神様への生贄って泣くべきなんですか?

卯月終

文字の大きさ
上 下
6 / 17
第一章 出会い

たまには、平穏な時間を。

しおりを挟む
コツコツコツコツ。

廊下を歩き続ける。

「あの…」

「うん?どうかしたか?」

「何で私を殺さなかったんですか?
私は生贄なのに…」


……それを聞くか。
「逆に聞くが、結愛は殺されたかったのか?
もし、そうなら…」

「違います。殺されたくなんてないです。」

「だったら、何で?」

「気になったからです。」

「そうか。」

殺さなかった理由か…

「ただ単に、興味が湧いたからな。」

「興味⁇」

「あぁ。命乞いをするでもなく、
逃げようとするでもなく、
ただ少し泣きそうな目をしていた結愛に。」

訳がわからないって顔をしてるな。

「言っただろ。神は長生きだって。
飽きるんだよな。同じことの繰り返し。」

「だが、結愛は違った。
だから、生かすことにした。」

俺のオモチャとして、な。

ビクッとしたな。
やはり勘がいいな。

「そうだったんですね。
納得しました。」

ニコッと笑っているが作り笑いなのが丸わかりだぞ。
こんな時まで、無理してでも笑うとはな。

「おっと。着いたぞ。」

「どこにですか?」

「寝室だ。」

ガチャ。

「わぁ、綺麗。」

「入っていいぞ。」

「あ、ありがとうございます。
お邪魔します。」

やはり、礼儀正しいな。

「大きなベッドだー!!」

さっきまでとは打って変わって、楽しそうだな。

「ここが、今日から結愛が暮らす部屋だ。」

「わぁ、やったー!」

本当に楽しそうに笑うんだな。
こうしているとまだまだ子供なんだよな。

「あれ?ベッドが大きい?」

「あぁ。俺も寝るからな。」

「えっ?え、え、えーーーーーっ!?」

「驚きすぎだぞ。」

「れ、玲雅さんと同じお部屋?同じベッド?」

「あぁ。」
そうじゃないと監視できないからな。

「き、緊張してきました。」

「別に何かするわけじゃないからな。」
まぁ、監視はするが。

「で、でも神様と一緒に…
私、寝相とか大丈夫かな?失礼なことないなよね?
大丈夫だよね?」

「別に、寝相くらい気にしないから安心しろ。」

「玲雅さんが気になされなくても
私が気にします。です。」

「日本語がおかしくなっているぞ。」

「あ、えっと…」

「ククッ、クククッ、アッハッハ」

「笑うなんて……」

「いやー、悪い悪い。可笑しくて、ハハハ…」


「ふぅ。笑った笑った。」

「そんなに怒らなくてもいいだろ。」

「むーー。」

「悪かったって。フフ。」

「また、笑ってるー。」

「いや、だって。」
笑うだろ。こんなに面白かったら。

「ほら、お菓子でも食べて機嫌、直せよ。」
飴を渡す。

「むー。」
拗ねながらも食べるんだな。

「美味しい!」

機嫌も直ったようだし、
「良かった。」

「ありがとうございます。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

三度目の嘘つき

豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」 「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」 なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

殿下の御心のままに。

cyaru
恋愛
王太子アルフレッドは呟くようにアンカソン公爵家の令嬢ツェツィーリアに告げた。 アルフレッドの側近カレドウス(宰相子息)が婚姻の礼を目前に令嬢側から婚約破棄されてしまった。 「運命の出会い」をしたという平民女性に傾倒した挙句、子を成したという。 激怒した宰相はカレドウスを廃嫡。だがカレドウスは「幸せだ」と言った。 身分を棄てることも厭わないと思えるほどの激情はアルフレッドは経験した事がなかった。 その日からアルフレッドは思う事があったのだと告げた。 「恋をしてみたい。運命の出会いと言うのは生涯に一度あるかないかと聞く。だから――」 ツェツィーリアは一瞬、貴族の仮面が取れた。しかし直ぐに微笑んだ。 ※後半は騎士がデレますがイラっとする展開もあります。 ※シリアスな話っぽいですが気のせいです。 ※エグくてゲロいざまぁはないと思いますが作者判断ですのでご留意ください  (基本血は出ないと思いますが鼻血は出るかも知れません) ※作者の勝手な設定の為こうではないか、あぁではないかと言う一般的な物とは似て非なると考えて下さい ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※作者都合のご都合主義、創作の話です。至って真面目に書いています。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

処理中です...