私、美味しくありません!!

卯月終

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第3章 悪魔契約

代償と支払い。

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覚悟?そんなものある訳ないでしょーー!!

「よくない。」 

「覚悟はまだ出来ていないのか?
もう大分待ったぞ。」

そんな直ぐに出来るわけ…。
ううん、一生出来ない、出来るわけない。

「覚悟が出来るまで待ってやってもいいが、」

本当に!?

「その代わり代償増やすぞ。」

そんなの永遠に断り続ければ何とか。

「あぁ、言っとくが断り続けても無駄だからな。」

か、かんが、読んだの?

「人を死なせないように、ずっと生かすのなんて
簡単だからな。同じく殺すのも、な。」

そんな、そんなのって…。

「それで、どうする?」

「どうするって、何を?」

「覚悟を決めて大人しく代償を払うか?
それともまた今度、代償を沢山払うか?
さぁ、どうする?」

どうしよう。
私、どうしたら…。

「チッ。やっぱ面倒くせぇーな。」

きゃっ。

「痛っ!」

肩を掴んで思いっきり押し倒された。
こっちは怪我人なんですけど。

「やっぱり、まどろっこしいのは性に合わねぇな。」

身体が動かせない。
頑張れば何とかなるかもしれないが、首が……。

「さぁ、覚悟はいいか?
はい以外の返事は聞かないからな。」

「無言も肯定とみなすぞ。
別に抵抗しても何も変わらないがな。」

「契約の代償として、
おまえ自身をもらうぞ。」

わ、た、し?

「あぁ。魂だけじゃない。
その細い体もその茶色い瞳も全てを捧げろ。」

ビクッ。ガクッ。
身体が自分の意思とは関係なく震える。
嫌だ。そう言いたいのに恐怖で声が出ない。
抵抗したいのに身体に力が入らない。

「まぁ、もちろんその魂も大切なのだがな。
透明で透き通っていて、そそられる。」

透明?透き通っている?何が?魂が?
魂に色があるの?
気になることはいくらでもあるのに声が出ない。

「ここまでそそられたのは初めてだ。
誰にも渡さない。逃がさない。」

怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
嫌だ。助けて。会いたいよ。みんなに。

「あぁ、そうだ。」

耳元で話されるとなんだかくすぐったい。

「フィオリア、お前を閉じ込めるのも、
身体を壊して動けなくするのも、心を壊すのも
俺たちにとっては雑作もないことだからな。
忘れるなよ。」

頬が熱い?
頬に何かが伝わるのを感じる。

すっと手が伸びてきて目元に触れる。

「本当、静かだな。
わぁわぁと喚かれると迷惑だからこの方が楽でいいが。
あまり暴れるなよ。傷口が開く。」

そんなに釘を刺さなくても、いまは暴れてない。
抵抗したくても身体が動かない。

首筋に温かいものを感じて、ようやく気づいた。
私、泣いてるんだ。

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