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六章 聖女の墓標攻略編

177話 レベル上げ

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 ──翌朝。私は寝惚け眼を擦りながら起床して、テツ丸の姿を確かめてみた。
 形状は進化前より一回り大きい球体で、全身が鋼になっており、上半分に電子回路みたいなものが張り巡らされている。

 それから、テツ丸の周囲には、十基の子機が浮かんでいるよ。
 一つ一つの大きさは五十センチ程度で、今のテツ丸と同じ鋼製。
 形状は厚みのある刃であり、これらが宙を自由自在に飛び回って、敵を斬ったり刺したりするらしい。

 庭に出て試してみたところ、刃の子機はテツ丸から百メートル以上離れると、制御出来なくなって地面に落ちると判明した。
 子機が壊れても、テツ丸の内部で修理したり、作り直したり出来るみたい。その場合は、鋼を食べさせる必要がある。

「なるほど……。かなり攻撃的な魔物になったね……」

 私はテツ丸を撫でながら、ステホで撮影してみた。
 すると、【浮遊】【変形】【魔刃機構】という、三つのスキルを持っていることが分かったよ。

 新スキルの【魔刃機構】──これは刃の子機に、『魔石をセットすると属性ダメージを追加する』という、面白い仕組みを付け足すスキルだった。
 私は試しに、刃の子機に水の魔石をセットしてから、【土壁】を使って壁師匠をお呼びする。

「テツ丸っ、スキルを使って壁師匠に攻撃!」

 私の命令に従って、テツ丸は刃の子機を操り、それらを壁師匠に殺到させた。
 全ての刃が青い光輝を帯びて、なんだか強そうに見えるよ。
 そして、壁師匠を斬っては突き、斬っては突き──テツ丸は五分もの間、一方的な猛攻を続けた。

 その結果、壁師匠には掠り傷一つ付いておらず、子機が刃こぼれするという事態に陥ってしまう。
 テツ丸に顔はないけど、とても落ち込んでいるのが雰囲気で分かった。

「ご、ごめんねテツ丸っ、これは相手が悪かったね!」

 私はいそいそとテツ丸を布で磨き、謝りながらご機嫌を取る。
 まぁ、子機の動きは機敏だったし、攻撃の勢いも中々のものだった。
 敵の弱点に合わせて魔石をセットすれば、スノウベアーと同格の魔物までなら、一対一で倒せると思う。

 この子機が人の武器として使えたら、売り物になるんだけど……残念ながら、制御を失うと自壊して、ボロボロになったよ。
 属性ダメージを追加する機構。それが解析出来れば、模倣してマジックアイテムを作れそう。いつか、マジックアイテムの専門家が仲間になってくれたら、商品開発でもして貰いたい。

「進化したテツ丸の確認は、これでよし」

 みんな、まだ寝ているので、私は一足先に修行を始めることにした。
 自分に【光輪】を使い、イーシャを動かして、お屋敷の庭に移動させる。
 ちなみに、お店の庭にあったものは、こっちに全て移したよ。

 メイジトレントのグレープ、家庭菜園、ミスリルの大釜、スラ丸を召喚するための魔法陣。それと新しく、ユラちゃんを召喚するための魔法陣も、用意しておいた。
 

 ──私とイーシャの修行で使うものは、『脆い水の杖』と『脆い障壁の指輪』。
 前者は振ると水の弾を撃ち出せて、後者は目の前に障壁を張れるんだ。
 どちらも何回か使うと、壊れてしまう代物なので、幾つも買っておいた。

 ちなみに、指輪は一個につき、金貨十枚もしたよ。非戦闘職の裕福な人たちが、護身用として持っておく代物だから、高くても売れるんだって。
 そのお値段故に、庶民が手を出そうと思える代物ではないので、在庫は沢山あった。

「イーシャ、いくよー」

「ばっちこーい」

 完全に一人芝居だけど、私はイーシャに声を掛けてから、水の杖を振った。
 先天性スキル【他力本願】のデメリットで、私は他者に攻撃出来ない。
 でも、イーシャは私の分身だから、問題ないんだ。言ってしまえば、これは自傷行為だからね。

 指輪を装備しているイーシャが、右手を正面に突き出すと、縦横が一メートル程度の障壁が展開された。
 全方位を守れる結界とは違って、正面しか守れないものだけど……一応、結界師の職業スキル【定点障壁】と、全く同じものらしい。

 私の杖から放たれた【冷水弾】が、障壁にぶつかって弾けた。
 障壁は微動だにしていないので、私は連続で杖を振りまくる。
 ……なんというか、この修行は地味だ。欠伸が出てしまう。


 こうして、だらだらと修行を続けていると、シュヴァインくんがゾンビみたいな足取りで、私のもとへやって来た。
 彼の目は点になっており、見たことがない不思議な表情を浮かべている。
 驚愕、呆然、落胆、高揚、歓喜。それらを下地にして、虚無顔を貼り付けたら、こんな表情になるのかもしれない。

「し、師匠……。たいへん、たいへんなんだ……」

 シュヴァインくんは私の目の前まで歩み寄り、ヘナヘナと膝から崩れ落ちた。

「ど、どうしたの……? 何かあった……?」

「ぼ、ボク……っ、見ちゃった……っ!! み、見ちゃったんだよぅ……!!」
 
 彼の声は震えている。なんだろう、お化けでも出たとか?
 この世界には、シスターゴーストなんて魔物も存在するので、お化けの一匹や二匹、何食わぬ顔で彷徨っていても不思議じゃない。
 私は恐る恐る、『何を見たの……?』と尋ねてみた。
 すると、シュヴァインくんはクワッと目を見開いて、頭を抱えながら天を仰ぐ。

「ぼ、ぼっ、ボクっ、おち〇ちんを見ちゃったんだよおおおおおおおおッ!!」

「私にセクハラしに来たの? だとしたら、普通に怒るけど」

「ちがっ、違うんだ……!! あ、朝っ、み、水浴びしようと思って、ボクっ、お風呂に行ったら……!! み、み、みぃ──ッ」

「みぃ……? ちょっと落ち着いて、深呼吸を挟んでから、話してみて」

 シュヴァインくんが過呼吸に陥ったので、私は彼の背中を撫でて落ち着かせる。
 しばらくして、呼吸を整えたシュヴァインくんが、ワッと泣きながら慟哭した。

「み、ミケちゃんがっ、ミケくんだったんだよおおおおおおおおおおおッ!!」

 どうやら、先にお風呂に入っていたミケと、バッタリ出くわして──遂に、彼の性別を把握してしまったらしい。
 いつか、こんな日がくるって、覚悟していたけど……思ったより早かったね。

「シュヴァインくん、人を見掛けで判断したら駄目だよ。男性なのか、女性なのか、あるいはどちらでもないのか……。性別って、奥が深いんだから」

「そ、そうなんだ……。でも師匠、落ち着いて考えてみたら、ミケくんの性別は『ミケきゅん』なのかもしれない。あの子には、おち〇ちんがついているのに、ボクの胸はずっとキュンキュンしているんだ。ボクね、ついているミケきゅんでも、全然イケる気がしてきたよ。男女なんて些細な問題で、『可愛い』という概念は全てを超越するのが、世界の真理なんじゃないかなって」

「いきなり饒舌になるの、やめてね」

 突然、シュヴァインくんが顔をキリッとさせて、哲学を語り始めた。
 彼は今、この瞬間に、新しい扉を開けてしまったんだ。

「ボク、もう一度お風呂に行ってくるよ。ミケきゅんは女の子じゃないから、一緒に入っても問題ないよね」

「えぇぇ……。ま、まぁ、双方の合意があれば、いいのかなぁ……?」

 私は煮え切らない答えを返したけど、シュヴァインくんはこれを了承と捉えて、肩で風を切りながらお風呂場へと向かった。
 数分後、『くたばれにゃああああああああああああッ!!』という、ミケの怒声が聞こえてきたけど、私は無視したよ。
 その怒声によって、みんなが続々と目を覚ましたので、私はイーシャの身体を使って、朝食の用意をする。

 イーシャのもう一つの職業、異世界人。
 これのレベル上げは、どうすればいいのか、私なりに色々と考えてみた。
 その結果、導き出した仮説は、『異世界で得た知識を使う』というもの。

 つまり、前世の私が日本で得た知識のことだね。
 知識チートなんて出来るほど、私は博識な人間じゃない。それでも、簡単な料理のレシピや、学校で習う程度のことなら、憶えているんだ。

「ヤキトリ、火が欲しいから手伝って」

 私はカラーヒヨコのヤキトリを呼び出して、スキル【火達磨】を使って貰った。
 この子は太っちょなヒヨコの魔物で、自分自身を燃え上がらせることが出来る。
 ヤキトリの上にフライパンを置けば、薪要らずだから助かるよ。

 今朝はフレンチトーストを作ろう。パン、卵、牛乳、お砂糖があれば、簡単に作れる。
 トッピングにアイスクリームも乗せて、サクッと出来上がり。
 早速、みんなを食堂に呼んで、振る舞ってみた。

「──な、なにこれ!? 美味しいっ!! アーシャっ、あたしにも料理を教えなさいよ!! このままだと、あんたにシュヴァインの胃袋が掴まれちゃうわ!!」

「……美味。スイ、おかわりしたい」

 フィオナちゃんとスイミィちゃんには、大好評だった。
 そうだよね、甘いものは美味しいよね。おかわりもあるよ。

「みんな、食べながら私の話を聞いて。アイスクリームを作るときに、氷に塩を混ぜたボウルを用意するんだけど、これは融解熱を利用して──」

 私は前世の知識を思い返しながら、氷に熱が吸収される仕組みを説明した。
 何人かが理解を示したところで、ステホをチラッと確認すると、異世界人のレベルが上がっていたよ。どうやら、このやり方で正解らしい。

「オレは酒場の料理より、アーシャの手料理の方が好きだよ! ただ、朝から甘いものは……」

「見事な料理だ。アーシャは宮廷料理人としても、十分やっていけるだろう。ただ、ワタシも朝から甘いものは……」

 ルークスとニュートは、美味しそうに食べているけど、朝食に甘いものはしっくりこないタイプだった。
 シュヴァインくんは、なんでも美味しく食べられるタイプなので、何も言うことはない。幸せそうに、沢山おかわりしているよ。
 ずっと無言だったトールは、じっくりと味わいながら完食して、『……うめェ』と一言だけ。

 リヒトくんは朝が苦手なのか、まだ寝惚けている状態で、モソモソと食べている。
 ミケは──あれっ? ミケがいない。
 お屋敷の中を捜してみると、まだお風呂場にいた。

「にゃっほおおおおおいっ!! メスたちの出し汁っ!! これは全部っ、みゃーのものだにゃあ!!」

 ふざけた独り言が聞こえてきたから、私はそっとその場を後にした。
 湯舟なら、女子が入った後に張り替えたので、その出し汁には男子たちの成分しか入っていないよ。

 ……そういえば、春って猫が盛る季節だよね。発情期というやつだ。
 猫獣人のミケも、ムラムラしているのかもしれない。
 去勢の費用って、幾ら掛かるんだろう?
 
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