私、美味しくありません!!

卯月終

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第1章 痛み

胃が痛いです。

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ガチャ
扉の開く音がした。


❖❖❖❖❖


「だ、誰?」
「よっ!初めまして、お嬢ちゃん」
ジーっと観察してみるが見覚えはない。
だが、私はこの声を知っている。気がする。
確か…

「なぁ、レヴィー、お前何やってんだ。」
レヴィー?誰かいるの?

「別に、何も。」
「はぁ、お前なぁ。」

コツコツコツコツ。

ビクッ。何だろう。この人、怖い……

「よう、お人形ちゃん、よく、眠れたか?」

「……」
お人形って私の事!?
そんな風に呼ばれる謂れはないんだけど……
下手に反論して、何かされても困るし、どうしたら良いの。

「あ、えっ、えっと」

「おい、その子が怯えてるぞ。女の子泣かせてどうすんだよ。」

私、泣いて……泣いているの?

「悪いな、あいつが怯えさせちまったみたいで」

「ところで、お嬢ちゃん、名前は?」

名前?何で誘拐犯の一味と思われる人にそんな事言わなきゃいけないの。絶対にイヤ。

「……」

「じゃあ、俺から自己紹介するな。」

勝手にすれば。私はしないけど。

「俺はシオリア=ハールだ。宜しくな」

「ほら、レヴィーもしろよ」

「レヴィレス=リーアル」

冷たい視線に身体が震えた。
やっぱりこの人怖い……


❖❖❖❖❖


ふーん、起きてたんだ。
レヴィーは……興味なさそうだな。自分が攫ったくせに。

おっと。大分、怯えているな。
まぁ、そりゃ怖いよな。

名前、言う気はなしか。

なら、俺から言うか……


❖❖❖❖❖


華奢だよなぁ。それに怯えて縮こまっている.
出会い頭に殺そうとしてくる、
あいつら、ハンターとは大違い。

さて、さて、どうするかなぁ。
別に殺してもよかったんだが……

「はぁ、面倒なの拾ったか。」


「名乗る気がないならそれでもいいがーー」

カチャリと音を鳴らしながらナイフを開く。

「なぁ、どうする? お人形」


❖❖❖❖❖


ナイフ!?
私、殺されるの!?こんな、誰かもわからない人たちに……
そんなの嫌! でも、誘拐犯相手に名乗るのも。

偽名を名乗ろうか、それとも本名を言おうか……流石に名乗らないと怖いし……どうしよう。

ギロリとまた睨まれた。
怖い……

「フィ」

「フィ?」

「フィオリア=シェイルです」


❖❖❖❖❖


ん?あいつらの苗字は確か、
レヴィアだったよな。

どう言う事だ?

目の前の少女、フィオリアをじっと見る。
あいつらと雰囲気や髪、目の色が違うよな。


❖❖❖❖❖


ヒック、ヒック。声にならない嗚咽が止まらない。
怖いよ。お父様、お母様。
誰か、助けて。

緊張からか、頭だけじゃなくて胃も痛くなってきた……

目の前がぐらりと歪んで、気づけば私はバタっと音を立て倒れていた。

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