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オージェ伯爵邸襲撃事件編
療養生活3
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エリアと友達になった翌日の午後、早速アンリがリオネルさんを連れて訪ねてきた。
私はまだ病室から移動していない。緑のカーテンを開いて、いつものように歌詞の書き取りをしていた。
アンリの入るよという言葉を聞いて、昨日みたく歌詞ノートを見られて歌えと言われるのは本意じゃないので慌ててペンをサイドテーブルに戻して、ノートは枕の下に隠した。
「どうぞ」
「やぁ、ユカ」
気さくに笑って入ってくるアンリがベッドの脇で止まる。私は彼を見上げた。
「リオネルも来てるんだけど、入っていいかい?」
「リオネルさんが?」
何の用があってきたのか不思議だけど、せっかく来てもらったのだから入れないわけにはいかない。
こくんと頷くと、アンリが入り口に向かって呼び掛けた。
「リオネル」
「よぉ、嬢ちゃん。元気になったか」
にっかりと豪快に笑いながら、ゆっくりとリオネルさんが姿を表した。
びくつこうとした体をなんとか押し込める。大丈夫、大丈夫。リオネルさんはいい人だから。怖くないから。
「こんにちわ、リオネルさん。おかげさまで、元気です」
ひきつった笑みになっていないことだけを祈って笑いかける。震えそうになる体は、シーツを痛いほど握ってごまかした。
せっかくお見舞いに来てくれたのだから、拒絶しちゃ駄目だ。病は気から。男性が怖いのは、私の心の持ちようなのだから。
リオネルさんはベッドから離れたところに立った。アンリが、ベッドの脇にあった椅子に腰かける。
「元気ならよかった。ちょっと色々伝えなきゃいけないことがあってな。不愉快だろうが、我慢してくれな」
不愉快なんて、そんな。
そう否定したいけど、リオネルさんの気遣いにはありがたい。
にかっと笑ったリオネルさんは、クローゼットに背中を預けてこちらを見る。
「さーて、まず何からはなそうか」
「オージェ伯爵邸のことからじゃないか?」
リオネルさんが顎に手を当てて考えるそぶりを見せると、アンリがそう提案する。
私としても、一週間たった今、襲撃されたオージェ伯爵邸がどうなっているのか気になるところ。聞くことができるなら、優先的に聞きたい。
じっとリオネルさんを見つめれば、彼は苦笑しながらも話してくれた。
「昨日、王都にいるオージェ伯爵から使いが来てな。その使いが現場検証に立ち会ってくれることとなった。ただ、その使いも所詮は王都でオージェ伯爵に使えているだけだったから、事件前後の変化は分からない。出来れば嬢ちゃんにも立ち会ってもらいたいんだが……」
刑事ドラマとかでよくある現場検証。一週間も経てば犯人の手がかりなど見つかっても、もう意味はないように見えるけど、わざわざやるんだ。
またあのお屋敷に行かないといけない。
もう誰もいない、あのお屋敷に。
……ちょっと、怖いな。
血に染められたあのお屋敷に、まだ誰かがいると期待してしまいそうになるから。
ぼんやりとそんなことを考えていると、アンリが心配そうに私の顔を覗きこんでくる。
美少女とまごうばかりの美人さんと視線が合って、驚きのあまりにのけぞりそうになる。腹筋に力をいれて、ぐっとこらえた。
「大丈夫かい? 無理なら無理って断ってもいい。一応、簡単な掃除はしてあるけど、被害現場に戻りたがる被害者は少ないしな」
「簡単な掃除?」
現場検証って、基本的にはその現場をそのままに保持しておかないといけないんじゃないっけ……。
ドラマで見た知識をぼんやり思い浮かべていると、アンリが苦笑した。
「前も言った気がするけど、遺体をそのままにはしておけないからね」
あぁ、そういえばそんな事を聞いた気がする。
「記録は黒宵の方でとってあるから、ある程度はこっちで掃除をしておいたんだ。君と伯爵の使いの人にやって欲しいのは盗難品探し。何を持っていかれたのかが分かれば、流通の方から犯人の足が辿れる可能性がある」
なるほど。私からの聴取で賊が何かを盗難していっているのは分かってる。後は、何を盗まれたのかを調べないといけないけど、実際に何が持ち去られたのかが分かるのは実際にお屋敷にいた私ってことか。
でも、私なんかが役に立つのかな。
私、お屋敷で働くようになってから一年しか経っていないし、金庫とか価値のあるものとかの管理はもっと古株の使用人さん達がやっていたから、力になれないかもしれない。
「……私、雇われてまだ一年なの。そんな私で、力になれる?」
「もちろん。生き証人だからな。どんな些細なことでも気がついたら教えてほしい。これはひいては伯爵のためにもなることだしね」
「……分かりました。協力させてください」
そういわれれば断る理由もなくなる。明日にでも検証を始めると言われて、不安に思いながらもしっかりと頷いた。
その様子を見ていたリオネルさんが、にやにやと腕を組み、顎をさすり、笑いだした。
「ははぁ、アンリ。お前さんほんとなつかれてるな。説得が楽でいいなぁ」
「うるさいな。余計なことを言う前に、話さないといけないことはまだあるだろ」
「だがなぁ」
アンリにツンっとした反応を返されたリオネルは、クローゼットから離れると、一歩、こちらに踏み出した。
何の予備動作もないその行動に、びくっと肩が跳ねた。
リオネルさんが獅子のような雄々しさをひっこめて、へにょりと眉を下げて困ったような顔をする。
「こんなんじゃ、伯爵の依頼はちょっと考えないとなぁ。幸いにもマルスラン医師の申し出もあるからな」
申し訳なさにうつむいてしまうけれど、リオネルさんの言葉にひっかかりを覚えてそっと顔をあげた。
視線がリオネルさんと合うと、彼は気にするなと言うように笑ってくれる。
「伯爵から嬢ちゃんを騎士団に保護するように依頼されてるんだ。なんでも訳ありだし身寄りもないしで、こっちに戻るまでの間保護しておいて欲しいってな」
昨日、エリアが話していたことだ。
本当に伯爵が理私を気遣って騎士団に保護するようにお願いしてくれていたと分かって、ちょっと嬉しくなる。
本当にあのお屋敷の人たちは皆人が良い。伯爵自身がお優しいからか、お屋敷全体が温かかった。
でも、今の自分では伯爵の優しい気遣いを受け入れられない。たぶん襲撃されて即日、伯爵に報告がされただろうから。だから私が今陥っている状況を知らないままに依頼が出されたのかもってエリアも言っていたし。
返事ができなくて戸惑っていると、アンリがぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜてきた。
「マルスラン先生も、君を心配して預かってくれるって言ってる。無理に騎士団に来る必要はないし、こっちから伯爵には君の状態と一緒に話は通しておくから、ここにいればいいよ。今日はそれの確認だけだから」
「でも、私そこまでしてもらったらマルスラン先生は迷惑じゃない? 私、お金持ってないの。治療費も、滞在費も払えない。エリアにも昨日同じこと聞かれて、その時はここにお世話になりたいって伝えたんだけど、それって迷惑にならないかな」
そう、問題はそこ。
私は伯爵家に居候させてもらうかわりにメイドとして働かせてもらっていた。伯爵は私が異世界から来たことを信じてくれたから、この世界に慣れるまではと外出することもなかったし、働いた分のお給料は私の衣食住に当ててもらっていた。
だから私のこの世界での手持ちのお金は一銭も無い。
治療費も払えない上に、居候させてもらうのは少しどころかだいぶ気が引けた。
そんなことエリアさんには面と向かって言えない。
昨日だって患者を診るのが自分のプライドだと言いきられたばかりだ。でもプライドだけでは病院は運営できないことを私は知っている。
ただお世話になるだけになるのは避けたいところ。
何か対価が支払えればいいのだけれど。
ちょうどよくアンリからもその話が出たので、私は遠慮なく自分の今の現状を話し、今後の生活について相談させてほしかった。
アンリは苦笑すると、頭をかき混ぜるのを止めて私と視線を合わせた。スミレの瞳がころりと動く。
「別に気にしないと思うけどなぁ。どのみち、君は抜糸が終わるまではまだしばらくは患者扱いだし。お金も伯爵が騎士団に依頼した分をこっちにまわせばいいしね」
「えっ、伯爵、お金を出してくれてるの?」
「まぁうちも国の組織だからな。事件とかの顛末は犯人逮捕や犯罪防止のためにも明らかにするが、被害者の保護まではめったにやらねぇ。やっても巡回強化が関の山だ。保護する場合はそいつにかかる費用を別途貰うことになってる」
リオネルさんが離れたところから教えてくれる。
何も持たない私のために、伯爵がわざわざそこまで気にかけてくれるなんて。
この世界に来て、保護してくれたのが旦那様で良かったと思う。
それと同時に、私なんかのためにお金を出させてしまって申し訳ないとも。
甘えるばかりで、やっぱり私は何も返すことができていないのが心苦しい。
「旦那様には頭が上がらないわ……」
「ま、ありがたく好意は頂いておけばいいさ。他に何か気がかりなことはある?」
「特には」
「おうそうか。それじゃ、俺達は戻るか。あんまり長居してもな。マルスラン先生にも話はつけておこう」
「お願いします。アンリも来てくれてありがとう」
「気にしなくて良い。僕はいつもの巡回のついでだしな」
アンリが柔らかく微笑する。女性的な面立ちとはいえ、童顔ゆえか彼自身の雰囲気が日溜まりのようだからかとても温かい笑顔だ。
私もつられて笑う。
「ほんと、なつかれたなぁ」
一人すたすたと扉まで近づいていたリオネルさんがこちらを振り向いてニヤニヤと笑っていた。
私はまだ病室から移動していない。緑のカーテンを開いて、いつものように歌詞の書き取りをしていた。
アンリの入るよという言葉を聞いて、昨日みたく歌詞ノートを見られて歌えと言われるのは本意じゃないので慌ててペンをサイドテーブルに戻して、ノートは枕の下に隠した。
「どうぞ」
「やぁ、ユカ」
気さくに笑って入ってくるアンリがベッドの脇で止まる。私は彼を見上げた。
「リオネルも来てるんだけど、入っていいかい?」
「リオネルさんが?」
何の用があってきたのか不思議だけど、せっかく来てもらったのだから入れないわけにはいかない。
こくんと頷くと、アンリが入り口に向かって呼び掛けた。
「リオネル」
「よぉ、嬢ちゃん。元気になったか」
にっかりと豪快に笑いながら、ゆっくりとリオネルさんが姿を表した。
びくつこうとした体をなんとか押し込める。大丈夫、大丈夫。リオネルさんはいい人だから。怖くないから。
「こんにちわ、リオネルさん。おかげさまで、元気です」
ひきつった笑みになっていないことだけを祈って笑いかける。震えそうになる体は、シーツを痛いほど握ってごまかした。
せっかくお見舞いに来てくれたのだから、拒絶しちゃ駄目だ。病は気から。男性が怖いのは、私の心の持ちようなのだから。
リオネルさんはベッドから離れたところに立った。アンリが、ベッドの脇にあった椅子に腰かける。
「元気ならよかった。ちょっと色々伝えなきゃいけないことがあってな。不愉快だろうが、我慢してくれな」
不愉快なんて、そんな。
そう否定したいけど、リオネルさんの気遣いにはありがたい。
にかっと笑ったリオネルさんは、クローゼットに背中を預けてこちらを見る。
「さーて、まず何からはなそうか」
「オージェ伯爵邸のことからじゃないか?」
リオネルさんが顎に手を当てて考えるそぶりを見せると、アンリがそう提案する。
私としても、一週間たった今、襲撃されたオージェ伯爵邸がどうなっているのか気になるところ。聞くことができるなら、優先的に聞きたい。
じっとリオネルさんを見つめれば、彼は苦笑しながらも話してくれた。
「昨日、王都にいるオージェ伯爵から使いが来てな。その使いが現場検証に立ち会ってくれることとなった。ただ、その使いも所詮は王都でオージェ伯爵に使えているだけだったから、事件前後の変化は分からない。出来れば嬢ちゃんにも立ち会ってもらいたいんだが……」
刑事ドラマとかでよくある現場検証。一週間も経てば犯人の手がかりなど見つかっても、もう意味はないように見えるけど、わざわざやるんだ。
またあのお屋敷に行かないといけない。
もう誰もいない、あのお屋敷に。
……ちょっと、怖いな。
血に染められたあのお屋敷に、まだ誰かがいると期待してしまいそうになるから。
ぼんやりとそんなことを考えていると、アンリが心配そうに私の顔を覗きこんでくる。
美少女とまごうばかりの美人さんと視線が合って、驚きのあまりにのけぞりそうになる。腹筋に力をいれて、ぐっとこらえた。
「大丈夫かい? 無理なら無理って断ってもいい。一応、簡単な掃除はしてあるけど、被害現場に戻りたがる被害者は少ないしな」
「簡単な掃除?」
現場検証って、基本的にはその現場をそのままに保持しておかないといけないんじゃないっけ……。
ドラマで見た知識をぼんやり思い浮かべていると、アンリが苦笑した。
「前も言った気がするけど、遺体をそのままにはしておけないからね」
あぁ、そういえばそんな事を聞いた気がする。
「記録は黒宵の方でとってあるから、ある程度はこっちで掃除をしておいたんだ。君と伯爵の使いの人にやって欲しいのは盗難品探し。何を持っていかれたのかが分かれば、流通の方から犯人の足が辿れる可能性がある」
なるほど。私からの聴取で賊が何かを盗難していっているのは分かってる。後は、何を盗まれたのかを調べないといけないけど、実際に何が持ち去られたのかが分かるのは実際にお屋敷にいた私ってことか。
でも、私なんかが役に立つのかな。
私、お屋敷で働くようになってから一年しか経っていないし、金庫とか価値のあるものとかの管理はもっと古株の使用人さん達がやっていたから、力になれないかもしれない。
「……私、雇われてまだ一年なの。そんな私で、力になれる?」
「もちろん。生き証人だからな。どんな些細なことでも気がついたら教えてほしい。これはひいては伯爵のためにもなることだしね」
「……分かりました。協力させてください」
そういわれれば断る理由もなくなる。明日にでも検証を始めると言われて、不安に思いながらもしっかりと頷いた。
その様子を見ていたリオネルさんが、にやにやと腕を組み、顎をさすり、笑いだした。
「ははぁ、アンリ。お前さんほんとなつかれてるな。説得が楽でいいなぁ」
「うるさいな。余計なことを言う前に、話さないといけないことはまだあるだろ」
「だがなぁ」
アンリにツンっとした反応を返されたリオネルは、クローゼットから離れると、一歩、こちらに踏み出した。
何の予備動作もないその行動に、びくっと肩が跳ねた。
リオネルさんが獅子のような雄々しさをひっこめて、へにょりと眉を下げて困ったような顔をする。
「こんなんじゃ、伯爵の依頼はちょっと考えないとなぁ。幸いにもマルスラン医師の申し出もあるからな」
申し訳なさにうつむいてしまうけれど、リオネルさんの言葉にひっかかりを覚えてそっと顔をあげた。
視線がリオネルさんと合うと、彼は気にするなと言うように笑ってくれる。
「伯爵から嬢ちゃんを騎士団に保護するように依頼されてるんだ。なんでも訳ありだし身寄りもないしで、こっちに戻るまでの間保護しておいて欲しいってな」
昨日、エリアが話していたことだ。
本当に伯爵が理私を気遣って騎士団に保護するようにお願いしてくれていたと分かって、ちょっと嬉しくなる。
本当にあのお屋敷の人たちは皆人が良い。伯爵自身がお優しいからか、お屋敷全体が温かかった。
でも、今の自分では伯爵の優しい気遣いを受け入れられない。たぶん襲撃されて即日、伯爵に報告がされただろうから。だから私が今陥っている状況を知らないままに依頼が出されたのかもってエリアも言っていたし。
返事ができなくて戸惑っていると、アンリがぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜてきた。
「マルスラン先生も、君を心配して預かってくれるって言ってる。無理に騎士団に来る必要はないし、こっちから伯爵には君の状態と一緒に話は通しておくから、ここにいればいいよ。今日はそれの確認だけだから」
「でも、私そこまでしてもらったらマルスラン先生は迷惑じゃない? 私、お金持ってないの。治療費も、滞在費も払えない。エリアにも昨日同じこと聞かれて、その時はここにお世話になりたいって伝えたんだけど、それって迷惑にならないかな」
そう、問題はそこ。
私は伯爵家に居候させてもらうかわりにメイドとして働かせてもらっていた。伯爵は私が異世界から来たことを信じてくれたから、この世界に慣れるまではと外出することもなかったし、働いた分のお給料は私の衣食住に当ててもらっていた。
だから私のこの世界での手持ちのお金は一銭も無い。
治療費も払えない上に、居候させてもらうのは少しどころかだいぶ気が引けた。
そんなことエリアさんには面と向かって言えない。
昨日だって患者を診るのが自分のプライドだと言いきられたばかりだ。でもプライドだけでは病院は運営できないことを私は知っている。
ただお世話になるだけになるのは避けたいところ。
何か対価が支払えればいいのだけれど。
ちょうどよくアンリからもその話が出たので、私は遠慮なく自分の今の現状を話し、今後の生活について相談させてほしかった。
アンリは苦笑すると、頭をかき混ぜるのを止めて私と視線を合わせた。スミレの瞳がころりと動く。
「別に気にしないと思うけどなぁ。どのみち、君は抜糸が終わるまではまだしばらくは患者扱いだし。お金も伯爵が騎士団に依頼した分をこっちにまわせばいいしね」
「えっ、伯爵、お金を出してくれてるの?」
「まぁうちも国の組織だからな。事件とかの顛末は犯人逮捕や犯罪防止のためにも明らかにするが、被害者の保護まではめったにやらねぇ。やっても巡回強化が関の山だ。保護する場合はそいつにかかる費用を別途貰うことになってる」
リオネルさんが離れたところから教えてくれる。
何も持たない私のために、伯爵がわざわざそこまで気にかけてくれるなんて。
この世界に来て、保護してくれたのが旦那様で良かったと思う。
それと同時に、私なんかのためにお金を出させてしまって申し訳ないとも。
甘えるばかりで、やっぱり私は何も返すことができていないのが心苦しい。
「旦那様には頭が上がらないわ……」
「ま、ありがたく好意は頂いておけばいいさ。他に何か気がかりなことはある?」
「特には」
「おうそうか。それじゃ、俺達は戻るか。あんまり長居してもな。マルスラン先生にも話はつけておこう」
「お願いします。アンリも来てくれてありがとう」
「気にしなくて良い。僕はいつもの巡回のついでだしな」
アンリが柔らかく微笑する。女性的な面立ちとはいえ、童顔ゆえか彼自身の雰囲気が日溜まりのようだからかとても温かい笑顔だ。
私もつられて笑う。
「ほんと、なつかれたなぁ」
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