119 / 239
四章 流水海域攻略編
117話 攻略開始
しおりを挟む主力メンバーに私の支援スキルを掛けてから、軍団は流水海域へと向かって進行を始めた。
ツヴァイス殿下を苦しめていた老化の呪い。それを治したことで、【再生の祈り】に追加されている特殊効果、若返りが露見したかと思ったけど……、
「いやぁ、まさか相棒のスキルに、呪いを解く効果があるなんてな」
「わ、私も知りませんでした! 呪いを掛けられた人に出会うのって、初めてだったもので!」
バリィさんが言った通り、みんなは私のスキルに、『呪いを解く効果がある』って勘違いしてくれた。
実際は老化を若返りで相殺した感じだから、どんな呪いでも解ける訳じゃないと思う。……ああいや、どうだろう?
若返りの効果って、そんなに劇的なものじゃなかったはずなので、どんな風にスキルが作用したのか、正確には分からないんだよね。
本当に解呪の効果がある可能性も否定出来ないし、私が知らない技術を女神アーシャが勝手に使ったとか、あり得なくもない。
……まぁ、なんにしても、王族にとっては一大事だ。
当然、私はツヴァイス殿下から、他の王族の解呪も頼まれるだろうと覚悟していた。けど、彼は顔の右半分を覆っていた仮面を付け直して、別のことを言い出す。
「ここで起きたことは、他言無用です。ワタシは呪いが解けていない体で、今後も生活していくので」
「あれ……? あの、いいんですか……? 他の王族の方は……」
「それをすれば、ワタシの愚兄が、アーシャさんを奴隷にしようとするでしょう。貴方の善意に泥を塗るような真似は、したくありません」
ツヴァイス殿下の話を聞いて、私はごくりと固唾を呑む。
協力を求めるでもなく、祭り上げるでもなく、いきなり奴隷……。
彼の兄というと、第一王子しかいない。権威主義者らしいから、平民の私が相手なら何をしてもいいって、考えるような奴なんだろうね。
「こんなこと、聞いていいのか分かりませんけど……第一王子様って、どういう方なんですか……?」
「名前はアインス。年齢は四十ニ。典型的な凡夫……いや、凡庸を遥かに下回る愚物ですよ。民を虐げ、耳触りの良い言葉しか聞かず、欲深くて嫉妬深い。淫蕩に溺れて政務を投げ出し、自分の思い通りにならないものは壊したくなる。昔から大の怠け者で、未だに文字の読み書きすら満足に出来ない。短気で馬鹿で口が臭い彼の人間性は、王という立場から最も遠いと、ワタシは確信しています」
アインス殿下のことを語るツヴァイス殿下の目には、隠し切れない侮蔑の色が浮かんでいた。
よっっっぽど嫌いなんだろうね。口が臭いとか、ただの悪口だし。
教えて貰った内容が全て事実なら、アインス殿下には絶対に近付きたくない。
というか、そんな人が王様になったら、この国はどうなっちゃうの……?
私が王国の未来に立ち込める暗雲を幻視していると、軍団はいつの間にか、流水海域の入り口に到着していた。
今日は冒険者の立ち入りが禁止されているみたいで、四千人の兵士たちは淀みなく、螺旋階段を下りることが出来たよ。
氷の洞窟を抜けて第一階層に出ると、軍団は四つに分かれて整列した。
「こっからは俺の出番だな。ざっと四往復ってところか」
バリィさんが大きな【移動結界】を使って、遠くにある氷の孤島に、千人ずつ兵士を輸送していく。あっちには第二階層へ続く洞窟があるんだ。
こんな滅茶苦茶な方法で、第一、第二、第三階層を呆気なく突破してしまった。
ペンギン、アザラシ、セイウチ、スノウベアー。どれも空を飛べない魔物だから、障害なんて何もなかったよ。
「あらぁん! バリィちゃんったら、すっかり成長しちゃって! あちきっ、感激しちゃう!!」
「まあ、この程度は朝飯前だ。この調子で、第四階層もさっさと抜けるぞ」
第四階層は広大な凍土になっていて、青々とした空の下で、マンモスの群れが悠々と闊歩していた。
一つの群れに十数頭のマンモス。目が届く範囲には、六つもの群れが見える。
第一から第三階層に現れた魔物たちの姿も見えるけど、マンモスに怯えながら暮らしているよ。
ここが、ルークスたちが早く行きたいと望んでいた、冒険の舞台……。
なんの苦労もなく、私は足を踏み入れてしまったから、ちょっとだけ罪悪感が湧いてしまう。
「ブヒヒッ! この方法だと、第五階層は素通り出来ませんが、吾輩の出番ですかな?」
自信満々なライトン侯爵が、腰に佩いている剣を引き抜こうとした。けど、そんな彼をカマーマさんが制止する。
「それはダメよん! 侯爵サマの男前な姿は、裏ボスで見せて欲しいわぁ! だ・か・ら、次はあちきの出番ってコト!」
彼女は大胸筋を魅せるポーズを取って、自分が殺ると名乗りを上げた。
こうして、私たちは第四階層の奥地へと進み、第五階層に繋がっている氷の洞窟を発見。
洞窟の内部は宮殿を思わせるような形に整えられており、『この先に特別な敵がいます!』と、私たちに伝えているみたいだ。
ここから再び螺旋階段を下りて、第五階層に到着。そこは、巨大な氷のドームの中だった。
バリィさんの【移動結界】で、この階層を素通り出来ない理由は、このドームの中央に鎮座している一匹の魔物が原因だよ。
体長が五十メートルもある巨大なペンギンが、氷の玉座から私たちを睥睨しているんだ。そのペンギンは王冠を被っていて、赤いマントを身に着け、豪奢な王笏を持っている。
……正直、かなり可愛い。ペンギンよりアザラシ派の私でも、胸にグッときてしまう。
テイムしたいけど、今の私の実力だと、絶対に無理だよね……。
悔しく思いながらステホで撮影してみると、『エンペラーペンギン』という名前の魔物だった。
持っているスキルは、【冷水弾】【冷水連弾】【冷水砲弾】【統率個体】【眷属召喚】──この五つ。
弾系のスキルは一つ目から順番に、『冷たい水の弾を撃ち出す』『冷たい水の弾を連続で撃ち出す』『冷たい水の砲弾を撃ち出す』というもの。
それから、自分と同種かつ下位の個体に、強制力のある命令を出せるスキル。
最後に、自分と同種かつ下位の個体を召喚するスキル。これが一番厄介そうだよ。
スキルの確認が終わったタイミングで、エンペラーペンギンが玉座から立ち上がり、王笏で氷の床を叩いた。
すると、床の上に魔法陣が描かれて、そこから続々とペンギンたちが出現する。
──その数、凡そ千匹。
どれもこれも、普通のペンギンじゃない。
剣と盾で武装しているのは、ペンギンナイト。
槍で武装しているのは、ペンギンランサー。
弓矢を装備して、羽根飾りが付いた帽子を被っているのは、ペンギンハンター。
聖職者みたいな白い法衣を身に着けているのは、ペンギンプリースト。
とんがり帽子を被って箒に跨り、短い杖を持ちながら空を飛んでいるのは、ペンギンウィッチ。
ペンギンの大軍勢という、圧巻の光景。ペンギン愛好家のフィオナちゃんが目撃したら、大喜びしそうだね。
私たちの方が数は多いけど、エンペラーペンギンの【眷属召喚】が何度も使えるなら、これは激戦になりそう──って、思ったのに、
「ふんぬううううううううううううううううぅぅぅぅぅッ!!」
カマーマさんが気合いを入れながら腰を落として、目の前の何もない空間に、手のひらを叩き付けた。
すると、鼓膜が破れそうな爆音と共に、衝撃波が発生したよ。
それはペンギン軍団を襲って、エンペラーペンギン以外が一瞬で気を失う。
全ての敵が耳から血を流しているから、気圧の影響を受けたのかもしれない。
「うわぁ……。凄いスキルですね……」
「あれは、拳闘士のスキル【烈風掌】だな。レベルが低いと大した威力は出ないから、外れ扱いする奴が多いんだ」
バリィさんがそう教えてくれて、私は『はえー』と呆けた声を漏らした。
範囲攻撃は魔法使いの専売特許かと思っていたけど、全然そんなことないんだね。
「バリィちゃんっ!! あちきの素敵なところっ、見ててねん!!」
カマーマさんは自分の影が追い付かないほどの俊足で、拳を振り被りながらエンペラーペンギンに肉迫した。
そして、黒鉄の籠手に微かな光輝を宿し、目にも止まらぬ速さの十連撃を叩き込む。
「あれは──ッ!? カマーマのおっさん、複合技を使えるようになったのか……!!」
「う、うん? 今のが複合技だったんですか?」
「ああっ、間違いない!! 【強打】と【十連打】ってスキルを複合させやがった!!」
バリィさんは興奮しているけど、複合技なら私も簡単に使えるから、あんまり感動出来ないよ。
一応、高等テクニックらしいので、兵士たちも沸き立っている。
そんな複合技を腹部に食らったエンペラーペンギンは、口から虹色の吐瀉物を撒き散らしながら、呆気なく絶命した。
召喚されていたペンギン軍団は、エンペラーペンギンの死亡と共に消滅。これで、第五階層も無事に攻略出来たね。
「あはぁん!! バリィちゃんっ、あちきの雄姿はどうだったかしらん!?」
「驚愕の一言に尽きるな……。一体いつの間に、複合技を習得したんだ?」
「ついこの前、仕留め損なった奴がいたのよねぇ……。それで、ちょぉっとだけムキになって、ムキムキに鍛えちゃったのよん!」
カマーマさんはバリィさんの質問に答えてから、私にウィンクを飛ばしてきた。
多分、仕留め損なった奴って、ノワールと巨漢ゾンビのことだろうね。
「カマーマさん、ご苦労様です。それでは、ドロップアイテムを無視して、先へ進みましょう」
ツヴァイス殿下の指示に従って、私たちは再び歩き出した。
今までの階層よりも寒い場所だから、兵士たちを長居させたくないみたい。
お肉、魔石、レアドロップ。色々あるのに、捨てて行くなんて勿体ない。でも、仕方ないと割り切ろう。
そう思って、大きな水の魔石の真横を通り過ぎると──私のすぐ後ろから、ボリボリと音が聞こえてきた。誰かが何かを嚙み砕いている音だ。
振り返ってみると、ティラが無断で水の魔石を食べていたよ。
「ちょっ、何やってるの!? ペッてしなさい!! 進化しちゃったらどうするの!? 反抗期になっちゃうかもしれないんだよ!?」
私は大慌てでティラを止めようとしたけど、この子は珍しく──というか、初めて私の命令を無視して、あっという間に魔石を完食してしまった。
それ、エンペラーペンギンの魔石だからね……?
「クゥン……」
ティラは耳をペタンとさせながら、申し訳なさそうに鼻を擦り付けてくる。
これだけで、なんとなく気持ちを察してしまった。
十中八九、ここまでの道程で現れた魔物を見て、自分の力不足を痛感したんだと思う。
うーん……。私としても、進化させてあげたいのは山々なんだ。
でも、不確定要素を取り入れるタイミングって、どう考えても今じゃないよね。
無事に帰れたら、そのときに改めて考えよう。
「──到着しました。この先に、裏ボスが存在します」
ツヴァイス殿下はそう言って、透き通った氷の上に立つ。
よく見ると、その氷の下には、これまた氷の螺旋階段があったよ。
それから、殿下の近くには台座があって、七枚のメダルを嵌める窪みがあった。
殿下は懐から布袋を取り出して、その中に入っていた魔物メダルを一枚ずつ嵌めていく。
ペンギン、子供アザラシ、セイウチ、大人アザラシ、スノウベアー、マンモス、エンペラーペンギン。
これらの魔物メダルを全て嵌めると、螺旋階段を覆っていた氷が、緩やかに溶けて消えた。
「これって、魔物メダルを嵌めないと、消せない氷だったんですか?」
「ええ、その通りです。過去に色々な手段を試しましたが、掠り傷一つ付きませんでした」
ツヴァイス殿下は私の問い掛けに答えてから、背後の軍団に進行の合図を送る。
ここまでは楽勝だった。この分なら裏ボスだって、埒外の強さを持っている訳じゃなさそう。
……そんな風に、努めて楽観的に考えることで、私は肩の力を抜こうとした。
でも、一歩、また一歩と、螺旋階段を下りる度に、嫌な予感が胸の中で膨らんでいく。
逃げろ、逃げろって、生物としての根源的な部分が、訴え掛けてくるみたいだ。
バリィさんたちの顔色も、あんまりよくない。
この先に、一体何が待っているの……?
69
お気に入りに追加
464
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
公爵家御令嬢に転生?転生先の努力が報われる世界で可愛いもののために本気出します「えっ?私悪役令嬢なんですか?」
へたまろ
ファンタジー
ここは、とある恋愛ゲームの舞台……かもしれない場所。
主人公は、まったく情報を持たない前世の知識を持っただけの女性。
王子様との婚約、学園での青春、多くの苦難の末に……婚約破棄されて修道院に送られる女の子に転生したただの女性。
修道院に送られる途中で闇に屠られる、可哀そうな……やってたことを考えればさほど可哀そうでも……いや、罰が重すぎる程度の悪役令嬢に転生。
しかし、この女性はそういった予備知識を全く持ってなかった。
だから、そんな筋書きは全く関係なし。
レベルもスキルも魔法もある世界に転生したからにはやることは、一つ!
やれば結果が数字や能力で確実に出せる世界。
そんな世界に生まれ変わったら?
レベル上げ、やらいでか!
持って生まれたスキル?
全言語理解と、鑑定のみですが?
三種の神器?
初心者パック?
肝心の、空間収納が無いなんて……無いなら、努力でどうにかしてやろうじゃないか!
そう、その女性は恋愛ゲームより、王道派ファンタジー。
転生恋愛小説よりも、やりこみチートラノベの愛読者だった!
子供達大好き、みんな友達精神で周りを巻き込むお転婆お嬢様がここに爆誕。
この国の王子の婚約者で、悪役令嬢……らしい? かもしれない?
周囲の反応をよそに、今日もお嬢様は好き勝手やらかす。
周囲を混乱を巻き起こすお嬢様は、平穏無事に王妃になれるのか!
死亡フラグを回避できるのか!
そんなの関係ない!
私は、私の道を行く!
王子に恋しない悪役令嬢は、可愛いものを愛でつつやりたいことをする。
コメディエンヌな彼女の、生涯を綴った物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる