父に代わり、悪魔に身を捧げることになりまして…。

卯月終

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「ところで、何のようだ?
俺はお前とは違って忙しいんだ。
ようならさっさと」

「医者だったか?今の職は。」

「違う違う。それは前のだ。
今は狩人ってとこだな。」

「狩人か。お前がやると暗殺者にしか見えないよ。」

「悪かったな。見えなくて。
どうせ俺に良いなんて似合わないだろうしな。」

「だな。」

ククッ。
そう笑うトイさんと、"あいつ"さん?
トイさんのお友達?狩人さん?
あれっ?でも前はお医者さん?

「ところでこの子供は?」

なんか、暗いなと思ってたら"あいつ"さん?
が目の前にいた。

反射的に距離を取ろうとして、
それが出来ないことに気づいた。
まだ、トイさんに抱っこされてたんだった。

「お前が子連れなんて珍しいな。
魔族でも奴隷でも使用人でもなさそうだし。」

「あぁ、色々あってな。」

首が少し痛くなってきた。
抱っこされながら反対を向くのも意外としんどい。

「おりるか?」

コクンと頷く。
やっとおりれた。
すかさず、部屋の隅へ走ろうとして…
急に地面が近くなって…

転んだ。
手をついたし部屋の中だし血は出てないかな。
ちょっとだけ膝と手がいたいけど。

「大丈夫か?」

首を傾げつつ頷く。
話せれば簡単なんだけど。

あれっ?メモとペンがない…?
キョロキョロとあたりを見回し、
床に転がっているのを見つける。

良かった、壊れてない。

「お前が他者を気にするなんて珍しいな。
それも子供とは。」

ククッ。

「悪いか、俺が人間の子供を気にしてたら。」

「いいや、全く悪くはない…って!?」

「ナイスツッコミです!!」

「ナイスツッコミです、じゃないだろ。」

「いやー、つい。」

「メーフェ、茶々を入れない。」

私が人間だと何か問題あるのかな?
それとも私がここにいること自体が…。

「そこまで驚くことか?」

「驚くに決まってるだろ。
子供嫌いで人間のことを暇つぶしの道具くらいに思ってるお前が、人間の子供を、連れていて、気にしている、なんて。」

「そんなにか。
まぁ、たまにはな。
あれは少し気に入っているのだ。」

トイさんが振り返りながらこちらを見る。
ゾクっと寒気がした。鳥肌が立つ。怖い。
ころ、され、る?だい、じょう、ぶ?

ギュッとベッドを掴む。シーツを掴む。

「なるほどな。少し同情する。」

「なら、願いを聞いてくれるか?」

「俺が同情してるのはあの子供に対してであって
お前に対してではないんだが。」

「分かってるよ。そのくらい。
あの子に関することだ。」

「あの子供に関する?内容は?」

私に関すること?
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