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第1章 痛み
頭が痛いです。
しおりを挟む「う、うーん……」
私は起き上がり、まばたきをする。
「うっ」
ズキズキと頭がいたむ。
なんでこんなに頭が痛いんだろうか……
ふと、自分の手を見ると赤い何が付着していた。
「ひっ」
これは……血?
驚きからか瞬きが止まらない。
ギュッと目を閉じて、もう一度開き、そっと手を見ると血が消えていた。
「血が消えっ、消えた!」
私は驚きながらも内心ほっとしていた。
疲れているのかな……
ひとまず深呼吸しようかなぁ。なんて考えながらそっと息を吸い込んだ。
しばらくして少し、落ち着いてきたかな
「……………………こ、ここはどこ」
こんな場所、私は知らない。
パパもママもどこにいるの……
キョロキョロと辺りを見渡すが人の気配は感じられない。人がいるんだろうか?
❖❖❖❖❖
「なあ、レヴィー………あのガキどうするんだ?」
俺は隣にいる友人に話しかける。
何もかもがめんどくさいと言わんばかりの表情でこちらを見てくるレヴィー。
「ん? どうするって」
「お前なあ、自分で拾ったガキだろうが」
「ああ、お人形ちゃんのことか」
「人形ってなあ……」
「仕方ないだろうが、名前知らないんだから」
もうちょっとマシな呼び方は思いつかなかったのか、と思いながら言葉を返す。
「だからって人形呼びは酷いだろうが……いくらお人形みたいだからって」
「お前も中々ひどいぞ、ハール」
まぁ、これは性格だからなおしようがないよな。
おあいこってとこか。
❖❖❖❖❖
冷静になり辺りを見る余裕も出てきた私は状況を確認することにした。
「おり?」
どう見ても檻だよね。
私、何で檻の中にいるの?
「さっきまで家にいたよね!? 夢じゃないよね」
興奮して、つい声が出てしまった。あまり大声を出すと私を閉じ込めた犯人にバレそうだから黙っていたいのに……
「痛っ!」
頬をつねったら痛かった。夢ではない様だ。
このままでは拉致があかないので、ひとまず起き上がり歩く事にした。
とは言ってもあまり歩く事は出来ない。
なぜならベッドの周りはすぐに鉄格子。
でも、出入り口くらいあるよね。
えっ、あるよね? 本当にあるよね?
自分で考えだしておいて不安から焦りが止まらない。
鉄格子を端から端までくまなく見る。
すると、一箇所だけ幅が違う場所ならあった。
「あっ! ここなら空きそう」
(やっと見つかった!)
見つかったは良いものの、こういう時は大抵開いてない。
「はぁ。やっぱり開いてないか」
まぁ、都合良く開いている方が怖いのだが。
ドンドンと叩いてみるもののビクともしない
叩いてだめなら……と思い引いてみたが意味がなかった。
「誰かー。いませんかー」と叫びたいけど、ここがどこかも分からないのに危険すぎるよね。
そう思った私は諦める事にした。
「うっ」
何もできない事が嫌でもわかる。泣きそう……
泣いてもどうにもならないのに、わかっているのに。
❖❖❖❖❖
「レヴィー、いいかげん、様子を見てきたらどうだ?」
全然様子を見に行く気配のないレヴィーに話かける。
「えぇ、面倒くさいなぁ。ハール代わりに行けよ」
「はぁ、何で俺が。拾ったのはお前だろ」
拾った当人が様子を見に行こうとしないのはどうかと思うな。
そんな言い合いをしていると、ふと疑問に思った。
幼いながらに整った容姿。甘くて美味しそうな魂。どこからどう見ても最高級品だ。
「つーか、どこで拾ったんだ。あんな最高級品」
「ん?どこって、そんなのヴァンーー」
会話を遮るように誰かの声が響く。
「ーーうっ」
「何か聞こえたな」
「そうだな、レヴィー」
「はぁ、様子を見に行くか。続きは後でな」
「なら、俺も行くよ。反応気になるし」
こうして、二人の人物は少女がいる部屋に向かうのだった。
❖❖❖❖❖
トントントントン。カチカチカチカチ。
足音らしきものが聞こえる。
ーー足音が止んだ?
と思えばコンコンと音がする。
だ、誰だろう。私をここに閉じ込めた人?
私、どうしたらいいの?
タイミングを見計らって逃げる?
でも、足音は少なくても2つしたよね。
このまま、ここにいたらいいのかな?
寝たふりしようかな?
❖❖❖❖❖
コンコン。
「なぁ、レヴィー あのガキ起きてると思うか?」
「さぁ。まぁでも、起きていない方が幸せなんじゃないか?」
「……」
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