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本編裏話
ぼくのおねえさま5
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「むりー! 殿下顔良すぎて無理ー! 声もだめぇー!」
そう叫ばれたとき、頭が真っ白になった。
無理?
何が?
僕が?
……拒否されたのかと思った。
お姉様が帰られた後自室に引きこもっていると、お姉様を見送りに行っていたヴァーノンが帰ってきた。
僕はソファに気力もなく背を預ける。
ようやく三ヶ月ぶりに会えたというのに、僕は手を間違えた気がした。
「……ヴァーノン、僕はお姉様にきらわれているんでしょうか」
目をつむって宙に放り投げた言葉は、自分で思っているよりも弱々しかった。
カチャカチャと腰にさげた剣が騎士服の装飾と擦れて音を立てる音が近づく。目を開かなくとも、ヴァーノンが近くに歩み寄ったことが分かった。
「別に嫌われてはいないが」
「嘘です。だって無理って言われました」
「あれは単に恥ずかしがっているだけだ」
「本当ですか? 嘘じゃないですか?」
「嘘をついてどうする。それに嫌っていたならお前の婚約者にはならないだろう」
「もしかしたらお姉様への誘惑がきっかけて嫌われたかもしれないじゃないですかー!」
お姉様に無理だと言われたのはヴァーノンから学んだことを実践した直後だ。それが原因で嫌われた線は大いにあり得る。
ソファから思い切り身を起こして、今度はローテーブルに突っ伏した。もうやっていられない。何が恋愛指南ですか。逆効果じゃないですか。
ヴァーノンの教え方が下手なのか、僕が不真面目な生徒なのか……でもヴァーノンはこの手でお姉様を陥落したんですよね。
何が駄目なんだろう。
やっぱり僕はお姉様に男としてみられていないのかな。
「はぁぁぁぁぁぁ」
「そんなに落ち込むところか?」
「ヴァーノンには分かりませんよこの気持ち……あぁ、お姉様と戯れていた十六年の月日が瓦解していくようです……僕は一生お姉様の弟以上の立場にはなれないのでしょうか」
「アンリエット嬢には既に弟がいるが?」
「実の弟じゃなくたって、精神的なものですー!」
わぁっと机に伏せたままヴァーノンに抗議の声をあげる。
お姉様に男として見てもらいたい。
いつまでも子供ではないのだと知っていただきたい。
僕だって頼れるところがあるんだと見直してほしい。
もう、甘えたな子供じゃないんです!
それを伝えたいのに、せっかく確保したお姉様との逢瀬の時間を無駄にして……はぁ、僕はいったい何をやっているのか。自分が自分で嫌になる。
ひんやりとしたローテーブルに伏せてくさくさとしていると、ヴァーノンがいつものように喉の奥でくつくつと笑った。
「……なんですか」
「いや。十六年いて、アンリエット嬢の感情表現の仕方をきちんと知らないとはなと思ってな」
ローテーブルに頬をつけたまま首を動かしてじとりとヴァーノンを睨む。お行儀なんて知ったこっちゃない。
「アンリエット嬢は照れ屋だからな。俺もよく言われる」
「そうなんですか?」
「初めて意識してもらったときの台詞が『顔良すぎて勝てない』だったか。酔っていて前後不覚のところを攻め立てたらそう叫んで、その場では避けられたな」
「お姉様は何と勝負してたんですか」
「俺の顔らしいな」
僕の前ではとてもしっかり者のお姉様だけれど、ヴァーノンから時々聞かされるお姉様は本当に同一人物なのかと疑ってしまうくらい言動がおかしい。
お姉様がヴァーノンにしか見せない一面に複雑な気持ちになったけれど、そうじゃないと思考を引き戻す。
「結局それヴァーノンの顔がお姉様に気に入られてるって話じゃないですか!」
ガバッと身を起こしてキッとヴァーノンを睨み付ける。
自慢話のつもりですか!
傷心の僕の傷に更に塩を塗り込むような真似をするなんてやっぱりヴァーノンは鬼だ!
「ちゃんと最後の台詞を聞いていないだろう? 俺はその後、その場だけだったが徹底的に避けられたぞ」
「……何が言いたいんですか」
「だから照れ隠しだと言っている」
ヴァーノンはソファの隣に立ち、僕を見下ろした。
それからやれやれとでも言うように、片腕をソファの背もたれについた。
「アンリエット嬢は羞恥心が一定以上を越えると、防衛本能のように普段のすまし顔が引っ込んで、大変愛らしい言動をするようになる」
「愛らしい」
「褒めてるのか貶しているのか分からん言葉も照れているからこそ飛び出てしまうんだ。そんな状態の時は目が潤み、頬が上気して、こちらの男としての本能を刺激してくる」
「男としての本能」
「殿下はまず言葉通りに受けとるのを止めて、アンリエット嬢の照れ隠しも全て可愛らしく思えるようになることだな。そもそも彼女の隠れた一面を見るために俺を置いているんだろう。今のままの関係が嫌ならせいぜい励むことだな」
ぐぅの音もでないとは正にこのことだ。
ヴァーノンの言葉は正しい。確かにこれは僕が望んだことだし、僕の知らないお姉様の一面を知るのは悔しいことにヴァーノンだ。彼の助言が今のところ真理として疑うことなく鵜呑みしなければ関係改善は出来ないと思う。
それなら今日は失敗してしまったけれど、是非とも次こそはお姉様に僕を男として見てもらおう。
「……ヴァーノン、リベンジします」
「ほう。そうか」
「そのためにも、そろそろ次の段階へ移行したいと思うのですが」
「何故?」
ヴァーノンの問う眼差しに、僕は毅然として答える。
「確かにお姉様に対して言葉攻めは有効だったのだと思います。失敗だと思いましたが、ヴァーノンが言うとおりお姉様の『むり』という言葉が照れ隠しなのであれば、あの女性向けの物語わ読み続けた甲斐があります」
でも、それだけじゃ足りない。
ヴァーノンは、僕よりももっともっと進んでいる。
僕はにっこりとヴァーノンに微笑みかけた。
「ヴァーノンはお姉様と口づけをしたことありますよね?」
疑問じゃない。
確信の上で返答を要求する。
でも相手はヴァーノンだ。
普通なら動揺して視線をそらしたり何なりとするだろうに、うっすらと笑うだけで彼は何も言わない。
少しくらい動揺を見せてくれたっていいのに。
まぁ、ヴァーノンに動揺という言葉を期待するのが無理というものかな。だってセザール兄上が事あるごとに「完璧人間」と称するくらい隙がない人だから。
「僕に、お姉様との口づけの仕方を教えて下さい。子供のままごとじゃない、大人の口づけを」
散々女性向けの物語を読んで、知識は得た。
口づけにも色々と種類があるらしい。唇と唇が触れるだけの口づけなんて子供騙しにも程があると、とある物語に出てきた王子が言っていた。ちなみに僕はそれまで子供騙しのような口づけしか知らなかったので、その王子の台詞には青天の霹靂だった。
でも物語では総じて「大人の口づけ」程度にしか表記がされていなかった。
だから、それ以上に「大人の口づけ」という行為の知識はない。
だったらヴァーノンから直接指導をしてもらうまで!
これは名案だと思います!
どうだとヴァーノンを見上げれば、彼は面白そうに目を細めた。獣を思わせる金の瞳にとろりとした熱が浮かぶ。
「いいだろう。ただし、相手がいないと練習もできないから、アンリエット嬢がいるその場で、という条件付きだ」
「臨むところです」
ヴァーノンがくつくつと喉の奥で笑う。
「純心もここまでくると悪意を感じるな」
「どういうことです?」
「こちらの話だ。いいか、アンリエット嬢が何を言っても全て照れ隠しと思え。今日みたいに意気地がないのは話にならんからな」
「はい、師匠!」
一人でヴァーノンが納得するように呟いたけれど、その意味がわからず首を捻る。尋ねてみたけれどもさらりと流されてしまった挙げ句、念を押されたのでしっかりと頷いておいた。
さて、次にお姉様に会えるのはいつだろう。
頭の中の予定をパラパラとめくる。
今シーズン初の社交界が着々と迫っている。
そういえば、お姉様にドレスを送る約束をしたな。
ではそこで時間をとって、ヴァーノンに指導してもらおう。
「近いうちにお姉様にドレスを贈るつもりです。王家のお針子に縫わます。調整などもあるでしょうから、それを理由にお姉様を呼びましょうか」
僕が考えたドレスを身にまとうお姉様を想像して、自然と笑みがこぼれた。
この先の楽しみができたので、さっきまでの鬱々していた気分が急上昇する。
「ヴァーノン、そう言うことなので予定の調整お願いしますね」
「了解した」
さっきまでは師匠として砕けた物言いをしていたヴァーノンは、見ている者など誰もいないのに護衛騎士らしく生真面目に返事をして騎士の礼をとる。こういった切り替えの素早さにはいつも感嘆させられる。
僕は苦笑しながら、今日はもういいですとヴァーノンを下がらせた。もうすぐヴァーノンの退勤時間だ。しばらくは部屋から出るつもりもないので、外の護衛だけでも十分だ。
頭を下げて退室していくヴァーノンを見送りながら、ふとお姉様はどうしてヴァーノンを好きになったんだろうと思った。
……やっぱり顔なのだろうか。
そう叫ばれたとき、頭が真っ白になった。
無理?
何が?
僕が?
……拒否されたのかと思った。
お姉様が帰られた後自室に引きこもっていると、お姉様を見送りに行っていたヴァーノンが帰ってきた。
僕はソファに気力もなく背を預ける。
ようやく三ヶ月ぶりに会えたというのに、僕は手を間違えた気がした。
「……ヴァーノン、僕はお姉様にきらわれているんでしょうか」
目をつむって宙に放り投げた言葉は、自分で思っているよりも弱々しかった。
カチャカチャと腰にさげた剣が騎士服の装飾と擦れて音を立てる音が近づく。目を開かなくとも、ヴァーノンが近くに歩み寄ったことが分かった。
「別に嫌われてはいないが」
「嘘です。だって無理って言われました」
「あれは単に恥ずかしがっているだけだ」
「本当ですか? 嘘じゃないですか?」
「嘘をついてどうする。それに嫌っていたならお前の婚約者にはならないだろう」
「もしかしたらお姉様への誘惑がきっかけて嫌われたかもしれないじゃないですかー!」
お姉様に無理だと言われたのはヴァーノンから学んだことを実践した直後だ。それが原因で嫌われた線は大いにあり得る。
ソファから思い切り身を起こして、今度はローテーブルに突っ伏した。もうやっていられない。何が恋愛指南ですか。逆効果じゃないですか。
ヴァーノンの教え方が下手なのか、僕が不真面目な生徒なのか……でもヴァーノンはこの手でお姉様を陥落したんですよね。
何が駄目なんだろう。
やっぱり僕はお姉様に男としてみられていないのかな。
「はぁぁぁぁぁぁ」
「そんなに落ち込むところか?」
「ヴァーノンには分かりませんよこの気持ち……あぁ、お姉様と戯れていた十六年の月日が瓦解していくようです……僕は一生お姉様の弟以上の立場にはなれないのでしょうか」
「アンリエット嬢には既に弟がいるが?」
「実の弟じゃなくたって、精神的なものですー!」
わぁっと机に伏せたままヴァーノンに抗議の声をあげる。
お姉様に男として見てもらいたい。
いつまでも子供ではないのだと知っていただきたい。
僕だって頼れるところがあるんだと見直してほしい。
もう、甘えたな子供じゃないんです!
それを伝えたいのに、せっかく確保したお姉様との逢瀬の時間を無駄にして……はぁ、僕はいったい何をやっているのか。自分が自分で嫌になる。
ひんやりとしたローテーブルに伏せてくさくさとしていると、ヴァーノンがいつものように喉の奥でくつくつと笑った。
「……なんですか」
「いや。十六年いて、アンリエット嬢の感情表現の仕方をきちんと知らないとはなと思ってな」
ローテーブルに頬をつけたまま首を動かしてじとりとヴァーノンを睨む。お行儀なんて知ったこっちゃない。
「アンリエット嬢は照れ屋だからな。俺もよく言われる」
「そうなんですか?」
「初めて意識してもらったときの台詞が『顔良すぎて勝てない』だったか。酔っていて前後不覚のところを攻め立てたらそう叫んで、その場では避けられたな」
「お姉様は何と勝負してたんですか」
「俺の顔らしいな」
僕の前ではとてもしっかり者のお姉様だけれど、ヴァーノンから時々聞かされるお姉様は本当に同一人物なのかと疑ってしまうくらい言動がおかしい。
お姉様がヴァーノンにしか見せない一面に複雑な気持ちになったけれど、そうじゃないと思考を引き戻す。
「結局それヴァーノンの顔がお姉様に気に入られてるって話じゃないですか!」
ガバッと身を起こしてキッとヴァーノンを睨み付ける。
自慢話のつもりですか!
傷心の僕の傷に更に塩を塗り込むような真似をするなんてやっぱりヴァーノンは鬼だ!
「ちゃんと最後の台詞を聞いていないだろう? 俺はその後、その場だけだったが徹底的に避けられたぞ」
「……何が言いたいんですか」
「だから照れ隠しだと言っている」
ヴァーノンはソファの隣に立ち、僕を見下ろした。
それからやれやれとでも言うように、片腕をソファの背もたれについた。
「アンリエット嬢は羞恥心が一定以上を越えると、防衛本能のように普段のすまし顔が引っ込んで、大変愛らしい言動をするようになる」
「愛らしい」
「褒めてるのか貶しているのか分からん言葉も照れているからこそ飛び出てしまうんだ。そんな状態の時は目が潤み、頬が上気して、こちらの男としての本能を刺激してくる」
「男としての本能」
「殿下はまず言葉通りに受けとるのを止めて、アンリエット嬢の照れ隠しも全て可愛らしく思えるようになることだな。そもそも彼女の隠れた一面を見るために俺を置いているんだろう。今のままの関係が嫌ならせいぜい励むことだな」
ぐぅの音もでないとは正にこのことだ。
ヴァーノンの言葉は正しい。確かにこれは僕が望んだことだし、僕の知らないお姉様の一面を知るのは悔しいことにヴァーノンだ。彼の助言が今のところ真理として疑うことなく鵜呑みしなければ関係改善は出来ないと思う。
それなら今日は失敗してしまったけれど、是非とも次こそはお姉様に僕を男として見てもらおう。
「……ヴァーノン、リベンジします」
「ほう。そうか」
「そのためにも、そろそろ次の段階へ移行したいと思うのですが」
「何故?」
ヴァーノンの問う眼差しに、僕は毅然として答える。
「確かにお姉様に対して言葉攻めは有効だったのだと思います。失敗だと思いましたが、ヴァーノンが言うとおりお姉様の『むり』という言葉が照れ隠しなのであれば、あの女性向けの物語わ読み続けた甲斐があります」
でも、それだけじゃ足りない。
ヴァーノンは、僕よりももっともっと進んでいる。
僕はにっこりとヴァーノンに微笑みかけた。
「ヴァーノンはお姉様と口づけをしたことありますよね?」
疑問じゃない。
確信の上で返答を要求する。
でも相手はヴァーノンだ。
普通なら動揺して視線をそらしたり何なりとするだろうに、うっすらと笑うだけで彼は何も言わない。
少しくらい動揺を見せてくれたっていいのに。
まぁ、ヴァーノンに動揺という言葉を期待するのが無理というものかな。だってセザール兄上が事あるごとに「完璧人間」と称するくらい隙がない人だから。
「僕に、お姉様との口づけの仕方を教えて下さい。子供のままごとじゃない、大人の口づけを」
散々女性向けの物語を読んで、知識は得た。
口づけにも色々と種類があるらしい。唇と唇が触れるだけの口づけなんて子供騙しにも程があると、とある物語に出てきた王子が言っていた。ちなみに僕はそれまで子供騙しのような口づけしか知らなかったので、その王子の台詞には青天の霹靂だった。
でも物語では総じて「大人の口づけ」程度にしか表記がされていなかった。
だから、それ以上に「大人の口づけ」という行為の知識はない。
だったらヴァーノンから直接指導をしてもらうまで!
これは名案だと思います!
どうだとヴァーノンを見上げれば、彼は面白そうに目を細めた。獣を思わせる金の瞳にとろりとした熱が浮かぶ。
「いいだろう。ただし、相手がいないと練習もできないから、アンリエット嬢がいるその場で、という条件付きだ」
「臨むところです」
ヴァーノンがくつくつと喉の奥で笑う。
「純心もここまでくると悪意を感じるな」
「どういうことです?」
「こちらの話だ。いいか、アンリエット嬢が何を言っても全て照れ隠しと思え。今日みたいに意気地がないのは話にならんからな」
「はい、師匠!」
一人でヴァーノンが納得するように呟いたけれど、その意味がわからず首を捻る。尋ねてみたけれどもさらりと流されてしまった挙げ句、念を押されたのでしっかりと頷いておいた。
さて、次にお姉様に会えるのはいつだろう。
頭の中の予定をパラパラとめくる。
今シーズン初の社交界が着々と迫っている。
そういえば、お姉様にドレスを送る約束をしたな。
ではそこで時間をとって、ヴァーノンに指導してもらおう。
「近いうちにお姉様にドレスを贈るつもりです。王家のお針子に縫わます。調整などもあるでしょうから、それを理由にお姉様を呼びましょうか」
僕が考えたドレスを身にまとうお姉様を想像して、自然と笑みがこぼれた。
この先の楽しみができたので、さっきまでの鬱々していた気分が急上昇する。
「ヴァーノン、そう言うことなので予定の調整お願いしますね」
「了解した」
さっきまでは師匠として砕けた物言いをしていたヴァーノンは、見ている者など誰もいないのに護衛騎士らしく生真面目に返事をして騎士の礼をとる。こういった切り替えの素早さにはいつも感嘆させられる。
僕は苦笑しながら、今日はもういいですとヴァーノンを下がらせた。もうすぐヴァーノンの退勤時間だ。しばらくは部屋から出るつもりもないので、外の護衛だけでも十分だ。
頭を下げて退室していくヴァーノンを見送りながら、ふとお姉様はどうしてヴァーノンを好きになったんだろうと思った。
……やっぱり顔なのだろうか。
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