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本編
21.
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ソファに押し倒された私は、跳ねる鼓動を必死に抑えた。
嫌な汗が、背筋を流れる。春先だと言うのに、殿下の瞳を見つめられると、ひやりと体が冷えた。
「ヴァーノンとしていたこと、教えてください」
もう一度、殿下が繰り返す。
私は、緊張で震えそうになる体をなだめた。
「ヴァーノンとしていたこと……ですか?」
「そうです」
「それは困りましたね。殿下にお教えするような何もないわ」
「お姉様」
殿下の言葉が、氷のように冷えたものになる。
「僕は子供ではないのです。お姉様とヴァーノンがこういうことをしていたのを、知っているのです」
殿下の言葉と一緒に、さらりと私の視界を青みがかったシルバーが覆った。それと同時に、唇に柔らかな感触が降ってくる。
それが殿下の唇だと理解するのに、時間はかからなかった。
触れるだけのキス。
それでも息を止めて、私は目を見開いた。
甘く痺れるような衝撃に呼吸をするのを忘れた。私、殿下にキスをされてるの? 苦しくなった頃、殿下が顔を離す。
その切なそうな顔に、胸がしめつけられた。
「三ヶ月前、お姉様とヴァーノンが退出された後。僕は言い忘れたことがあって、追いかけたんです。そうしたら、遠目ではありましたが通路の壁に寄って、お姉様とヴァーノンが抱き合っているのを見ました」
「そ、それは……」
「キス、していましたよね」
見られていたことへの恥ずかしさと、知られてしまったことの罪悪感で、私は殿下をまともに見られない。
顔をそらせば、殿下がつつ……と首から鎖骨にかけて指でなぞる。びくっと体が震えた。
「昔から、ヴァーノンとお姉様の仲の良さにもやもやしていました。僕のいないところで仲良くなったお二人に嫉妬して、ヴァーノンに意地悪したのを覚えていますか?」
「ええ……私がヴァーノンと出会った頃のお話かしら。殿下がメイドにあれこれ言いつけて、ヴァーノンを困らせていましたね」
「よく覚えていらっしゃる」
くすりと殿下が、笑った。
それからほの暗い炎を瞳に宿して、私を見下げる。その瞳に、ぞっとした。
初めて、殿下をこわいと思った。
ヴァーノンの瞳のような熱ではない、それ以上の何かが潜んでる。
本能が警鐘をならした。
「……で、殿下、まだ婚姻前ですし、このような体勢は……」
「ヴァーノンとはキスしていたのに、ですか? しかも王宮のあんなところで」
殿下の正論に、どくどくと心臓がはねる。
あぁ、いつ以来かしら。こんなにも、心臓が騒がしいのは。
身体中を巡る熱と、激しい動悸、くらくらと頭に血がのぼる。
この熱量を感じるのは、いつぶりかしら。
「殿下、そんな意地悪を仰らないで……」
「いけないことをされたのはお姉様ですよ。僕というものがありながら……」
殿下がぐっと顔を近づけ、囁く。
声変わりをして昔ほど声は高くなくなったけれど、よく通る甘ったるいテノールの声。きゅんっと私の胸を締め付ける。
「殿下、耳元でしゃべらないで……」
「いいえ。お姉様によく聞こえるようにお話しさせてください」
ぞわぞわと背筋に得たいの知れないものが這い上がる。
やめてー! 耳元で囁かないでー!!
ヴァーノンとは違うタイプの声。私に向けられて囁かれているのだと思うと、言い様のない悦びが体支配するの。しかも壮絶な色気があって、腰がくだけそうになる。
しめつけられる胸がつらくて、潤んだ瞳で殿下を見上げれば、殿下はごくりと喉をならした。
「お、姉様……」
ほの暗かった殿下の瞳に光が差す。
ほんのりと、頬が赤らんだ気がした。
しばらく二人で見つめ合う。
あぁ……ほんとに時間が流れるのは早いこと。
気づかないうちに、「弟」だと思っていた存在は「男」になっていたんだもの。
そっと殿下が私の頬に触れた。
熱がじんわりと伝わる。
私の知らない表情で、彼は私を見つめる。
「殿下……」
キィ……。
扉が、開く音。
びくっと私と殿下の体が震える。
扉の向こうには一人の騎士。
見慣れた黒髪に、金の瞳の騎士。
私が口を開く前に、殿下が身を起こした。
「ヴァーノン……」
ヴァーノンは扉を閉めると、その扉にもたれかかった。
そうして目をつむる。
……って、いや、あの?
「ヴァーノン……何して……」
「何って、護衛だが?」
「えぇ……?」
私が思わず変な声で呻くと、殿下はため息をついた。
「……ヴァーノン、誰も入って来るなって言っておいたのだけれど」
「俺は護衛だ」
「護衛もいらないって言ったのだけれど」
「別に俺は気にしないから、続けてくれ」
はい??
続けるって何を??
「えっと……あの……」
私はゆっくりと身を起こす。
殿下とヴァーノンを交互に見比べる。
殿下は恨めしそうにヴァーノンを睨み付けると、ソファから立ち上がって、ぐいぐいとヴァーノンを引っ張り、部屋から追い出そうとする。
「ヴァーノンは絶対に出ていってくださいー!」
「俺は気にしないから続ければ良い。正当な婚約者なのだから、遠慮することはないだろう?」
殿下も鍛えているはずだけれど、さすがはヴァーノンというべきかしら。全く微動だにしない。
「いいから出て行ってくださいってばー!」
「何故だ」
「ヴァーノンはお姉様の可愛い顔をいっぱい見ているじゃないですかー!」
「好いた女の可愛い顔を見たいと思うのは普通だと思うが?」
「これだから開き直ってるヴァーノンは!!」
えっ?
ええっ?
ちょっと待って? 何を言っているの?
殿下とヴァーノンは何を言い争っているの?
私が目を白黒させていると、ヴァーノンを外に出そうとするのを諦めた殿下がこっちに戻ってくる。
幼い頃のようにぎゅっと私を抱き締めた。昔と違うのは、前は私がすっぽりと彼を抱き締めていたのに、彼が私をすっぽりと覆っている点だ。
「ヴァーノンは僕のいないところでお姉様に可愛い顔をさせたんでしょう! もう十分じゃないですかー!」
「その俺からあれこれ聞き出したろう。お手並み拝見くらいさせてもらってもいいじゃないか」
何のお手並みを拝見するつもりなの!?
しかもヴァーノン、あなた殿下とグルなの!?
私の可愛い顔って何!?
私の知らないところで、二人が何かを企んでいる。
というより、取引してる?
「で、殿下……?」
そろそろと殿下の顔を見上げると、殿下は私を見下げた。
……ヴァーノン譲りの意地悪な笑顔で。
ひぇっ……。
思わず顔がひきつる。
「お姉様……」
お砂糖を煮詰めて蜂蜜を溶かしたシロップのような甘い声で、殿下が私の耳元で囁く。え、今の声、殿下? 殿下よね? 少し高くて、艶っぽい声。
殿下今、どこから声を出したの。
思わずぎょっとして身を引いた。それはもう、ずさっと。抱き締められていた、殿下の腕を振りほどいて。
「お姉様?」
いつもと同じ、殿下の声。きょとんとしたその声に、ほっとする。
え、それじゃ、さっきの声は?
「どうした、アンリエット。腰がひけているぞ」
耳に吹き掛ける、甘いハスキーボイス。体の体温が急上昇していく。
いつの間にかソファの後ろに移動してきたヴァーノンの顔が、私の肩にあった。
「ひぁ……!」
思わず顔を真っ赤にして、小さく叫んでしまう。殿下が拗ねたように唇を尖らせた。
「むぅ……ヴァーノン……」
「逃げられないようにしないと、この人は逃げるぞ」
ヴァーノン、余計なことを言わなくてもいいの!
ぐいっと両腕をヴァーノンにとられる。軽く万歳するような姿勢になった。
「なっ、なっ」
「僕にはまだ力がないのが悔しいです、お姉様」
さっきと同じ、艶っぽい声。
あ、だめ、そんな声で寄らないで殿下。
どくどくと鼓動が高まる。
後ろのヴァーノン。
前の殿下。
逃げ場がない。
「で、殿下……お戯れは……」
「大丈夫です、少しだけお話しするだけです──ここで」
ドレスを踏んで、殿下がソファの上で膝立ちする。
私の右耳にはヴァーノンが。
私の左耳には殿下が。
密着した状態で、吐息を吹き掛ける。
「アンリエット」
「お姉様」
「なっ、なっ……っ」
私のドキドキが最高潮になり、全身の血流が沸騰して、くらりと眩暈がした。
ふらっと私の体から力が抜ける。
「お、お姉さま!?」
ぎょっとした殿下の声と、くくっと肩で笑うヴァーノンの声を遠くで聞きながら、私は真っ赤になってふるふると震えた。
ヴァーノンが私の両腕を離して、ソファから落ちないように支えてくれる。
私は自分で自分の顔を覆った。
「むりー! 殿下顔良すぎて無理ー! 声もだめぇー! ヴァーノンのばかぁー!」
力一杯叫ぶと、殿下はショックを受けたように愕然と固まってしまった。
「え……無理……え……お姉様……?」
「むりー! だめぇー!」
魂が抜けたように呆然とする殿下と、身悶えする私。ヴァーノンはそれを見て、まだ肩を震わせている。
とりあえず、迎えの時間が来るまで、そんなカオスな時間が続きました。
嫌な汗が、背筋を流れる。春先だと言うのに、殿下の瞳を見つめられると、ひやりと体が冷えた。
「ヴァーノンとしていたこと、教えてください」
もう一度、殿下が繰り返す。
私は、緊張で震えそうになる体をなだめた。
「ヴァーノンとしていたこと……ですか?」
「そうです」
「それは困りましたね。殿下にお教えするような何もないわ」
「お姉様」
殿下の言葉が、氷のように冷えたものになる。
「僕は子供ではないのです。お姉様とヴァーノンがこういうことをしていたのを、知っているのです」
殿下の言葉と一緒に、さらりと私の視界を青みがかったシルバーが覆った。それと同時に、唇に柔らかな感触が降ってくる。
それが殿下の唇だと理解するのに、時間はかからなかった。
触れるだけのキス。
それでも息を止めて、私は目を見開いた。
甘く痺れるような衝撃に呼吸をするのを忘れた。私、殿下にキスをされてるの? 苦しくなった頃、殿下が顔を離す。
その切なそうな顔に、胸がしめつけられた。
「三ヶ月前、お姉様とヴァーノンが退出された後。僕は言い忘れたことがあって、追いかけたんです。そうしたら、遠目ではありましたが通路の壁に寄って、お姉様とヴァーノンが抱き合っているのを見ました」
「そ、それは……」
「キス、していましたよね」
見られていたことへの恥ずかしさと、知られてしまったことの罪悪感で、私は殿下をまともに見られない。
顔をそらせば、殿下がつつ……と首から鎖骨にかけて指でなぞる。びくっと体が震えた。
「昔から、ヴァーノンとお姉様の仲の良さにもやもやしていました。僕のいないところで仲良くなったお二人に嫉妬して、ヴァーノンに意地悪したのを覚えていますか?」
「ええ……私がヴァーノンと出会った頃のお話かしら。殿下がメイドにあれこれ言いつけて、ヴァーノンを困らせていましたね」
「よく覚えていらっしゃる」
くすりと殿下が、笑った。
それからほの暗い炎を瞳に宿して、私を見下げる。その瞳に、ぞっとした。
初めて、殿下をこわいと思った。
ヴァーノンの瞳のような熱ではない、それ以上の何かが潜んでる。
本能が警鐘をならした。
「……で、殿下、まだ婚姻前ですし、このような体勢は……」
「ヴァーノンとはキスしていたのに、ですか? しかも王宮のあんなところで」
殿下の正論に、どくどくと心臓がはねる。
あぁ、いつ以来かしら。こんなにも、心臓が騒がしいのは。
身体中を巡る熱と、激しい動悸、くらくらと頭に血がのぼる。
この熱量を感じるのは、いつぶりかしら。
「殿下、そんな意地悪を仰らないで……」
「いけないことをされたのはお姉様ですよ。僕というものがありながら……」
殿下がぐっと顔を近づけ、囁く。
声変わりをして昔ほど声は高くなくなったけれど、よく通る甘ったるいテノールの声。きゅんっと私の胸を締め付ける。
「殿下、耳元でしゃべらないで……」
「いいえ。お姉様によく聞こえるようにお話しさせてください」
ぞわぞわと背筋に得たいの知れないものが這い上がる。
やめてー! 耳元で囁かないでー!!
ヴァーノンとは違うタイプの声。私に向けられて囁かれているのだと思うと、言い様のない悦びが体支配するの。しかも壮絶な色気があって、腰がくだけそうになる。
しめつけられる胸がつらくて、潤んだ瞳で殿下を見上げれば、殿下はごくりと喉をならした。
「お、姉様……」
ほの暗かった殿下の瞳に光が差す。
ほんのりと、頬が赤らんだ気がした。
しばらく二人で見つめ合う。
あぁ……ほんとに時間が流れるのは早いこと。
気づかないうちに、「弟」だと思っていた存在は「男」になっていたんだもの。
そっと殿下が私の頬に触れた。
熱がじんわりと伝わる。
私の知らない表情で、彼は私を見つめる。
「殿下……」
キィ……。
扉が、開く音。
びくっと私と殿下の体が震える。
扉の向こうには一人の騎士。
見慣れた黒髪に、金の瞳の騎士。
私が口を開く前に、殿下が身を起こした。
「ヴァーノン……」
ヴァーノンは扉を閉めると、その扉にもたれかかった。
そうして目をつむる。
……って、いや、あの?
「ヴァーノン……何して……」
「何って、護衛だが?」
「えぇ……?」
私が思わず変な声で呻くと、殿下はため息をついた。
「……ヴァーノン、誰も入って来るなって言っておいたのだけれど」
「俺は護衛だ」
「護衛もいらないって言ったのだけれど」
「別に俺は気にしないから、続けてくれ」
はい??
続けるって何を??
「えっと……あの……」
私はゆっくりと身を起こす。
殿下とヴァーノンを交互に見比べる。
殿下は恨めしそうにヴァーノンを睨み付けると、ソファから立ち上がって、ぐいぐいとヴァーノンを引っ張り、部屋から追い出そうとする。
「ヴァーノンは絶対に出ていってくださいー!」
「俺は気にしないから続ければ良い。正当な婚約者なのだから、遠慮することはないだろう?」
殿下も鍛えているはずだけれど、さすがはヴァーノンというべきかしら。全く微動だにしない。
「いいから出て行ってくださいってばー!」
「何故だ」
「ヴァーノンはお姉様の可愛い顔をいっぱい見ているじゃないですかー!」
「好いた女の可愛い顔を見たいと思うのは普通だと思うが?」
「これだから開き直ってるヴァーノンは!!」
えっ?
ええっ?
ちょっと待って? 何を言っているの?
殿下とヴァーノンは何を言い争っているの?
私が目を白黒させていると、ヴァーノンを外に出そうとするのを諦めた殿下がこっちに戻ってくる。
幼い頃のようにぎゅっと私を抱き締めた。昔と違うのは、前は私がすっぽりと彼を抱き締めていたのに、彼が私をすっぽりと覆っている点だ。
「ヴァーノンは僕のいないところでお姉様に可愛い顔をさせたんでしょう! もう十分じゃないですかー!」
「その俺からあれこれ聞き出したろう。お手並み拝見くらいさせてもらってもいいじゃないか」
何のお手並みを拝見するつもりなの!?
しかもヴァーノン、あなた殿下とグルなの!?
私の可愛い顔って何!?
私の知らないところで、二人が何かを企んでいる。
というより、取引してる?
「で、殿下……?」
そろそろと殿下の顔を見上げると、殿下は私を見下げた。
……ヴァーノン譲りの意地悪な笑顔で。
ひぇっ……。
思わず顔がひきつる。
「お姉様……」
お砂糖を煮詰めて蜂蜜を溶かしたシロップのような甘い声で、殿下が私の耳元で囁く。え、今の声、殿下? 殿下よね? 少し高くて、艶っぽい声。
殿下今、どこから声を出したの。
思わずぎょっとして身を引いた。それはもう、ずさっと。抱き締められていた、殿下の腕を振りほどいて。
「お姉様?」
いつもと同じ、殿下の声。きょとんとしたその声に、ほっとする。
え、それじゃ、さっきの声は?
「どうした、アンリエット。腰がひけているぞ」
耳に吹き掛ける、甘いハスキーボイス。体の体温が急上昇していく。
いつの間にかソファの後ろに移動してきたヴァーノンの顔が、私の肩にあった。
「ひぁ……!」
思わず顔を真っ赤にして、小さく叫んでしまう。殿下が拗ねたように唇を尖らせた。
「むぅ……ヴァーノン……」
「逃げられないようにしないと、この人は逃げるぞ」
ヴァーノン、余計なことを言わなくてもいいの!
ぐいっと両腕をヴァーノンにとられる。軽く万歳するような姿勢になった。
「なっ、なっ」
「僕にはまだ力がないのが悔しいです、お姉様」
さっきと同じ、艶っぽい声。
あ、だめ、そんな声で寄らないで殿下。
どくどくと鼓動が高まる。
後ろのヴァーノン。
前の殿下。
逃げ場がない。
「で、殿下……お戯れは……」
「大丈夫です、少しだけお話しするだけです──ここで」
ドレスを踏んで、殿下がソファの上で膝立ちする。
私の右耳にはヴァーノンが。
私の左耳には殿下が。
密着した状態で、吐息を吹き掛ける。
「アンリエット」
「お姉様」
「なっ、なっ……っ」
私のドキドキが最高潮になり、全身の血流が沸騰して、くらりと眩暈がした。
ふらっと私の体から力が抜ける。
「お、お姉さま!?」
ぎょっとした殿下の声と、くくっと肩で笑うヴァーノンの声を遠くで聞きながら、私は真っ赤になってふるふると震えた。
ヴァーノンが私の両腕を離して、ソファから落ちないように支えてくれる。
私は自分で自分の顔を覆った。
「むりー! 殿下顔良すぎて無理ー! 声もだめぇー! ヴァーノンのばかぁー!」
力一杯叫ぶと、殿下はショックを受けたように愕然と固まってしまった。
「え……無理……え……お姉様……?」
「むりー! だめぇー!」
魂が抜けたように呆然とする殿下と、身悶えする私。ヴァーノンはそれを見て、まだ肩を震わせている。
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