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第3章 悪魔契約
休息と夢。
しおりを挟む何か大切なことを忘れてしまったような…
胸にぽっかり穴が空いたわけではない。
ただ、少しだけ違和感を感じる。
いや、今に始まった事ではない。
昔からそうだった。
何か大切なことを忘れているような、
自分の居場所がここではないような…
両親は優しいし周りの人も優しい。
なのにそれが怖かった。
怖くて怖くて仕方なかった。
いつか壊れてしまう気がして、
全て夢な気がして。
もし夢なら終わらないで、壊さないで
何度そう願っただろうか。
羨ましかった。憧れた。
何の不安もなく生きていける日々に。
もしかしたら、そんなものは理想論でしかない、
存在するはずがない。
存在したとしても良いとは思わない。
そう言う人もいるかもしれない。
それでも私は望んだ。
例え理想でも存在しなくても望むことは出来るから。
その願いは多分叶っていない。
叶っていたらこんなに不安になるはずが
ないのだから。
これは私の理想?私の夢?私の願い?
それとも私の創り出した幻覚?
段々、景色が歪む。
先程見た親子の姿も何もかもが歪む。
ドロドロに混ざっていく。
そして視界が真っ暗になった。
❖❖❖❖❖
「う、うーん…」
「魘されてる?」
「多分そうだな。」
「やっぱりそうだよね、
ほんと、フィオリアちゃんに何したわけ?」
「監禁?」
「今じゃないよ。
攫ってくるより前の話。」
「あぁ、俺は特に何も。
邪魔な奴等を切っただけだ。」
「うっわー、何やってるんだよ。」
「まぁ、娘がいるなんて知らなかったんだよ。
というか彼奴らに娘なんていないはずだ。」
「なら。養子とか?」
「いや、それもない。
少なくとも記録にはないから
本当の娘ではないのだろう。
大方、孤児を引き取っただの、拾っただの。
そんなんだろうな。
まぁ、フィオリアにその記憶はないんだろうが。」
「あぁー、なるほどね。
魔族に親を殺されたとかそういうのか。」
「多分な。」
「それなら納得。フィオリアちゃんの必要以上に
怯えていたのも精神的なもの、つまりは癒えない
心の傷って訳か。」
「そうだろうな。」
「あっ。
一個気になってたんだけどさ、
見た目とか違うなら気付かない?」
「あー、全然。
というかこっち来てから気づいた。」
「レヴィーにしては……珍しいね。
血の匂いとか、魂の感じとか勘とか
感覚的に分かりそうなのに。」
「いや、情けないんだが一切。」
「ふーん。
それだけ凄いのかな、あの精霊くん。
レヴィーで遊ぶくらいだし。きっと……」
ちっ。
「うわー、こわいこわい。」
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