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スケート日和
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久し振りに気温がマイナス20度を記録した。
だいぶ日も延びて、気温も上がってきて、いよいよ春がやってくるかなと思ったら、不意をつくようにいきなり真冬の気温に逆戻りすることがちょくちょくある。
フィンランド語では「takatalvi(タカタルヴィ)」と呼んでいる。
直訳すると「冬の再来」。
5月に突然雪になることもあるので、ウィンタータイヤを夏用タイヤに交換するのはあまり急ぎすぎない方がいい。
屋外のスケートリンクの氷は気温が低いほど滑りやすいと(個人的に)思うので、今日は夕方スケートしに行くことにした。
近所に住むベトナム人の友人にもメッセージを送って声をかけてみる。
友人は市の病院で看護婦さんとして働いているので、夜勤の時など都合がつかないこともある。
数分後、一緒に行くとの返事。
今日は仕事が休みで、気温があまりに低かったため家から一歩も出ずに家でだらだら過ごしていたからちょうどよかったとのこと。
15分後に友人の家の前で待ち合わせることにして、いつものスノボウェアに着替える。
スケートに行くときは、iPhoneとスケート靴しか基本持っていかない。
日本に住んでいる時は、要らないものまでカバンに入れて持ち歩いていたのだが、フィンランドに来てからは必要最低限の荷物しか持ち歩かなくなった。
行動範囲が、家から歩いて行ける距離にとどまっていることも理由の一つかもしれない。
待ち合わせ時間の5分前になり、家を出る。
17時でも外が明るいのが嬉しい。
マンションの手前の角でメッセージを入れると、まもなく友人が姿を現した。
スケート場まで約300m。道路が凍結して歩きにくく、到着するまでいつもの2倍くらい時間がかかった。
スケート場のゲートをくぐると左手に小さな小屋があり、通常はこの中でスケート靴に履き替えたりする。
しかし、小屋の入り口が少し高くなっているため、ここで靴を履き替えると、ドアからリンクまで急な下り坂をスケートで滑らなければならない。
初心者にはなかなかハードルが高い。
実際私も最初の頃はここで転んでしまい、そのまま這ってリンクへ降りていく羽目になって恥ずかしい思いをした。
それ以来、スケートリンクの端にあるベンチまで歩いていき、そこで靴を履き替えることにしている。
このスケート場には、屋内のスケートリンクにあるような手すりや壁は一切ない。
リンクの外側を囲っているのはひざ丈程の退けられた雪の山で、つかまることのできるものと言えば、アイスホッケーのゴールか、誰かが置いていった子供用の動物の形の補助器具だけ。
でも何も頼れるものがないならないなりに、なんとかなるものだと身をもって知った。
私が今練習しているのは、バックスケーティング。
事前にYoutubeを見て、コツは頭に入っているのだが、実際やってみるとなかなか思うようにいかない。
5分くらい練習したがうまくいかなかったので、今日はあきらめて普通に滑ることに。
これを何度か繰り返していると、何日目かに突然できるようになったりするのでそれに期待する。
30分も滑るとだんだん足の感覚がなくなってきたので一旦ベンチで休憩。
ここで無理に続けると、転んで怪我をする確率が高くなるので、休憩はまめに取った方がいい。
さすがに寒すぎるのかいつもより人が少なく、私たちも休憩後10分位滑って帰ることにした。
その後、友人宅で一緒にピザを作ろうということになり、一度お互い家に帰り、家にある食材を持ち寄って、友人宅に再度集合した。
フィンランドのキッチンには大きなオーブンが備えつけられているので、材料さえあれば本格的な手作りピザやケーキがいつでも焼けるのがいい。
今日は私が持ってきたトマトと玉ねぎとトマトソース、友人宅にあったパプリカとフレッシュバジルとチーズでピザを作ることに。
生地は友人がイーストと小麦粉から作り、私は材料を切って、トマトソースも準備。
出来上がったピザは予想以上に美味しくて、あっという間になくなった。
その後、お茶を飲みながらたわいのない話をして過ごした。
近所で治安も良い(というか、寒すぎて誰も外を歩いていない)ので、一人で夜道を歩いて帰る。
つづく・・
だいぶ日も延びて、気温も上がってきて、いよいよ春がやってくるかなと思ったら、不意をつくようにいきなり真冬の気温に逆戻りすることがちょくちょくある。
フィンランド語では「takatalvi(タカタルヴィ)」と呼んでいる。
直訳すると「冬の再来」。
5月に突然雪になることもあるので、ウィンタータイヤを夏用タイヤに交換するのはあまり急ぎすぎない方がいい。
屋外のスケートリンクの氷は気温が低いほど滑りやすいと(個人的に)思うので、今日は夕方スケートしに行くことにした。
近所に住むベトナム人の友人にもメッセージを送って声をかけてみる。
友人は市の病院で看護婦さんとして働いているので、夜勤の時など都合がつかないこともある。
数分後、一緒に行くとの返事。
今日は仕事が休みで、気温があまりに低かったため家から一歩も出ずに家でだらだら過ごしていたからちょうどよかったとのこと。
15分後に友人の家の前で待ち合わせることにして、いつものスノボウェアに着替える。
スケートに行くときは、iPhoneとスケート靴しか基本持っていかない。
日本に住んでいる時は、要らないものまでカバンに入れて持ち歩いていたのだが、フィンランドに来てからは必要最低限の荷物しか持ち歩かなくなった。
行動範囲が、家から歩いて行ける距離にとどまっていることも理由の一つかもしれない。
待ち合わせ時間の5分前になり、家を出る。
17時でも外が明るいのが嬉しい。
マンションの手前の角でメッセージを入れると、まもなく友人が姿を現した。
スケート場まで約300m。道路が凍結して歩きにくく、到着するまでいつもの2倍くらい時間がかかった。
スケート場のゲートをくぐると左手に小さな小屋があり、通常はこの中でスケート靴に履き替えたりする。
しかし、小屋の入り口が少し高くなっているため、ここで靴を履き替えると、ドアからリンクまで急な下り坂をスケートで滑らなければならない。
初心者にはなかなかハードルが高い。
実際私も最初の頃はここで転んでしまい、そのまま這ってリンクへ降りていく羽目になって恥ずかしい思いをした。
それ以来、スケートリンクの端にあるベンチまで歩いていき、そこで靴を履き替えることにしている。
このスケート場には、屋内のスケートリンクにあるような手すりや壁は一切ない。
リンクの外側を囲っているのはひざ丈程の退けられた雪の山で、つかまることのできるものと言えば、アイスホッケーのゴールか、誰かが置いていった子供用の動物の形の補助器具だけ。
でも何も頼れるものがないならないなりに、なんとかなるものだと身をもって知った。
私が今練習しているのは、バックスケーティング。
事前にYoutubeを見て、コツは頭に入っているのだが、実際やってみるとなかなか思うようにいかない。
5分くらい練習したがうまくいかなかったので、今日はあきらめて普通に滑ることに。
これを何度か繰り返していると、何日目かに突然できるようになったりするのでそれに期待する。
30分も滑るとだんだん足の感覚がなくなってきたので一旦ベンチで休憩。
ここで無理に続けると、転んで怪我をする確率が高くなるので、休憩はまめに取った方がいい。
さすがに寒すぎるのかいつもより人が少なく、私たちも休憩後10分位滑って帰ることにした。
その後、友人宅で一緒にピザを作ろうということになり、一度お互い家に帰り、家にある食材を持ち寄って、友人宅に再度集合した。
フィンランドのキッチンには大きなオーブンが備えつけられているので、材料さえあれば本格的な手作りピザやケーキがいつでも焼けるのがいい。
今日は私が持ってきたトマトと玉ねぎとトマトソース、友人宅にあったパプリカとフレッシュバジルとチーズでピザを作ることに。
生地は友人がイーストと小麦粉から作り、私は材料を切って、トマトソースも準備。
出来上がったピザは予想以上に美味しくて、あっという間になくなった。
その後、お茶を飲みながらたわいのない話をして過ごした。
近所で治安も良い(というか、寒すぎて誰も外を歩いていない)ので、一人で夜道を歩いて帰る。
つづく・・
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