込んだ。サリムさんいわく、極度の緊張と疲労らしい。
どうしてマルスラン先生を呼ばず、サリムさんが診たのか。理由を聞いたら「誰に薬を盛られたのか分からないので、しばらくは極力外部との接触を絶って欲しい」ということらしい。そのせいでこの一週間、軟禁状態だ。
今回の媚薬事件は、ロワイエ様を狙ったものか、私を狙ったものか、それとも無差別か。この三つの可能性があるらしい。私がロワイエ様に強制にゃんにゃんされてる間にサリムさんが手を回したらしいんだけど、犯人も混入したものの特定も何も出来なかったらしい。
そうやってサリムさんが東奔西走している間、私は何をしているのかというと、ロワイエ様からなるべく距離を取ってお屋敷の仕事をこなしていた。
だって嫌じゃん、私を喜んで「据え膳です」とか言って、犯そうとしてきた人と顔を合わせるの。
挿入こそしてないから、私は一応まだ処女なんだけど……あの日のロワイエ様の想像以上の変態っぷりには、今思い出しても苦いものしか込み上げない。
ロワイエ様は宣言通り、私の花芽を弄るだけで私を何度も頂へと追い上げた。それはもう、私の秘部のそれがじんじんとして感覚がなくなるほどに。
それだけでも変態と罵るのに十分だけど、その長時間に渡る奉仕の合間に、嬉々として私に自慰を見せつけてきた。
これを変態と言わず何と言う。
女好き? 遊び人?
いやいや、変態の間違いでしょ。
ともかく、私はロワイエ様のそれを見て以来、まともに顔を合わせるのが嫌すぎた。それなのに外に出させてもらえないから、渋々とお屋敷に留まり、ビジネスライクで仕事をこなしている。
「ユカ、そろそろ機嫌を直してはくれませんか?」
「直すも何も、仕事中ですので失礼します」
「そんな、つれないことを言わず」
リネン室から出たいけど、ロワイエ様が通せんぼをするから出られない。私は無表情で視線を下に落とし主人に対する礼をとった。
「……私を雇ってくださっている恩を忘れたことはございません。そのお心に報いるためにも仕事をしておりますので、どうかこのような場所にはおいでにならないでください」
さっさと自分の執務室に帰れと、遠回しに言ってみる。
すると、ロワイエ様は少し考えたように視線を漂わせた。
「それならこうしましょうか。ユカ、主人の命令です。私の部屋に来なさい」
「それ、は」
「使用人として、どうすべきかは分かりますね?」
両肩に、ロワイエ様の圧がのし掛かる。
こうやって人に命令することになれている姿は、やっぱり貴族なんだよね。
「サリムがいないので、私の携わる仕事の書類の整理を頼みたいのです」
「……分かりました」
部屋に呼ばれた理由が仕事のためと聞き、渋々承諾した。
「ふふ、お礼に天落香を焚きましょう。居眠りにだけは注意してくださいね。素晴らしい夢から覚めたくなくなってしまうかもしれませんから」
茶目っ気たっぷりに私を誘うロワイエ様にげんなりしつつ、私はリネン室を出た。その足が向かうのはロワイエ様の執務室。ああもう、今から嫌悪で鳥肌がやまないよ。
そしていざ、ロワイエ様の執務室に足を踏み込むと、甘い香りが漂ってきた。少しだけ窓を開けて換気をしているらしく、むせかえる程ではないのがありがたい。
それは一度嗅いだら忘れられない天落香の香りで間違いない。本当に良い香りなのには間違いないから。
私は執務室に入ると、まずお茶の用意をした。こぼさないように、散乱した執務机の書類を避けて茶器を置く。よく見れば床にも紙が散らばっている。
「さっきうっかり積んであった書類を崩してしまいまして。ユカにはこれを直して欲しいのです。決済済みのものばかりのはずなので、それを日付と部門毎に」
「かしこまりました」
私は机の書類と床に散った書類を抱えて、応接用のローテーブルに置いて、仕事を始める。
書類の種類はいくつかある。領民の嘆願書、オージェ領の支出報告書、税の徴収報告書、その他諸々。
ここにあるのは何年分なのだろうかというくらい古いのもある。しまわないのかな? それともしまう場所がなくてしまえないとか? だから机の上に積みっぱなしだったとか?
そこでちょっと違和感が。
そういえばここまで書類が積まれてる執務室とか見たこと無いよ? だって盗難品探しのために来たときだって、何枚かの書類は積まれてたけど、こんな量じゃなかったはず。それにいくつかの重要書類は引き出しにしまってなかった?
「……なんでこんなにも古い日付の書類が外に出ているんですか?」
「ふふ、ちょっと必要だったのです」
「使ったら片付けてください」
「ええ。使ったら片付けますよ」
ロワイエ様が不敵に笑うけど、私は書類整理に集中していたのでその顔には終始気づかなかった。
まぁ、気づいたとして、どうにかなるのかって言われたら微妙だけど。
この部屋に足を踏み入れた時点で、私に逃げ場など用意されていなかったんだから。
◇◇◇
体がおかしい。
呼吸が乱れて、体の奥がむずむずする。
しばらく書類整理を続けていて一時間ほど。
目の前が霞んで体の均衡を崩しかけて、その事に気がついた。
私、この状態を知っている。
つい最近、経験したばかりだ。
これはまずい。
何がまずいって、ロワイエ様にバレたら───
「ユカ、息が切れてますね」
「ひぅん」
いつの間に近づいてきたのか、ロワイエ様が私の耳元に息を吹き掛けるように囁いた。ぞわぞわと何かが背筋を通り抜けて足から力が抜けた。
「ろ、ロワイエ様、気のせいですよ?」
「そうでしょうか?」
「はい」
「それなら引き続き書類整理をお願いします。急ぎのものが混じってそうなので、できるだけ早く整理を終わらせたいのですよ」
ロワイエ様のお仕事を遅らせるわけにはいかないから、私は唇を噛んで自分の体から意識をそらす。できるだけ早く終わらせて退出すれば良い。それで自室でゆっくり体を休めよう、そうしよう。
そう、思っていたのに。
「あぁ、すみません」
「……」
えええええ、ロワイエ様嘘でしょう!?
せっかく私が頑張って揃えた書類を手渡ししようとしたら、手を滑らせた。つまりはまた整理のやり直し。
「……わざとですか?」
「そんなまさか。申し訳ありませんが、もう一度、お願いしますね?」
ロワイエ様がたいして申し訳なく思っていなさそうな顔で言ってくる。
何、何なの。ロワイエ様、何がしたいの。
私はおかしくなっていく体にイライラしながら、書類の整理を続ける。よくよく考えれば、この時すでに私の頭がおかしかったんだって後から気づいた。思考が鈍っていて、原因だと思われるものに気がつかなかったんだから。
「はぁ、はぁ」
「そろそろでしょうか」
ふるふると体が震える。熱で火照る体は、起こしているのもつらい。
ローテーブルの書類を崩さないように、テーブルに手をついた。足腰が生まれた小鹿のようにぷるぷるして、立つのもやったとだ。
「ロワイエ様……?」
「申し訳ありませんね。このような騙し討ちのような方法をとって。確認したいことがあったのですが、普通に考えても貴女は協力してくれませんから」
ロワイエ様が執務机から離れ、私の方に近づいてきた。そして軽く私の体を押して、ソファに座らせた。
「媚薬の出所が見つからないと言ったでしょう? それでふと思い出したことがあるのです。先日、天落香の由来をお教えしましたよね?」
なんだっけ……ええと、天降り人を地上へと落とす香、だったっけ。
「あれは子供向けのお伽噺としてかなり拡大解釈をしたお話なのですよ。天降り人を落とすという本当の意味、知っていますか?」
ロワイエ様の言葉をぼんやりする頭で聞く。何だろう、何が言いたいんだろう。
「天降り人を堕とすのです。快楽を与え、この世を楽園と勘違いさせる。天落香は閨への誘い文句にも使われるのですよ。『今夜、天落香を焚きませんか』というように」
ゆっくりと、ゆっくりとロワイエ様が話す。まるで時間を稼いでいるような言葉選びに焦れったくなる。
「本物の天落香は私たちにとって安眠薬にしかなりません。眠っているときに嗅げば、安らぎを得られる。ですか……」
「ぁんっ」
ロワイエ様が丈の短すぎるメイド服から、大胆にもあらわになっている私の太ももを撫でた。
「天降り人には媚薬効果をもたらす。ただの言い伝えかと思っていましたが……やはり試してみた価値はありましたね。ユカは天降り人なのでしょう?」
嬉しそうにロワイエ様はそう言った。
天降り人。それが異世界人のことを差すのなら、確かに私は天降り人かもしれない。
でもそれが何だというの。
それを確かめたかったのなら、こんな風に金貨三枚もする高級な香を使う必要なんてないじゃない!
別に私は異世界人だということを隠してないもん! 伯爵にはちゃんと話してある。だから、こんな形で暴いてくるロワイエ様に腹が立つ。
「天降り人なら……はぁ……どうする、んっ、ですか」
「ふふ。今度こそ美味しく据え膳を頂きましょう。天降り人を地上に堕とすために、ね?」
ロワイエ様が楽しそうに微笑んだ。
「嫌です」
にっこりと微笑みながらリネン室の入り口から声をかけてきたロワイエ様に、私は顔をひきつらせて距離を取って拒否した。
数日前、私が媚薬を盛られたということは、媚薬が抜けてはっきりとした頭できちんと説明を受けた。その上で、ロワイエ様が私のために対処をしてくれたのだと言うことも。
それは間違いないんだろうとは思う。あのときの私の体は絶対におかしかった。
だからといって、拒絶したのに私を組伏せて、恍惚として私をなぶったのはロワイエ様に代わりない。それがどれだけ私の恐怖を煽ったか、この人は分かってない。
翌日、私は熱を出して一日寝込んだ。サリムさんいわく、極度の緊張と疲労らしい。
どうしてマルスラン先生を呼ばず、サリムさんが診たのか。理由を聞いたら「誰に薬を盛られたのか分からないので、しばらくは極力外部との接触を絶って欲しい」ということらしい。そのせいでこの一週間、軟禁状態だ。
今回の媚薬事件は、ロワイエ様を狙ったものか、私を狙ったものか、それとも無差別か。この三つの可能性があるらしい。私がロワイエ様に強制にゃんにゃんされてる間にサリムさんが手を回したらしいんだけど、犯人も混入したものの特定も何も出来なかったらしい。
そうやってサリムさんが東奔西走している間、私は何をしているのかというと、ロワイエ様からなるべく距離を取ってお屋敷の仕事をこなしていた。
だって嫌じゃん、私を喜んで「据え膳です」とか言って、犯そうとしてきた人と顔を合わせるの。
挿入こそしてないから、私は一応まだ処女なんだけど……あの日のロワイエ様の想像以上の変態っぷりには、今思い出しても苦いものしか込み上げない。
ロワイエ様は宣言通り、私の花芽を弄るだけで私を何度も頂へと追い上げた。それはもう、私の秘部のそれがじんじんとして感覚がなくなるほどに。
それだけでも変態と罵るのに十分だけど、その長時間に渡る奉仕の合間に、嬉々として私に自慰を見せつけてきた。
これを変態と言わず何と言う。
女好き? 遊び人?
いやいや、変態の間違いでしょ。
ともかく、私はロワイエ様のそれを見て以来、まともに顔を合わせるのが嫌すぎた。それなのに外に出させてもらえないから、渋々とお屋敷に留まり、ビジネスライクで仕事をこなしている。
「ユカ、そろそろ機嫌を直してはくれませんか?」
「直すも何も、仕事中ですので失礼します」
「そんな、つれないことを言わず」
リネン室から出たいけど、ロワイエ様が通せんぼをするから出られない。私は無表情で視線を下に落とし主人に対する礼をとった。
「……私を雇ってくださっている恩を忘れたことはございません。そのお心に報いるためにも仕事をしておりますので、どうかこのような場所にはおいでにならないでください」
さっさと自分の執務室に帰れと、遠回しに言ってみる。
すると、ロワイエ様は少し考えたように視線を漂わせた。
「それならこうしましょうか。ユカ、主人の命令です。私の部屋に来なさい」
「それ、は」
「使用人として、どうすべきかは分かりますね?」
両肩に、ロワイエ様の圧がのし掛かる。
こうやって人に命令することになれている姿は、やっぱり貴族なんだよね。
「サリムがいないので、私の携わる仕事の書類の整理を頼みたいのです」
「……分かりました」
部屋に呼ばれた理由が仕事のためと聞き、渋々承諾した。
「ふふ、お礼に天落香を焚きましょう。居眠りにだけは注意してくださいね。素晴らしい夢から覚めたくなくなってしまうかもしれませんから」
茶目っ気たっぷりに私を誘うロワイエ様にげんなりしつつ、私はリネン室を出た。その足が向かうのはロワイエ様の執務室。ああもう、今から嫌悪で鳥肌がやまないよ。
そしていざ、ロワイエ様の執務室に足を踏み込むと、甘い香りが漂ってきた。少しだけ窓を開けて換気をしているらしく、むせかえる程ではないのがありがたい。
それは一度嗅いだら忘れられない天落香の香りで間違いない。本当に良い香りなのには間違いないから。
私は執務室に入ると、まずお茶の用意をした。こぼさないように、散乱した執務机の書類を避けて茶器を置く。よく見れば床にも紙が散らばっている。
「さっきうっかり積んであった書類を崩してしまいまして。ユカにはこれを直して欲しいのです。決済済みのものばかりのはずなので、それを日付と部門毎に」
「かしこまりました」
私は机の書類と床に散った書類を抱えて、応接用のローテーブルに置いて、仕事を始める。
書類の種類はいくつかある。領民の嘆願書、オージェ領の支出報告書、税の徴収報告書、その他諸々。
ここにあるのは何年分なのだろうかというくらい古いのもある。しまわないのかな? それともしまう場所がなくてしまえないとか? だから机の上に積みっぱなしだったとか?
そこでちょっと違和感が。
そういえばここまで書類が積まれてる執務室とか見たこと無いよ? だって盗難品探しのために来たときだって、何枚かの書類は積まれてたけど、こんな量じゃなかったはず。それにいくつかの重要書類は引き出しにしまってなかった?
「……なんでこんなにも古い日付の書類が外に出ているんですか?」
「ふふ、ちょっと必要だったのです」
「使ったら片付けてください」
「ええ。使ったら片付けますよ」
ロワイエ様が不敵に笑うけど、私は書類整理に集中していたのでその顔には終始気づかなかった。
まぁ、気づいたとして、どうにかなるのかって言われたら微妙だけど。
この部屋に足を踏み入れた時点で、私に逃げ場など用意されていなかったんだから。
◇◇◇
体がおかしい。
呼吸が乱れて、体の奥がむずむずする。
しばらく書類整理を続けていて一時間ほど。
目の前が霞んで体の均衡を崩しかけて、その事に気がついた。
私、この状態を知っている。
つい最近、経験したばかりだ。
これはまずい。
何がまずいって、ロワイエ様にバレたら───
「ユカ、息が切れてますね」
「ひぅん」
いつの間に近づいてきたのか、ロワイエ様が私の耳元に息を吹き掛けるように囁いた。ぞわぞわと何かが背筋を通り抜けて足から力が抜けた。
「ろ、ロワイエ様、気のせいですよ?」
「そうでしょうか?」
「はい」
「それなら引き続き書類整理をお願いします。急ぎのものが混じってそうなので、できるだけ早く整理を終わらせたいのですよ」
ロワイエ様のお仕事を遅らせるわけにはいかないから、私は唇を噛んで自分の体から意識をそらす。できるだけ早く終わらせて退出すれば良い。それで自室でゆっくり体を休めよう、そうしよう。
そう、思っていたのに。
「あぁ、すみません」
「……」
えええええ、ロワイエ様嘘でしょう!?
せっかく私が頑張って揃えた書類を手渡ししようとしたら、手を滑らせた。つまりはまた整理のやり直し。
「……わざとですか?」
「そんなまさか。申し訳ありませんが、もう一度、お願いしますね?」
ロワイエ様がたいして申し訳なく思っていなさそうな顔で言ってくる。
何、何なの。ロワイエ様、何がしたいの。
私はおかしくなっていく体にイライラしながら、書類の整理を続ける。よくよく考えれば、この時すでに私の頭がおかしかったんだって後から気づいた。思考が鈍っていて、原因だと思われるものに気がつかなかったんだから。
「はぁ、はぁ」
「そろそろでしょうか」
ふるふると体が震える。熱で火照る体は、起こしているのもつらい。
ローテーブルの書類を崩さないように、テーブルに手をついた。足腰が生まれた小鹿のようにぷるぷるして、立つのもやったとだ。
「ロワイエ様……?」
「申し訳ありませんね。このような騙し討ちのような方法をとって。確認したいことがあったのですが、普通に考えても貴女は協力してくれませんから」
ロワイエ様が執務机から離れ、私の方に近づいてきた。そして軽く私の体を押して、ソファに座らせた。
「媚薬の出所が見つからないと言ったでしょう? それでふと思い出したことがあるのです。先日、天落香の由来をお教えしましたよね?」
なんだっけ……ええと、天降り人を地上へと落とす香、だったっけ。
「あれは子供向けのお伽噺としてかなり拡大解釈をしたお話なのですよ。天降り人を落とすという本当の意味、知っていますか?」
ロワイエ様の言葉をぼんやりする頭で聞く。何だろう、何が言いたいんだろう。
「天降り人を堕とすのです。快楽を与え、この世を楽園と勘違いさせる。天落香は閨への誘い文句にも使われるのですよ。『今夜、天落香を焚きませんか』というように」
ゆっくりと、ゆっくりとロワイエ様が話す。まるで時間を稼いでいるような言葉選びに焦れったくなる。
「本物の天落香は私たちにとって安眠薬にしかなりません。眠っているときに嗅げば、安らぎを得られる。ですか……」
「ぁんっ」
ロワイエ様が丈の短すぎるメイド服から、大胆にもあらわになっている私の太ももを撫でた。
「天降り人には媚薬効果をもたらす。ただの言い伝えかと思っていましたが……やはり試してみた価値はありましたね。ユカは天降り人なのでしょう?」
嬉しそうにロワイエ様はそう言った。
天降り人。それが異世界人のことを差すのなら、確かに私は天降り人かもしれない。
でもそれが何だというの。
それを確かめたかったのなら、こんな風に金貨三枚もする高級な香を使う必要なんてないじゃない!
別に私は異世界人だということを隠してないもん! 伯爵にはちゃんと話してある。だから、こんな形で暴いてくるロワイエ様に腹が立つ。
「天降り人なら……はぁ……どうする、んっ、ですか」
「ふふ。今度こそ美味しく据え膳を頂きましょう。天降り人を地上に堕とすために、ね?」
ロワイエ様が楽しそうに微笑んだ。
1
お気に入りに追加
426
あなたにおすすめの小説
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
俺の妖精すぎるおっとり妻から離縁を求められ、戦場でも止まらなかった心臓が止まるかと思った。何を言われても別れたくはないんだが?
イセヤ レキ
恋愛
「離縁致しましょう」
私の幸せな世界は、妻の言い放ったたった一言で、凍りついたのを感じた──。
最愛の妻から離縁を突きつけられ、最終的に無事に回避することが出来た、英雄の独白。
全6話、完結済。
リクエストにお応えした作品です。
単体でも読めると思いますが、
①【私の愛しい娘が、自分は悪役令嬢だと言っております。私の呪詛を恋敵に使って断罪されるらしいのですが、同じ失敗を犯すつもりはございませんよ?】
母主人公
※ノベルアンソロジー掲載の為、アルファポリス様からは引き下げております。
②【私は、お母様の能力を使って人の恋路を邪魔する悪役令嬢のようです。けれども断罪回避を目指すので、ヒーローに近付くつもりは微塵もございませんよ?】
娘主人公
を先にお読み頂くと世界観に理解が深まるかと思います。
【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜
まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください!
題名の☆マークがえっちシーンありです。
王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。
しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。
肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。
彼はやっと理解した。
我慢した先に何もないことを。
ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。
小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
孤独なメイドは、夜ごと元国王陛下に愛される 〜治験と言う名の淫らなヒメゴト〜
当麻月菜
恋愛
「さっそくだけれど、ここに座ってスカートをめくりあげて」
「はい!?」
諸般の事情で寄る辺の無い身の上になったファルナは、街で見かけた求人広告を頼りに面接を受け、とある医師のメイドになった。
ただこの医者──グリジットは、顔は良いけれど夜のお薬を開発するいかがわしい医者だった。しかも元国王陛下だった。
ファルナに与えられたお仕事は、昼はメイド(でもお仕事はほとんどナシ)で夜は治験(こっちがメイン)。
治験と言う名の大義名分の下、淫らなアレコレをしちゃう元国王陛下とメイドの、すれ違ったり、じれじれしたりする一線を越えるか超えないか微妙な夜のおはなし。
※ 2021/04/08 タイトル変更しました。
※ ただただ私(作者)がえっちい話を書きたかっただけなので、設定はふわっふわです。お許しください。
※ R18シーンには☆があります。ご注意ください。
隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
グルブランソン国ヘドマン辺境伯の娘であるアルベティーナ。幼い頃から私兵団の訓練に紛れ込んでいた彼女は、王国騎士団の女性騎士に抜擢される。だが、なぜかグルブランソン国の王太子が彼女を婚約者候補にと指名した。婚約者候補から外れたいアルベティーナは、騎士団団長であるルドルフに純潔をもらってくれと言い出す。王族に嫁ぐには処女性が求められるため、それを失えば婚約者候補から外れるだろうと安易に考えたのだ。ルドルフとは何度か仕事を一緒にこなしているため、アルベティーナが家族以外に心を許せる唯一の男性だったのだが――
【R18】××××で魔力供給をする世界に聖女として転移して、イケメン魔法使いに甘やかされ抱かれる話
もなか
恋愛
目を覚ますと、金髪碧眼のイケメン──アースに抱かれていた。
詳しく話を聞くに、どうやら、私は魔法がある異世界に聖女として転移をしてきたようだ。
え? この世界、魔法を使うためには、魔力供給をしなきゃいけないんですか?
え? 魔力供給って、××××しなきゃいけないんですか?
え? 私、アースさん専用の聖女なんですか?
魔力供給(性行為)をしなきゃいけない聖女が、イケメン魔法使いに甘やかされ、快楽の日々に溺れる物語──。
※n番煎じの魔力供給もの。18禁シーンばかりの変態度高めな物語です。
※ムーンライトノベルズにも載せております。ムーンライトノベルズさんの方は、題名が少し変わっております。
※ヒーローが変態です。ヒロインはちょろいです。
R18作品です。18歳未満の方(高校生も含む)の閲覧は、御遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる