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第2章

第十四話 フローレンシアの過去③

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国民からも不満が出始めた。それを統制できない責任は当然、当主になった私に向けられた。両親がなくなって半年間で、犯罪件数は昨年より倍増したとのこと。


何かが裏で進行しているのを感じる。しかしどうすることもできない。見知った人も、友人も、全て敵に見える。


弱った私はニーズ家との縁談話に乗ってしまった。


今思えば、ニーズ家とロウ家が繋がり、権力を集中させる狙いなのはよく分かる。しかしその時の私はわからなくなっていた。とにかく味方がほしかった。

しかし、いざ縁談の席について私に叩きつけられたのは婚姻届、そしてあちら側が用意した


【私の遺言状】


であった。
友人と思っていた2人の醜悪な笑顔。婚約者になる予定だった人、今後私のすべてを捧げようと決意した人、共に歩みたかった、味方になってほしかった人が、もはや怪物にしかみえなかった。


遺言状の中身などどうでもいい。2人の話も入ってこなかった。


紅茶を飲めば死ぬこと以外は・・・・・


「私は!アールのこともちょっといいかな?って!でもデルフィに遠慮してって!ちょっとチャンスかなって!そしたら死ねって!そんな話!そんな話!」
冷静に話を進めていた彼女は下を向いてぼたぼたと涙を流す。その表情には先程の天真爛漫さはなく、グシャグシャに曇っていた。

「ごめんね 私の配慮が足りなかったわね」

フローレンシアは間をおかず、彼女を強く抱きしめた。彼女の身体はまるで弱りきった子犬のようにふるえていた。
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