私、美味しくありません!!

卯月終

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第3章 悪魔契約

失敗とやり直し。

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少しだけ見慣れた黒い天井。それから鉄格子。
リーファ……。

「起きたか?」

ゆっくりと身体を起こす。
手を貸してくれた。
少し、手錠のせいで不自由だが…。

「ありがとうございます。」

一応、お礼は言ってみた。
どうせなら、これも外してくれればいいのに。

「別に。
ところで、そのペンダントはどこで手に入れた?」

「何で、そんなこと気にするんですか?」

「気になったからだ。」

そんなの理由になってない!
そう、抗議したかった。が、出来なかった。
目の前の人、いや、悪魔が殺気を孕んだ目で
こっちを睨んでいたからだ。
私は睨まれる謂れなど無いんだけど……。

「お母様がくれました。」

「そうか。フィオリアの親はハンターだったか。」

何で知ってるの!?
身内以外はほとんど知らないはずなのに…。

「何で知ってるのかって顔だな。
有名だぞ。フィオリアの親。魔界でな。」

そうだったんだ。

「悪魔を超える力をもつ人間なんて珍しいからな。
たとえ、ハンターだろうと中々いない。」


あれ?その事とペンダントに何の関係があるの?

「本当に邪魔だな。」

何か言ったのかな?よく聞こえなかったけど…
首を傾げていると、

「まぁ、契約初めからやり直すか。」

「えっ。」

何で…?

「さっきは邪魔されたからな。
今度は邪魔が入らないように。」

カチャン。

あっ、ペンダントが……!
「返して!!」

「断る。契約が完了するまでは
こっちで預かっておく。」

「返して!」

そう言いながら手を伸ばそうとするが、
届かない。いや、手が動かせなかった。
ジタバタともがく。

「痛っ。」

手首に鋭い痛みが疾った。
手錠で切ったのだろうか。

「安心しろ。契約が終わったらペンダントは返す。
それより、大人しくしとけ。
余計な怪我が増えるぞ。」

そんなの知らない。
ジタバタジタバタともがく。
手錠が外れることを祈って…。

「チッ。契約始めるぞ。」

パチンと指が鳴った。
部屋が少し暗くなったように感じる。
ぶるっ。
寒気もする。

「魔法陣はいい感じだな。」

魔法陣!?ど、どこに!?
キョロキョロとあたりを見回す。

「魔法陣ならここだ。」

その視線の先を見る。
ベッドの上に真っ赤な血の様な色でかかれた
魔法陣があった。
さっきまでこんなもの無かったはずなのに。
いつの間に…。

魔法は丁度私の胴を含む大きさだった。

魔法陣が段々空中に浮いてくる。
ベッドの上にもまだ魔法陣はあるから
移動したわけではないらしい。

魔法陣の動きが止まった。
少し赤い光が見える。

「うっ。」
急に胸のあたりに痛みを感じた。
苦しい。息が出来ない。
体が鉛の様に重たい…。
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