神様への生贄って泣くべきなんですか?

卯月終

文字の大きさ
上 下
16 / 17
第ニ章 繋がり

作戦開始!!

しおりを挟む
「よし、やるか。」

「うんうん、やろー、やろ。」

「何を、ですか?」

「料理ー。朝ごはん作らないとでしょ。」

「もう、朝?」

「まだだけど。」

そっけないというか、誤魔化すの上手いな。
ツンケンしてるのはいつも通りだが…。

なら何で?と言わんばかりに首を傾げて 
こちらを見る少女が一名。

「犬みたい。」

「犬?」

声に出ていたらしい。

「首の傾げ方、犬みたいだぞ。」

「初めて言われました。」

似てるぞ。首の傾げ方以外にも色々と……。

「人間は群れる生き物だからね。」
耳元で由梨が呟く。

まぁ、犬も群れで行動するが…

「てか、朝ごはん作ろうよー。」

「あぁ、そうだな。」

「私も手伝います。」

「いや、大丈夫だ。
身体、怠いだろ。」

「そんなこと…」



「結愛!!」

後ろに倒れる身体を支える。
返事がない。意識がない。

神気しんきに当てられたかなぁ。大丈夫そう?」

興味なさそうに由梨が聞いてくる。

「そうだろうな。顔色悪かったし。」

「神贄にはもってこいだよね。
それだけ敏感な子は。」

「そうだな。」
神気に弱いと生きづらい。
人間ひとにとってはとんだ迷惑なんだろう。
だが、俺たち神にとっては違う。
神気に当てられやすい人間はそれだけ敏感で希少で…
何よりそそられる。

「だからかもな。」

「あぁ、贄として捧げられたこと?」

由梨は察しがいいな。

ふふ。由梨が笑う。

「贄にはもってこい。
神気に当てられやすいのは迷惑。邪魔。
神を引き寄せるなんて…
そう。やつらは嫌う存在。

でも、神が好くならと生贄として捧げられる。
脆くて儚い敏感な子供。
純粋で無垢で僕たちにとって都合の良い餌。

自分達にとっては邪魔で忌み嫌う存在が、
神のためになるなら、と。
大義名分を掲げて……。
僕たちを理由にして嫌いなもの
押し付けてるだけだよね。
ほんと、いい迷惑。」

「同意見だな。さっさと滅そうぜ、あんな村。」

「了解!」
満面の笑みとともに発せられる言葉ほど
怖いものはないな。




「そういえば、昔、誰か言ってたよね。」

「何を?」

「『そんなんただの好き嫌いじゃん。
好き嫌いは良くないよ。』って。」

誰だっけ?
そう笑いながら由梨が聞いてくる。

覚えていないのか、忘れようとしているのか。
この場合はどう返すべきか。

『私のこと、忘れるの?無かったことにするの?
大好きって言ってくれたじゃん。馬鹿』

幻聴だな。あれがいる訳ない。
あの子はあの子供は………。

「玲雅?」

「あぁ、悪い。
俺も忘れちまった。」

『嘘つき。』

『嘘つきは泥棒の始まりなんだからね!』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

三度目の嘘つき

豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」 「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」 なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました

さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。 私との約束なんかなかったかのように… それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。 そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね… 分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...