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第2章
第十六話 侍女は行く そして
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「私のことはこれから カナタ とお呼びください!」
旅立つ目の前の侍女は誇らしげに語った。
旧フローレンシアはアーカンソー家での侍女として生まれ変わった。長い黒髪で、東洋人の血が混じっているという、その侍女の名前でこれから生きていくのだ。
「あっちにいっても定期的に報告にきなさい。霊体のほうがいいわね。怪しまれるのは得策じゃないからね」
「はい!」
彼女と再会してから3日間。カナタからロウ家の人間関係、歴史、現在の状況など、今後の振る舞いに必要な情報を交換した。私の出自を伝えると、彼女はびっくりしていた。ここと違う世界があるのかと・・・打算なく素直に喜ぶ彼女のことは大分好ましく思うようになっていた。
「それでは いってきまーす!」
いつまでも手を振る彼女に、私は小さく手を振り返した。
それからの私は、いままで手がつけられていなかった裁判関係の雑事を速やかにこなした。犬の小競り合いに始まり、夫婦喧嘩、万引き、騒音問題etc
小事、中事、大事、すべてのいざこざがロウ家に舞い込んでくる。これを処理しきるのは普通の人間では不可能だ。でもそこはほら 私ならね・・・
裁判をしていて気づくのはやはりというべきか、いわゆる庶民のいざこざがほとんどである。
ロウ家の力が衰えていたためか、貴族の犯した罪は見逃されてきたのだ。それが庶民の不満に変わり、そして、あの騒動で爆発したわけだ。まぁ爆発させたんだけど・・・・
「さて・・・まずは、獲物がかかるのをじっと待つか・・・」
不謹慎ではあるが、ロウ家の意向を大きく示せるような大きな事件が起こることを私は祈った。
旅立つ目の前の侍女は誇らしげに語った。
旧フローレンシアはアーカンソー家での侍女として生まれ変わった。長い黒髪で、東洋人の血が混じっているという、その侍女の名前でこれから生きていくのだ。
「あっちにいっても定期的に報告にきなさい。霊体のほうがいいわね。怪しまれるのは得策じゃないからね」
「はい!」
彼女と再会してから3日間。カナタからロウ家の人間関係、歴史、現在の状況など、今後の振る舞いに必要な情報を交換した。私の出自を伝えると、彼女はびっくりしていた。ここと違う世界があるのかと・・・打算なく素直に喜ぶ彼女のことは大分好ましく思うようになっていた。
「それでは いってきまーす!」
いつまでも手を振る彼女に、私は小さく手を振り返した。
それからの私は、いままで手がつけられていなかった裁判関係の雑事を速やかにこなした。犬の小競り合いに始まり、夫婦喧嘩、万引き、騒音問題etc
小事、中事、大事、すべてのいざこざがロウ家に舞い込んでくる。これを処理しきるのは普通の人間では不可能だ。でもそこはほら 私ならね・・・
裁判をしていて気づくのはやはりというべきか、いわゆる庶民のいざこざがほとんどである。
ロウ家の力が衰えていたためか、貴族の犯した罪は見逃されてきたのだ。それが庶民の不満に変わり、そして、あの騒動で爆発したわけだ。まぁ爆発させたんだけど・・・・
「さて・・・まずは、獲物がかかるのをじっと待つか・・・」
不謹慎ではあるが、ロウ家の意向を大きく示せるような大きな事件が起こることを私は祈った。
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