上 下
43 / 239
二章 子供たちの冒険編

43話 ブロンズミミック

しおりを挟む
 
 ──鮮やかな夕焼け空を見上げながら、私は新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んだ。無事に目的を達成したので、ダンジョンから出て来たところだよ。

 テイムしたブロ丸は、私の後を浮かびながら付いてくる。片やタクミは、手足もないのに飛び跳ねるという、なんだかシュールな移動方法で付いてくる。
 どっちも可愛さとは無縁だけど、早くも愛着が湧いてきた。家に帰ったら、沢山磨いてあげよう。

 ……まぁ、帰る前にやるべきことがあるんだよね。

 私はニュート様たちに連れられて、侯爵家のお屋敷へと向かうことになった。
 私がタクミから、気儘なペンギンの首飾りを取り出すときに、スイミィ様は私の隣にいたらしい。だから、彼女に立ち会って貰わないと。
 ちなみに、二人きりになるための作戦は、残念ながら思い付いていない。

「あの、少し気になったんですけど、スイミィ様がペンギンの装飾品セットを欲しがっている理由って、何かあるんですか?」

 道中、私はニュート様に何気ない質問をしてみた。
 マジックアイテムの装備枠を三つ分も埋めて、仲間ペンギンを任意で召喚出来るだけって、かなり微妙な効果だよ。
 スイミィ様は侯爵令嬢なんだし、もっと有用なマジックアイテムを買い与えて貰えると思う。

「ワタシとスイミィの母が、元冒険者でな……。まだ駆け出しの頃に、仲間ペンギンに命を救われた経験があるそうだ。それ以来、仲間ペンギンは一度も姿を現さないまま、母上は一流の冒険者になって装備を更新した」

「あっ、奇遇ですね! 私の友達も、仲間ペンギンに助けられていましたよ!」

「話の腰を折るな。それで、母上は父上と結婚して冒険者をやめた後も、仲間ペンギンにもう一度会いたいと言っていた。スイミィはその願いを叶えてやろうとしているんだ」

「な、なるほど、そんな事情が……」

 スイミィ様は自分が死の運命を背負っていて大変なのに、親孝行をしようとしているみたい。どうしよう、泣ける。
 前世の私なんて、なんの苦もなく生きていたのに、親孝行とは無縁だったよ。しかも、アラサーだったし……。幼女に人間性で負けているんだ。
 私が瞳を潤ませていると、アムネジアさんが遠い目をしながら、しみじみと話し始めた。

「お二人の母親、リリアさまは国一番の冒険者でしたねぇ……。なぁんと言ってもぉ、白金級まで上り詰めたドラゴンスレイヤーでしたからぁ」

「白金級!? しかも、ドラゴンスレイヤーって……」

 アムネジアさん曰く、ドラゴンとは生まれながらに、生態系の頂点に君臨するような種族だとか。
 それを討伐した人が侯爵夫人だなんて、私の貴族のイメージが崩れちゃう……。

 より詳しい話を聞いてみると、リリア様が討伐したのは『生命と業火を司る赤色のドラゴン』だって。
 万物に命を与える息吹と、万物を灰塵に帰す息吹。その二つだけが、赤色のドラゴンが持っているスキルだったらしい。
 スキルを二つしか持っていないのに、赤色のドラゴンはこの国の最難関ダンジョン、熱砂の大地のボスとして出現する。裏じゃなくて、表のね。

「ニュートさまが持っている剣があるでしょぉ? リリアさまはねぇ、あれでドラゴンを倒したんだよぉ」

「こ、こんなに細い剣で……?」

 私はアムネジアさんが教えてくれたことを半信半疑で捉えた。
 一刺しでゴーレムを瞬く間に凍らせていたから、強力なマジックアイテムだということは知っているよ。途轍もない存在感だってあるし。
 ……でも、ドラゴンを倒すには、流石に心許ないように見える。

 ドラゴンなんて実際に見たことないけど、その逆鱗を素材にして作られた道具、ドラゴンパウダーの威力は知っているんだ。
 あれを鑑みるに、ドラゴンって常軌を逸した魔物なんじゃないかな。
 それに、きっと物凄く大きいだろうから、人間が使う細剣なんて、蚊の吻みたいなものだよね。

 頭の中でそんなことを考えながら、私が細剣に不躾な目を向けていると、

「アーシャ、気になるのならステホを使え。撮影を許す」 

 ニュート様が許可してくれたので、私はいそいそとステホを取り出して、パシャっと撮影した。
 このマジックアイテムの名前は『一刺しの凍土』で、その効果は突き刺した対象を凍結状態にするというもの。更に、氷属性のスキルの威力が三倍になるという、とんでもない効果まで備わっている。
 今までにステホで調べたことがあるマジックアイテムとは違って、これには伝説なるものまで表示されているよ。

『穏やかな気候の地域に、百年間も存在した極寒の凍土。その中心に突き刺さっていたのは、今にも折れそうな美しい細剣だった』

 うん、なんか凄そう……。伝説級の装備、みたいな扱いなのかも。
 一刺しで凍結するのは知っていたけど、スキルを強化する効果まで備わっているとは思わなかった。
 単一のスキルじゃなくて、全ての氷属性のスキルを強化するというのが、シンプルに強いよね。

「ありがとうございます、ニュート様。目の保養になりました」

「そうか。……ワタシはいつか、この剣を使って、母上に並びたいんだ」

「え……? 並ぶって、もしかして……ドラゴンを倒しに行くつもりですか?」

「……いや、口が滑ったな。忘れてくれ。侯爵家の嫡男であるワタシには、叶わぬ望みだ」

 ニュート様は頭を振って、小さく溜息を吐いた。
 将来的に侯爵家を継ぐ人間が、ドラゴン退治へ赴くなんて許されないよね。
 家出でもすれば、挑むことは叶うかもしれないけど、彼はそんな無責任な人間には見えない。良くも悪くも、貴族らしい子だから。

 ──しばらく歩いた後、私たちは街の中央にある侯爵家のお屋敷に到着した。
 それは荘厳かつ気品のある建物で、お城みたいに大きい。敷地も広くて、数千人規模の騎士団が駐屯出来ると思う。自然公園がそのまま庭になっている感じだよ。

「お貴族様のお屋敷に上がるのは、初めての経験なのですが、何か気を付けるべきことはありますか……?」

「常識の範疇で振る舞えば、凡そは問題ない。多少の無礼は見て見ぬ振りをしてやるから、そう案ずるな」

 ニュート様が私を安心させようとしてくれたけど、彼が言う常識って、貴族にとっての常識だったりしない?
 私の一挙手一投足が、不敬罪で死刑になる可能性をはらんでいる。そう考えると、足が小鹿みたいに震えてきた。

 ……まぁ、それでも、ここまで来て『日を改めましょう!』とは言えないよね。
 過度に怯えると、それはそれで失礼だと思われそうだし、覚悟を決めるしかない。私はニュート様の三歩後ろを歩いて、出来るだけ上品に見えるよう、背筋をスッと伸ばした。
 そして、すまし顔をしながら、お屋敷の中に足を踏み入れる。

 内心はビクビクしたままだけど、窓硝子に映る私の姿は、そう悪いものじゃない。
 屋敷の廊下には毛が高い絨毯が敷かれていて、所々に壺や絵画なんかの美術品が、鬱陶しくならない程度に飾られている。
 こ、こんなところで粗相をしたら、終わるね……。私の第二の人生が、早々に終わっちゃうよ……。

「それじゃぁ、僕はお暇させて貰うねぇ。さよぉならぁ」

「俺もここまでだな。騎士団の方に、顔を出さなきゃならん」

 アムネジアさんとガルムさんが護衛の任務を終わらせて、途中で別れることになった。

「お二人とも、本日は誠にありがとうございました」

 私は丁寧に腰を折り曲げて、深い感謝を示しておく。
 モーブさんとジミィさんは引き続き、ニュート様の護衛に就くみたい。
 この後、私たちは屋敷の中をそれなりに歩いて、スイミィ様の部屋に到着した。

 ニュート様がコンコンと扉をノックすると、スイミィ様のお付きのメイドさんが扉を開けて、私たちを招き入れてくれた。
 室内に入って、私は少し驚いたよ。
 侯爵令嬢の自室なんだから、無駄に華美なのかと思ったけど、広い部屋に天蓋付きのベッドがぽつんと置いてあるだけ……。本当に、それ以外のものが見当たらない。

「……おかえり、兄さま。ようこそ、姉さま」

「ああ、戻ったぞ」

「お邪魔します。……あの、スイミィ様。もしかして、姉さまって私のことですか?」

 私はただの庶民だから、侯爵令嬢に姉呼ばわりされるのは恐れ多い。誰を不快にさせるか分からないし、背中に冷や汗を掻いちゃった。
 スイミィ様は少しだけ目尻を下げながら、おずおずと私に是非を問う。

「……そう、姉さま。スイ、姉さまが欲しかった。……ダメ?」

 無表情な彼女の顔が、それだけで物凄く悲しげに見える。ここで駄目だなんて、口が裂けても言えないよ。

「わ、私も妹が欲しかったので、嬉しいです……」

「……姉さま、ありがと」

 どうやら、私はこの子に懐かれたみたい。
 本当に妹が欲しかった訳じゃないけど、別に悪い気はしないかな。……まさかとは思うけど、私が義理の姉になった夢とか、見てないよね?
 私の将来の夫疑惑が浮上したニュート様が、スイミィ様に不満げな眼差しを向けて、小さく鼻を鳴らした。

「フン、兄は不要か?」

「……ちがう。兄さまと姉さま、別腹だから」

 甘いものは別腹、みたいなニュアンスだね。
 ニュート様がちょっとだけ拗ねちゃったから、話題を変えよう。

「あの、部屋にベッドしか見当たりませんけど、他の家具は置かないんですか?」

「……立つ鳥、跡を濁さず」

「お、おふぅ……。なんか、すみません……」

 立ち去る者は、跡が見苦しくないよう始末してから、出立するべき。
 そんな戒めの言葉をスイミィ様の口から聞くと、かなり気まずくなる。
 それって、いつ死んでもいいように、準備しているってことだもんね……?

 この話題は駄目だ。というか、これ以上余計なお喋りをすると、次にどんな地雷を踏んでしまうか分からない。
 これは早いところ、目的を果たすのが吉かな。

「えっと、それでは……早速ですが、従魔にお宝を作って貰おうと思います。スイミィ様、私の隣に立ってください」

「……ワクワク、ドキドキ」

 スイミィ様は自分の口から出す擬音で、興奮していることをアピールした。けど、無表情でジト目のままだよ。

「タクミ、お願い。お宝を作って」

 私はスキル【魔力共有】を使って、タクミに魔力を分け与えた。
 タクミは自分が唯一持っているスキル【宝物生成】を使って、蓋──もとい、口をモゴモゴさせる。

 ……ああ、魔力がぐんぐん吸い取られて、段々眠くなってきたよ。お宝を一つ作るだけでも、かなりの消耗を強いられるね。
 完成した頃には、寝落ち寸前の状態になってしまったけど、私は気力を振り絞って、タクミの中からお宝を取り出す。

 それは、ペンギンを模した青い石があしらわれている首飾り。スイミィ様が夢で見たものと同じ、気儘なペンギンの首飾りだった。
 後は耳飾りさえあれば、セット効果が発揮される。それはフィオナちゃんから、借りられるかもしれない──と、そのことを伝える前に、私は深い眠りに落ちた。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

引きこもり転生エルフ、仕方なく旅に出る

Greis
ファンタジー
旧題:引きこもり転生エルフ、強制的に旅に出される ・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。 実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。 ※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

処理中です...