神様への生贄って泣くべきなんですか?

卯月終

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第ニ章 繋がり

掃除はいつにしようか…?

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「まだ続きがあるんだよね。」

まだあるのかよ。

「生贄に捧げられることが決まった結愛ちゃんに
結愛ちゃんの両親も村人も全員、口を揃えて

『神様の生贄に選ばれる事は名誉である。
素晴らしい事なのだ。』

って言ったらしいよ。」

そんな訳ないよね。
と由梨が続けて言った。
まったくその通りだ。
生贄に選ばれることが名誉?素晴らしい?
そんな訳ないだろ。
死ぬんだぞ。あんなのはただの犠牲だ。死だ。

「自分達を正当化する為か…。」

「それか、自分が生贄になることを避けるためもね。」

「どっちにしろ最低だな。」
「最低だね。」


沈黙が流れる。


「ゴミは捨てなきゃね。」
沈黙を破ったのは由梨が笑顔で発した
その一言だった。

「あぁ。
あいつらが俺を神だというならば、
神に天罰を下されるのは当たり前だよな。」

「ゴミの日っていつだっけ?」

「いつでもいいんじゃないか?
今は昔と違ってゴミ処理もしやすいし。」

「そっかー。
うん、そうだね。
なるべく環境に優しい方法を考えなきゃね。」

パチンと片目を瞑ってニコッと笑っても言ってる事、
可愛くないぞ。
というか、誰に対してのものだ?

「あぁ、そうだな。」

「うーん、どんな方が環境に、
ってそうじゃない!!」

「どうかしたか?」

「玲雅の馬鹿!反応薄すぎ!
折角、きめたのにー。」

「何をだ?」

「えっ、まさか、分からなかったの!?」

コレだよコレと言いながらまた片目を瞑っている。

「?」

「むー、玲雅って乙女心分かってない!!」

「お前は男だろうが。」

「でも、僕可愛いもん。」

「普段は可愛いって言われたらキレてるくせに。」

「玲雅は特別だもん。
むしろ玲雅には可愛いって言って欲しい。」

「あぁ、はいはい。
由梨は可愛いですよ。」

「もっと感情込めて!」

「由梨は本当、可愛いよな。」

「えっ、なんか違う。
玲雅の雰囲気に合わない。」

「お前がやれって言ったんだろうが!」

「わぁ、ごめんごめん。
あっ、えっとありがとね。」

はぁ、何なんだこの茶番劇は。

「じゃあ、本題に戻ろうか。」

相変わらず、すごい変わりよう。

「ゴミ処理手段としては焼却や埋め立てが
一般的だよな。」

「うんうん。
でも、それだとつまんないよねー。」

「だったら?」

「例えば、放置しちゃうとか?」

「…、全然環境に優しくないだろっ!」

「えー、駄目かー。
いい考えだと思ったんだけどなぁ。
見せしめにもなるし…。」

誰だよ、さっき環境に優しい方法考えなきゃとか
言ったやつは。

はぁ、なんか疲れるな。
まぁ、いつも通りというか何というか…。


ベッドの方を見る。

結愛は……寝てるな。
良かった、良かった。
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