北欧フィンランド オーロラの下で

Peony

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フィンランドでバレーボール

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フィンランドに来て1ヶ月経った頃、職場でビーチバレー大会をすることになった。
その時、私のプレーを見た上司が「バレーボール経験者?」と聞いてきて、
「はい、でも中学の頃部活でやってたけど、それ以来やってないです」と答えたら、
「うちのかみさんがバレーボールやっているんだけど、毎回人数が集まらなくて練習にならないみたいだから来ない?」と。
その頃は友達もおらず、家に帰っても特にやることがなかったので、即答で「ぜひ!」と返事をした。
それがきっかけで、上司の奥さん率いるバレーボールチームに参加することに。


練習は、毎週月曜日の夜8時から9時半まで。
隣町の小学校の体育館を借りて活動している。
交通手段がないので、毎回上司の奥さんが車で迎えにきて、帰りも家まで送ってくれる。

隣町がスウェーデン語の地域ということもあって、チームメイトは全員スウェーデン語話者。
私はスウェーデン語を習ってはいるが超初心者なので、一緒にプレーできるか最初とても不安だった。
でも、上司の奥さんを始め、ほとんどのチームメイトが英語を多少は話せることがわかり、みんなも気を遣って英語で話しかけてくれたので、なんとかチームに溶け込むことができた。


コートの中ではみんな英語で話す余裕はないので、当然スウェーデン語一択。
私も次第に、みんなの真似をすることで、コート内で使うスウェーデン語を覚えていった。

スウェーデン語で「ナイス!」は「ブラー!」という。
「めっちゃナイス!」は「イェッテ ブラー!」。
最初はなんだか気恥ずかくて小声で言っていたが、慣れてくると、中学の頃の自分がどこからか現れて、自然に声が出るようになった。


チームメイトは全部で15人。みんな明るくてお喋り好きで、とてもいい人たち。
練習は、毎回全員揃うことはなく、多い時で13人、少ない時で6人程。
6人制なので、最低でも12人は欲しいところ。

年齢層は、一番若い子で25歳、上は50代までと幅広い。
経験者もいれば、大人になってから始めた人もいるので、個人のスキルはさまざま。
毎年11月に、近隣の街のチームとのトーナメント試合があるのだが、普段の練習は基本的に試合で勝つための練習というより、楽しむことを重要視しているチームだったので、20年以上ブランクがある私でもついていくことができた。


始めた当初、バレーボールシューズと膝あてが要ると思って、街で一番大きなスポーツ用品店「Inter Sport」へ行ったのだが、フィンランドではバレーボールはマイナーなようで、バレーシューズはおろか、バレーボールさえも置いていなかった。。
ネットでなら買えるかな、と思って探してみたが、日本で売っているような手ごろな価格のバレーシューズやひざパッドがなく、フィンランドで買うことをあきらめて、次に帰国した際買うことにした。


そんなこんなで、フィンランドでバレーボールを始めて3年になろうという時、全日本男子バレーチームがフィンランドで合宿をするという噂を耳にした。
イタリアでのワールドカップに向けて、ヨーロッパで直前合宿を行うにあたり、フィンランドが選ばれたようだ。
もしフィンランドナショナルチームとの親善試合があるなら見に行きたいと思って、それをランチの時に仲のいい同僚に話したところ、その同僚がフィンランドナショナルチームのマネージャーをしている人と知り合いということが判明。
すごい偶然に、そこにいた全員が驚いた。
そして、同僚がその知り合いのマネージャー(Jaanaさん)に、
「バレー好きな日本人の同僚がこういう噂を耳にして、親善試合があるなら見に行きたいと言っているんだけど、メールさせるから教えてあげて?」とメッセージを送ってくれた。
同僚に添削してもらいながらJaanaさんにフィンランド語でメールを書いて送ったら、すぐに返事がきた。
それによると、詳しいスケジュールはまだ決まっていないので、詳細が分かったら教えるね、とのこと。

一ヶ月くらいしてJaanaさんから、詳細と親善試合のチケット販売の案内がもうすぐ出るからホームページをチェックして、と連絡がきた。
親善試合の会場までは、私の住む町からだととても行きづらく、ググってみたところ電車とバスを乗り継いでトータル8時間。
当然日帰りは無理。
そして親善試合は土曜の夜と日曜の夜の2回。
でもこんな機会、一生に一度あるかないかだと思って、思い切ってチケットを購入した。
そしてこれが更なる奇跡を生むことに。


つづく・・
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