神様への生贄って泣くべきなんですか?

卯月終

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第一章 出会い

どうも、殺されかけました。1-1

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「さてさて、お姫さんの部屋はどうするかね。」
逃げはしなさそうだし、
地下牢に閉じ込める必要はないか。
ひとまず、応接室に

「お帰りー、玲雅。」 

「おっと、由梨か。抱きついてくるなよ。」

「えー、ひどいよー。僕、玲雅の事
、待ってたんだよ。」

「そんなに待たせてないだろ。」

なんか視線を感じるな。
隣を見るとお姫さんが俺と由梨の顔を交互に見ていた。
危ない、危ない、お姫さんの存在を忘れていた。

「こいつは、由梨。まぁ、同居人みたいなもんだ。」

「可愛い。」

まぁ、由梨は小柄で可愛い方だからな。
中性的な見た目してるし。

「ねぇ、ねぇ、玲雅ー、その子何?
新しい玩具?それとも餌?」

「生贄だよ。」

「あー。そういえば、そんな時期だっけ。
でも珍しいね。玲雅が生贄を連れて帰るなんて。
何、何ー。
もしかして、たっぷり遊んでから頂くとか?」

「んな訳ねぇだろ。由梨じゃないんだから。
そんな悪趣味な事するかよ。」

「えー、悪趣味じゃないもん。」

「希望を持たせて、それをズタズタにして
絶望させるなんて、充分悪趣味だろ。」

「……まぁ、その話は今はいいや。
で、なんで連れて帰ってきたの?
好みじゃないとか?
もしそうなら、僕にちょうだい。
その子、とってもそそられるんだよね。」

「ちっ。興味が湧いたからだよ。」

「えっ、玲雅が!?熱でもあるの?」

「悪いかよ。熱はねぇし。」

ピタッとおでこに手を当ててくる。

「本当だ。それなら変なもの食べたとか?」

「変なものも食べてねぇ。」

「えーー。」

「とにかく、こいつは俺のだ。
だから、手出すなよ、由梨。」

「むーーー。」

「お姫さん、待たせて悪かったな。
お姫さんの部屋に案内するな。」

「僕は⁈僕も待ってたんだよ。」

「由梨はもう少し待っとけ。」

「酷っ、酷いよ。玲雅の玲雅の馬鹿ー。」

「行くか。」

「えっ、由梨さん?はいいんですか?」

「あぁ、構わん。あれは嘘泣きだしな。
いつもの事だ。」

「ふーん。僕より、そんなのが、
人間風情が大切なんだ。」

「由梨、どうかしたか?」
何か言ったのか?聞いていなかった。

「それなら!!」

由梨がナイフを片手に向かってくる。
狙いは、お姫さんか。

「危ない!」

「えっ、きゃっ。」

ザクっ。

「な、何で、玲雅が…」

「神様?手から血が。」

「あっ、嫌、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
玲雅を怪我させる気なんて…何で、何で、何で…」

「ごめんなさい。私のせいで。」

「お姫さんのせいじゃないさ、悪いのは俺たちの方だ。
お姫さんが気にする事じゃないさ。」

「だけど、血が…」

「こんなもん直ぐに治るさ。」

「それより、由梨。」

「は、はい!」

「どう言うことか説明してもらおうか。」

「………」
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